鎌倉土産のみならず、神奈川土産、東京土産としても定番になっている「鳩サブレー」。大入りの缶は、食べ終わった後も活用している方が多いのではないでしょうか。この商品を発売しているのは、鎌倉に本拠地を持つ「豊島屋」です。

関東大震災で多くの資料が失われ、創業当時の話は口伝のものや、災害に耐えて残ったものだけ。その中で今も伝わる人気商品「鳩サブレー」が生まれた経緯を、豊島屋の広報担当者さんに教えてもらいました。

創業時の名物は「かわらせんべい」

創業は明治27年(1894年)。文明開化の流れの中、外国人の保養所が多かった鎌倉の地に生まれました。今や豊島屋=鳩サブレーというイメージですが、創業当時は「古代瓦せんべい」という商品が豊島屋の名物。現在は形が小さくなって「もののふ」という商品で残っています。

「豊島屋初代が鳩サブレーをつくるきっかけに出会ったのは、創業から間もない頃です。店を訪れた外国人から手渡された、こぶし大の大きさのビスケット(当時風に言うと『ピスケ』)がきっかけでした。

今まで食べたことのない味がたいそう気に入った初代が、舌を頼りに試行錯誤した結果できたのが、鳩サブレーの原型です。この頃はまだ鳩のデザインではなく、丸い形だったそうです」(担当者)

では、鳩サブレーのあの形は、どこから生まれたのでしょうか。実は、鎌倉にある鶴岡八幡宮に由来します。

鶴岡八幡宮の神使は鳩。境内にも鳩がいるだけでなく、今でも本殿に掲げられた「八幡宮」の八の字は鳩を形取っています。鶴岡八幡宮への信仰が厚かった初代は、サブレーと鳩を組み合わせて、鳩サブレーを生み出したのです。

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現在の鳩サブレー。尾に入っているラインに注目

ちなみに、当時から鳩サブレーの外形デザインはずっと変わっていません。

「ただ1か所だけ、初期のものとその後のもので違うところがあります。それが尾の部分に入ったライン。昔は2本でしたが、今の鳩の尾には3本のラインとなっています。鎌倉本店2Fにある展示室で、貴重な当時の型を見ることができますよ」(担当者)

鳩サブレーが売れ出したのは、大正時代に入ってから。ヒットのきっかけは、ある小児科医が「離乳食に鳩サブレーがいい」と紹介したことがきっかけだそうです。そこから口コミで広がり、鳩サブレーの人気が広がっていきました。

本店を含めて鎌倉駅周辺には4つの豊島屋が

もちろん豊島屋では、鳩サブレー以外にも様々な商品を開発しています。そのひとつが、パン。鎌倉駅のロータリーにある豊島屋の店舗のひとつ「鎌倉駅前 扉店」で扱っているのは、焼きたてのパンです。

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「鎌倉駅前 扉店」店内。おいしそうなパンが並ぶ

「戦時中、店を閉めていた豊島屋は、戦後に営業を再開。電気釜を持っていたこともあり、配給のパンをつくることになったのですが、材料も満足に手に入らなかった時代。おいしいパンをつくれなかったことを初代は悔やんでいたそうです。

その話を聞いていた現在の社長が『今ならおいしいパンがつくれる』と、2014年『鎌倉駅前 扉店』のリニューアルオープンを機に始めたのが、パンの製造販売でした」(担当者)

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キューブ型のあんぱんはイチオシ。和菓子工場でパンにあった餡をつくっている

まさに、時代を超えたリベンジ。いまや扉店のパンは、パン好きに知られた鎌倉名物のひとつです。

また、地方に行くと、和菓子と洋菓子、両方扱うお店を今も見ることがあると思います。豊島屋も地元の菓子店として、大正10年から和菓子に加えて洋菓子の製造販売も行っていました。

ただ和の暦と洋の暦は異なります。例えば、和菓子とクリスマスは合わないし、洋菓子にお彼岸も合いません。現社長は、和菓子を季節に合わせて表現しづらい状況をなんとかしたいと考えていました。そこで2015年4月、本店の向かいに洋菓子専門店をオープンさせました。

結果、現在鎌倉駅周辺には、本店、本店裏にある甘味処「豊島屋菓寮 八十小路」、「豊島屋洋菓子舗 置石」、「鎌倉駅前 扉店」と特徴が異なる4つのお店が展開。人気の鳩三郎グッズは本店のみ販売など、その場所に行かなければ出合えないアイテムや味で、鎌倉観光を盛り上げているのです。

そんな豊島屋の代表菓子を3つ、ご紹介します。

■1:やっぱりコレは外せない!定番中の定番「鳩サブレー」

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「鳩サブレー」手提げ5枚入り¥648 

明治に生まれ、今も変わらず愛され続けている鎌倉の銘菓。生まれた当時は、時代の最先端を行くハイカラなお菓子でした。バターをたっぷり使った味は、多くの人に愛されています。今や鎌倉だけでなく、神奈川県を代表する菓子にまで成長しました。中には鎌倉のお菓子だと知らない人もいるのだとか。

18枚以上になると、シンプルなデザインがレトロかわいい缶のパッケージに。ちょっとした手土産には、5枚入りの手提げタイプがぴったり。おいしいお菓子とあわせて、もらってうれしいパッケージも人気のポイントなのかも!?

■2:見た目にキュン!ずっと眺めていたい愛らしさ「小鳩豆楽」

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「小鳩豆楽」1缶紅・白各¥648(4包入)、2缶入¥1,296、箱入り¥432(3包入)

こちらは、かわいらしい鳩の形をしたらくがん。通常らくがんは、片面だけ絵柄が入っているものですが、この商品はなんといっても裏表、両面どちらから見ても鳩になっているというのが特徴。

コロンとした丸いフォルムは、口に入れるのがもったいなくなってしまうほど! 和三盆と赤エンドウの豆粉が、優しい甘さを醸し出しています。

■3:歴史ある鎌倉の地を感じさせる逸品「きざはし」

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「きざはし」4包入折¥756、8包入折¥1,512

「きざはし」を漢字で書くと「段」。古い神社にある踏み固められた鎌倉石の階段をイメージしています。

でも口当たりはとっても柔らか。餅粉ぎゅうひに焦がし黄粉の風味が楽しめます。歴史ある鎌倉の地を思いながら食べたい一品です。


ダントツの人気はやはり鳩サブレーという豊島屋。その品揃えや店舗展開は、鎌倉の地に根ざしたものでした。直営店限定の商品もあるので、次は豊島屋を目当てに鎌倉旅行を楽しんでみてください。

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WRITING :
ミノシマタカコ