変化を起こすサイン、見逃していませんか?
いざ人生のシフトを考えたときに、どのような工程で、何を考え、選び、学んでいけばいいのでしょうか。40~50代のライフシフトに詳しい、ライフシフト・ジャパン執行役員CMOの河野純子さんに、5つのステップについて詳しく教えていただきました。
一段ずつ登っていくことが、やがて人生の大きな転機に繋がります。
ライフシフトの専門家・河野純子さん「人生をシフトさせるための5つのステップ」とは?
これまでに築き上げてきたキャリアを見直し、もう一度人生や働き方をシフトさせる40~50代の女性が今増えています。実は、この年代はシフト、あるいはシフトの準備をするには最適な時期だと思っています。その理由は、この年代ならではの目には見えない「資産」をもっているから。
長年の社会人生活で、得意不得意の自己認識力も高まっていますし、人的ネットワークの広さもシフトには優位です。逆にこの世代だから気をつけたいのは、成功体験が多いためこれまでのやり方に固執してしまうこと。シフトまでの準備期間、効率よく進まないこともあったり、ときにはむだや寄り道が必要なことだってあります。
そんなときに焦らずこれまでのやり方を捨てる勇気をもつこともシフト成功の鍵です。
さて、下の1〜5のステップを踏みシフトに成功した先は、ハッピーだけが待っているかといえば残念ながらそうではありません(笑)。しばらくすれば、また違和感やモヤモヤを感じるはず。そのときはまたステップ1からの工程をたどりましょう。
そうやってひとつの場所にとどまらず、小さな変化を絶えず繰り返していくこと、それが人生の幅を広げるのだと思います。
なかには失敗が怖いからとライフシフトを避けて安全に生きていきたいと考える人がいるかもしれません。しかし、これから変化の激しい時代を迎える私たちが、シフトも考えず、変化を受け入れないことは、逆に大きなリスクを負う選択だと思います。
今はまだ、長い人生の折り返し地点にいると考えれば、時間はたっぷりあります。定年後のシフトの準備を今からしたっていい。これから始まる「人生100年時代」を、シフトのステップを身につけ、時間も味方にして、変化を楽しみながら闊歩しましょう。
■Step1:心のざわめきに気づこう
上司の言葉が気になったり部下にあたってしまったり、日々のモヤモヤはシフトのサイン! ですが、多くの人は目の前の忙しさに気をとられ、見ないフリ。今日仕事でミスしてしまった→ベストを尽くせなかったのはなぜ→実はやりたいことがほかにあるのかも、など心の違和感を掘り下げて、引いた目線で客観視することが第一歩。
■Step2:新しい体験をする
モヤモヤの正体を探るために、行動を起こすフェーズです。気になる本があったら読んでみたり、話を聞きたい人がいたら講座に行ったり、ボランティアに参加するのもおすすめ。行動のなかにこそ自己探求のヒントがあります。本で見つけたロールモデルや同じ志の仲間など、これから始まるシフトの旅はひとり旅ではありません。
■Step3:自分自身に出会う
興味のあることに挑戦して、失敗もするうちに少しずつ「自分は何を大切にして生きたいのか」「自分はどうありたいのか」が見えてきます。社会貢献がしたい、ゆっくり働きたい等、自分の価値軸がはっきりしてきたら、その言葉はぜひ書き留めていてください。ここで自身の価値軸を定めることがライフシフトの核心です。
■Step4:もう一度学び尽くす
価値軸や進みたい方向が決まったら、どうしたらその場所に行けるかを考えて、必要なことを学びます。大学院に行き専門的な知識を得たり、副業OKの会社なら週末にインターンシップ的に働いてみる、各自治体の創業支援センターで話を聞く等。この工程でもシフトを後押しする仲間に出会えるはず。
■Step5:自分の人生の主人公になる
起業や転職などのシフトを実際に軌道に乗せていきます。1〜5まで10年かかる人もいれば、半年で達成する人もいたりとペースは人それぞれ。自分の価値軸に沿った生き方にシフトすることは、人生の主人公になる選択をしたということ。小さな変化を繰り返しながら、気づけば遠い場所まで来た感慨も深い、素敵なステージです。
100年時代の生き方を指南する学びの場も!
セミナーやワークショップなどを通じてライフシフトをサポートする「ライフシフトジャパン」。
これまでも「45歳からのライフシフト講座」を開催するなど、プレシャス世代のビジネスパーソンに向けた提案も多く行う。
今後は、4月、7月、10月に東京で全3回の講座「ライフシフトの学校2020〜100年ライフをデザインする旅に出よう」を予定。詳細はHPを参照。
大人のキャリア再設計を支援する「実学」を中心とした学びの場、「ライフシフト大学」が19年に開校。
第1期生は、 定員30名のうち3分の1が女性で、平均年齢は51歳、最年長の63歳までさまざまな業種の人が参加した。コースによって、個別コーチングを受けたり、その人に合った専門講座を受講するなど実践的なカリキュラムを6か月かけて受講する。
40代の転職成功者は、10年前から激増傾向に!
40代の転職事情について、転職サービス「doda」大浦征也編集長によると、
「『doda』の調査でもこの10年で転職者の平均年齢は、3歳ほど上がっています。また、40代の転職成功者がここまで増えているのは、自社が保有していない専門的な知識をもつ40代、50代を求める企業が増えていること。加えて、年功序列の人事制度が変化し、管理職クラスなどを外部から受け入れる企業が増えていることも要因でしょう」
とのこと。
関連記事
- 81歳で作ったアプリでアップルにも招待された世界最高齢プログラマー・若宮正子さんの「第二の仕事人生」とは?
- 45歳で早稲田大学に入学、46歳で大手メーカーを退職。人材育成会社を起業した女性が目指すものは?
- 専業主婦から42歳で税理士に。67歳の今、社員10名の税理士事務所を営む女性の原動力とは?
- 48歳で朝日新聞を退社し、51歳で保育園を開園。退職金を使ってまでライフシフトした理由とは?
- 専業主婦から46歳で初めて大学に入学、59歳で大病を患うも、61歳で作家になった桐衣朝子さんとは?
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、佐藤友貴絵(Precious)