あなたが本当に大切にしたいことは、何ですか? 今こそ価値観をシフトすることが必要です。
キャリアを積み重ねるほど、だれしも新たな課題に直面するもの。そんなときこそ、これまでとらわれてきた価値観から脱却して、譲れない真の価値観の軸は何なのか、自分を見つめ直すことが大切です。、
私たちはなぜ、人生をシフトしたくなるのでしょうか?
日本女性の平均寿命は、1980年代後半に80歳を超えてG7諸国の最長となり、2019年に87・32歳を記録しました(厚生労働省調べ)。
リンダ・グラットン教授の「人生100年時代」を乗り切る「ライフシフト論」が現実となりつつある今、人生後半で生き方や働き方を変える「ライフシフター」が増えているのは当然なのでしょうか。
心理学やキャリア理論の専門家である中里文子先生にお聞きすると…。
「私たちがライフシフトしたくなる背景のひとつに、40歳前後に現れるとされる精神的な危機、ミッドライフ・クライシスの影響が考えられます。
心も体も、自分をとりまく環境も変化していく人生の後半は、これまでと同じようにはいきません。子育ての手が離れたり仕事でポジションを得た方は、自分を振り返る余力が出てきます。そこでふと浮かんでくるのが『この先も今のままで大丈夫?』という、漠然とした不安感や迷いです。
しかしこうした感情は実はごく自然なものです。心理学者のアブラハム・マズローが提唱した『欲求5段階説』によれば、人には生命や安全の維持、社会や他者から承認されたいという基本的な欲求があるとされています。それらがある程度満たされて初めて生まれてくるのが、自分の望む人生を求める『自己実現欲求』です。
今の40代〜50代はまさにその時期。『私の人生、まだこの先があるんじゃないの?』という心のざわつきは、実は自分の可能性を信じる『本能的なもの』なのです」
シフトした7つの価値観と、それらを体現する、40代以上から「ライフシフト」した女性たち
人生100年時代を迎え、40~50代でこの先をどう生きていくのか?を考えるにあたり、生き方の指針になりうる7つの価値観と、それらを体現する女性たちをご紹介します。
■1:好きなことを仕事に
子供の独り立ちや昇進など、人生の転機で立ち止まってみることで、自分の今の気持ちがはっきり見えてくることもあります。これまでかなえられなかった、"好きを仕事に"選び直すという選択も。
■2:グローバルからローカルへ。これからは自分のペースで
トップキャリアとして、大きな案件をダイナミックに動かす職務から身近な人たちとていねいに関わる働き方へ。人生の後半は、タイムマネジメントも自分のペースでゆったりと。
>>ライフシフター②宿オーナー 植良睦美さん・57歳の場合・・・
■3:一生情熱をもって働きたい
成熟世代の心にふとよぎるのが、「長く現役でいられたら」という思い。社会人としての賞味期限を少しでも延ばして求め続けられる自分に。その答えは、「情熱をもって働ける仕事」にありました。
>>ライフシフター③翻訳家 関 美和さん・54歳 の場合・・・
■4:これからは社会のために…
自分のためや家族のために必死で働くのは、40代まで…という考え方も。キャリアの次なるステージでは"社会への貢献"をイメージしながら生き方も働き方もドラスティックに軸足をシフトして。
>>ライフシフター④保育園経営 及川敬子さん・53歳の場合・・・
■5: 人から感謝されたい
「自分自身の人生を歩いているという実感」が希薄なとき、人の心は他者からの「感謝」という形の承認を欲します。相手に喜ばれ感謝される仕事は、日々の活力も運んでくれるはず。
>>ライフシフター⑤税理士 海老原玲子さん・67歳の場合・・・
■6:次の世代の役に立ちたい
子供をもっていても、いなくても、なんらかの形で次世代の人を育てるための一助になれる生き方・働き方は魅力的です。学びを深めて自分の器もさらに広げて「恩送り」できる自分を目指していざシフト。
>>ライフシフター⑥人材育成会社代表 大村美樹子さん・56歳の場合・・・
■7:新しいチャレンジをし続ける
定年後の人生に思いを馳せたことはありますか?時間や場所や人の制約からも完全に解き放たれた、ひとりの自分。思いきって"私の好奇心"を最優先にするスーパーな生き方へ!
>>ライフシフター⑦デジタルクリエイター 若宮正子さん・84歳の場合・・・
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- ILLUSTRATION :
- 古村輝子
- EDIT&WRITING :
- 佐藤友貴絵(Precious)