「バックシャン」の「シャン」って何? 小野小町もビックリ!?な由来です!

え?これ、人を表す言葉なの?
え?これ、人を表す言葉なの?

本日3月18日は、平安時代の歌人・小野小町の忌日「小町忌」です。

美しいお嬢さんを称する「小町娘」という日本語があるように、小野小町といえば、美女としても名高い才女です。

というわけで本記事では、「美人」と関係する日本語をひもといてまいります。

さて、今年の春夏のファッショントレンド・キーワードのひとつに、「バックシャン」が登場していますね。背中に目を引くような工夫を凝らしてあり、後ろ姿も美しくドレスアップしてくれる…そんなデザインを「バックシャン」と呼びます。

この言葉の意味が「バック(背中)シャン(美人)」だということはご存知の方が多いと思いますが、

「なぜ『シャン』が美人という意味で日本で使われるようになったか?」という経緯は? ご存知ですか?

…というところで、クイズです。

【問題1】「シャン」が「美人」という意味になったきっかけは誰?

「シャン」という言葉を「美人」という意味の言葉として定着させたのは、以下のどんな人物?

1:昔の学生

2:有名デザイナー

3:政治家

誰が言い始めた言葉でしょうか?
誰が言い始めた言葉でしょうか?

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 1:昔の学生 です。

理知的な学生が生んだ若者言葉なのですが…ちょっと残念なエピソードが!
理知的な学生が生んだ若者言葉なのですが…ちょっと残念なエピソードが!

「シャン=美人」という言葉は、明治時代の旧制高等学校の学生が使いはじめた学生言葉で、それが昭和に入って一般に流行したものだとされています。

明治時代に旧制高等学校に通っていた若者たちといえば、当時としてはかなりの高等教育を受けたエリート学生です。彼らがドイツ語で「美しい」を意味する「schön(シャン)」を、女性の美醜を語る時、隠語のように使用していたわけです。

学生言葉だった当時は、ドイツ語や英語で打消しの意味を持つ接頭辞「un」をつけて「ウンシャン=不美人」という造語も流行っていたのだとか。

「A先生の奥方はたいそうなシャンなので、娘さんに期待していたが、ウンシャンだったよ」

…というような、失礼な会話に使われていたのだろう、と推測できますね。せっかくの高等教育を、そんなくだらない隠語に使うとは!と、現代女性としてはがっかりいたしますが、もはや「シャン」はそうした由来とは切り離され、定着した言葉です。

このエピソードは教養のひとつとして心に留め置き、春夏のファッションは大いに楽しみましょう(笑)。

…というところで、2問目のクイズです。

【問題2】「蛾眉」ってなんと読む? 意味は?

女性の美醜を表現する日本語「蛾眉」が表すのは、以下のどちら?

1:美人

2:不美人

眉毛が蛾のような人、で連想するのは…
眉毛が蛾のような人、で連想するのは…

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!

正解は・・・ 1:美人 です。ビックリですね! 読み方は「がび」。

なんと、正解はこちら!…現代の感覚では、意外ですよね?
なんと、正解はこちら!…現代の感覚では、意外ですよね?

「蛾(が)」といえば、現代の感覚だと不美人を表現する言葉かと思ってしまいそうですが、

「蛾眉(がび)」とは「蛾の触角のような、細く美しい眉」という意味から転じた「美人」という意味の言葉なのです。

「宛転蛾眉(えんてんがび)」という四字熟語もあり、こちらは「宛転(えんてん)=三日月のような美しい眉」と「蛾眉(がび)」を並べ、美女の容姿に対する誉め言葉としての機能を、更にパワーアップさせたバージョンです。もとは楊貴妃の容貌をたたえた四字熟語であった、とされています。

「美人の眉」を表現する日本語としては、ほかに「柳眉(りゅうび)」もありますね。

眉の形は、確かに人の顔の印象を変えますが、メイクアップで操作しやすいパーツでもある…と思ってしまうのは、現代の感覚なのでしょうか?

持って生まれた容姿について評価するのはナンセンスですが、内面の輝きや気遣いの心などが、その人を「美しい」と感じさせる面は、確かにありますよね?

メイクやファッションを整えることも、内面の表現手段のひとつつでしょう。大人の美しさを感じてもらえるような、素敵な女性であり続けたいものですね。

本日は「小町忌」にちなんで

・シャン

・蛾眉

という、意外でちょっと古めかしい(!)女性の容貌に関する日本語をひもといてみました。

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この記事の執筆者
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ILLUSTRATION :
小出 真朱