「銀座メゾンエルメス」が銀座の街に登場したのは、2001年のこと。最近では、道を挟んだソニービルの解体により、美しいガラスブロックのファサードが姿を見せ、さらなる存在感を高めています。

そのフロント周辺を飾るのが、エルメスがさまざまなアーティストとコラボレーションを重ねている「ショーウインドー」。18年も続いてきた、そのアートに満ちたヒストリーを取材しました。

ショーウインドーは、銀座限定で見られる唯一無二のアートピース

2018年7月から展示された、ル・ジャンティ・ギャルソンの作品

「銀座メゾンエルメス」ならではの、ショーウインドーの魅力。それは、日本のエルメスが独自の審美眼で選んだ、世界各国のアーティストとコラボレーションしている点にあります。

ショーウインドーでありながら、シーズン限定。さらに銀座でしか見られない、唯一無二のアートピース。すでに100回を超えるこのプロジェクトには、「あるエルメスの考え方」が宿っていました。

それは、“マルチローカル”。ウインドーディスプレーは街に開かれた場であり、店舗がある場所によって、その環境はさまざまです。

例えばパリのフォーブル・サントノレ店は、中世の時代からの歴史的な通りにありますが、「銀座メゾンエルメス」は交通量の多い晴海通りに面し、さらにアジアの都市特有のビルボードや、広告に囲まれているのが特徴。それほどの違いがあれば、街にフィットする作家を、現地の判断で決めるのはごく自然な流れでした。

2017年5月から展示された、マイク・エーブルソンの作品

必要なのは、街ゆく人々の視線をキャッチできる「強さ」

しかし、ショーウインドーというのは、アーティストにとっては特殊な空間。ギャラリーで作品を展示するのとは違い、その一歩先を表現することが求められます。それこそが、道ゆく人へのサプライズ。

自分の世界観をプレゼンテーションしながら、まずは人をキャッチし、店舗へと誘う仕掛けを用意することが必要となるのです。

そこで、エルメスがアーティストを選出する際には、2種類の考え方に基づいているのだそう。

ひとつは、同メゾンが打ち出す年間テーマそのものを表現しているアーティストであること。もうひとつは、テーマに沿って、いかようにでも表現を変えられるアーティストであること。

このどちらかを満たすアーティストを候補にあげ、いざコンタクトを始めていきます。

2016年1月から展示された、ケイト・マグワイアの作品

エルメスがショーウインドーで表現するのは「エルメスの多様性」

驚くことに、エルメスがアーティストに提示するのは、その年間テーマのみ。実際に会って、ショーウインドーの意図と特殊性を説明したあとは、アーティストからのファーストアイディアを待ちます。

そこからようやく、お互いのブラッシュアップを重ねてゆくのだとか。展示する商品すらコミュニケーションのなかで決めていくという、自由なムードのなかで進んでいきます。

そこまで作家のクリエイティビティを尊重し、さらに敬意を払うのは、エルメスが何より“人”、そして“職人”を重んじるブランドである所以

また、それぞれ違う個性をもつアーティストの造作に浸透することで、エルメスというブランドの世界観がいかに多様であるかを、表現することに繋がっているのです。


その国、その街ならではの驚きと仕掛けにあふれるエルメスのショーウインドー。「銀座メゾンエルメス」ならではのオリジナリティーをぜひ楽しんでみませんか?

続く後編記事では、今までのショーウインドービジュアルを紹介しながら、アーティストとの具体的なエピソードに触れていきます。

【後編:世界のエルメスで銀座だけ!人と街を楽しませる「驚きと仕掛け」が詰まったショーウインドーの軌跡】

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PHOTO :
淺川敏 
WRITING :
本庄真穂
EDIT :
石原あや乃