「エレガンス」。それは、単純にファッションのことだけではなく、女性として、人としてどうあるかなのだ、ということに思いが至る、奥深い言葉です。

そして、その「エレガンス」を体現している方と私たちが憧れるのが、皇后美智子さま。気品あふれる装いはもちろん、慈愛に満ちた微笑み、凛とした美しさが人々を魅了します。

数々の写真とともに、美智子さまのエレガンスの真髄に迫ります。全4回の第4回はファッション編です。

(※本記事の情報は4月5日時点のものです。皇后美智子さまは4月30日に天皇陛下とともに退位され、5月1日から上皇后陛下になられます)

お心遣いがちりばめられたベスト・ルックで、皇后美智子さまのファッションを解説!

■1:帽子、ブローチ、手袋。ご訪問時の定番アイテムで清楚な着こなしに

皇太子妃時代、那須御用邸に向かわれる際の美智子さま。ご静養のため、ひざが隠れる程度の若々しいスカート丈が印象的。撮影/女性セブン

DVD付きマガジン『皇室の20世紀』(小学館)編集長として皇后美智子さまの装いを数々見てきた小社の恩田裕子によれば、皇太子妃時代の皇后さまは、「清楚かつ華のある装い。新時代のファッションリーダーとして、女性たちに大きな影響を与えました」と話します。

「手袋は、目上の立場であれば握手する際に着用したままでもマナー違反ではないのですが、皇后さまは礼装時以外は手袋を外して握手されるので、手に持っていらっしゃることが多いですね。帽子やブローチに訪問先と縁のある花やモチーフをあしらうのも、皇后さまならではのお心遣いです」(恩田)

■2:動きやすさも兼ね備えたケープ・スタイルは究極の「お仕事服」

独特の帽子は、訪問先でつばが邪魔にならないようにという配慮から生まれた。トリミングなどアレンジできるように工夫されています。写真:ロイター/アフロ

「皇后美智子さまのファッションスタイルは、日々のご公務と切り離せない究極の仕事服。お手を振ったり、姿勢をかがめて語りかけられたり、式典などでは立ち居が多かったりと多様な場面があるなかで、動きやすく、美しく見えるように計算され尽くしたひとつの形が、ケープやマントウのスーツスタイルです。手を上げたときにとりわけ優雅な動きが生じて、気品のあるしぐさを演出。アンサンブルとして取り外しのできるデザインも」(恩田)

美シルエットのグレージュのツーピース。写真:代表撮影/Belga Image/アフロ

ウエストを軽くシェイプし、裾が広がったペプラムデザインも、皇后さまらしいスタイル。「体を締めつけず、座っていても余裕があり、しゃがんだときにも背中からインナーが見えない。機能性も考えられています」(恩田)

■3:年齢を重ねるごとにお召しになることが増えた「グレーとベージュ」

襟元と手元に黒を効かせたレイヤードスタイルは、オランダ国王夫妻をお見送りした際のコーディネート。気品あふれる色味も魅力。写真:代表撮影/ロイター/アフロ

「天皇陛下の『自然のままがいい』というお考えから、皇后さまは髪を染めることがありません。グレーヘアへと進化していく間に、装いの色も変わっていきました。近年は、青緑色を帯びた浅葱鼠(あさぎねず)や明るい空色鼠(そらいろねず)、グレージュ系の江戸鼠(えどねず)のような、日本古来のグレーの色味と思われる着こなしが増えています」(恩田)

腰をかがめても背中が気にならないベルテッドトップスも多い。Photo/The Asahi Shimbun/Getty Images

私的な外出の際によく着ていらっしゃるのが、グレーの濃淡配色のパンツスタイルだとか。「例えば上の写真のスタイル。パンツに濃色を選び、トップスはニュアンスのある淡色の織り地を合わせることで、活動的ななかにもエレガンスを感じさせる。皇后さまは、そんなふうに装いに心を砕くことを、楽しんでいらっしゃるようにお見受けします」(恩田)

■4:トレンドを程よく取り入れた、好感度の高いカジュアルスタイル

昭和51年、紀宮さま(現・黒田清子さん)の幼稚園卒業遠足で。白のパンタロンがスポーティーかつエレガント。かごバッグもおしゃれ。写真提供:共同通信社

子育て時代は、軽快なパンタロン姿で行事に参加されることが多かった、皇后美智子さま。鮮やかなブルーのサファリジャケットは、当時流行のアイテムで、トレンドを品よく取り入れたスタイルは、大人のカジュアルのお手本にもなりました。

皇太子殿下(今上天皇)と海岸を散策した際のスナップ。撮影/女性セブン

「皇后さまは、国際ベスト・ドレスド投票委員会の『国際ベストドレッサー賞』を、皇太子妃時代の2度を含め、3度受賞されています。3度目にあたる平成2年の受賞では、『インターナショナル・トレジャー(世界の服装界における国際的宝)』という最高の敬意を受けられました。時代や年齢に合わせて、装いがオリジナルともいえる形に昇華されていく。それが、皇后さまのエレガンスなのかもしれません」(恩田)

 

<出典>
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EDIT&WRITING :
剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)
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