「女性の勘は鋭い」と言われるように、日頃からその直感を駆使して過ごしているという女性も多いのでは? 「あっ、この人、嘘をついている!」となんとなく察知することもあるかもしれません。

一般社団法人日本刑事技術協会の代表理事で、「嘘や人間心理の見抜き方」を主なテーマとして、経営者やビジネスマン向けに講演などを行っている元刑事の森透匡さんによると、やはり女性は嘘を見抜くのが上手いそうです。

そこで今回は、すでに嘘を見抜くのが上手い女性向けに、さらにそのレベルを上げるべく、ワンランク上の嘘の見抜き方を森さんに教えていただきました。

森透匡さん
一般社団法人日本刑事技術協会 代表理事(経営者の「人の悩み」解決コンサルタント)
(もり ゆきまさ)警察の元警部。詐欺、横領、贈収賄事件等を扱う知能・経済犯担当の刑事を約20年経験。 東日本大震災を契機に独立し、刑事が職務上体得したスキル、知識を用いてビジネスの発展と社会生活の向上に寄与することを目的とし、一般社団法人日本刑事技術協会を設立。現在は代表理事として「ウソや人間心理の見抜き方」を主なテーマに大手企業、経営者団体など毎年全国180か所以上で講演・企業研修を行い、これまで7万人以上が聴講。TBS、日本テレビ、読売新聞、日経新聞などメディアへの出演、掲載も多数。著書に「元刑事が教えるウソと心理の見抜き方(明日香出版社)」がある。ホームページ

女性は嘘を見抜くのが本能的に上手いのはなぜ?

女は嘘を見抜くのが上手い? ※画像はイメージです
女は嘘を見抜くのが上手い? ※画像はイメージです

森さんは、女性が嘘を見抜くのが上手い理由をこう考えているそう。

「『女性と男性とではどちらが嘘を見抜くのが上手いのか?』よく聞かれる質問ですが、いつも私は女性のほうが上手いと答えます。これは生物学的にも言えることだと思いますが、男性は腕力、脚力がありますから、仮に危害を加える人が近付いてきても、腕力などでかわして逃げることができます。しかし女性はそれがないので、嘘をついたり、嘘を見抜いたりして逃げないといけません。つまりそもそも直感や勘の鋭さは、女性に備わっているものではないかと思います。

ちなみに私は取調べにおいて、男性より女性を苦手としていました。男性は割と単純で、態度や言葉にも嘘のサインが出やすいのですが、女性はあえて目を合わせてくるなど、心理が読みにくいのです。メンタル面でも女性の方が強いのでしょうね」

「ワンランク上」の嘘の見抜くテクニック

嘘を見抜くレベルを上げよう ※画像はイメージです
嘘を見抜くレベルを上げよう ※画像はイメージです

もともと、嘘を見抜くのが上手い女性。さらに的確に嘘を見抜くためのテクニックを森さんに伝授していただきました。

■1:証拠はすぐに突き付けない

「嘘を見抜く場合に考えないといけないのは『証拠の使い方』です。証拠の使い方を誤ると、見抜ける嘘も見抜けない場合があります。

例えば、相手が嘘をついている証拠を見つけたときに、『これなに?』とすぐに証拠を突き付けてしまっていませんか?

これは実は証拠の示し方としては最悪です。なぜかというと嘘をつく人は、相手がどんな証拠を握っているのかを探っている、つまり腹の探り合いをしているにも関わらず、手持ちのカード=証拠を示してしまうと、相手に頭の整理をされてしまうわけです。

『持っていたのはそのカード(証拠)か…』と知れば、相手は方向性を決めやすくなってしまい、言い訳をしやすくなります。そうなるともう追及の手立てがありません。ですから、証拠は基本的に示さないことです。

どんな証拠を握っているのかは明かさずに、『何もかも全部知っている』という態度で臨むのです。そうすれば、相手は証拠が絞れないので、右往左往して動揺することでしょう。その状況でなるべく多くの矛盾点を出させて、嘘を見抜いていくことが重要です」

■2:相手に負荷を与える

相手の頭の中を整理させないようにしよう ※画像はイメージです
相手の頭の中を整理させないようにしよう ※画像はイメージです

「嘘をつく人の特徴として『虚偽の事実について辻褄が合うように話を組み立てて話す』『もっともらしいことと、嘘つきだと思われそうなことを把握しながら話す』『話している間、相手が信じているかどうか、相手に悟られていないかどうか確認しながら、相手をよく見て話す』『相手の反応に注意し、新しい情報が入るたびに軌道修正しながら話す』というように頭の中がパンパンで大忙しです。

ここに、さらに相手の脳に対して負荷を与えると、しぐさ、言動にも反応が出て嘘を見抜きやすくなるのです。下記の方法も頭に入れて嘘を見抜くと良いでしょう」

方法1:こちらの目を見て話させる

「お母さんが子どもに『目を見て話しなさい』というのは、理にかなっています。嘘をつく場合、動かないものを見て頭を整理しようとするので、目を見させることで緊張を生み、相手に負荷をかけることができます」

方法2:体の前にバッグやものを置かせない

「顏だけ見せて話す場合と、全身を見せて話すのでは、どちらが嘘をつきやすいでしょうか。見られている部分が多いと嘘はつきにくいものです。

手に持っているバッグなどを抱えたり、自分の前に置いたりするのは、遮蔽物を置いて相手に少しでも自分の体を見せないようにして、心理的な負担を軽くするためです。ですから体を隠さないようにして話させることで、負荷をかけることができます」

方法3:刺激になる質問をする

「相手にとって刺激になるような質問をすると、嘘の反応が出ることがあります。刺激になる質問を多くして、頭の中を混乱させて負荷をかけるようにしましょう」

「可能性質問」で刺激を与える!

「こないだ、お酒をやめるって言ってたわよね。そんなあなたが3日もたたないうちにお酒飲んだ可能性はある?」

「こう質問されたときに、飲んでいないなら『そんな可能性はない』と即答できますが、飲んだなら、『相手に証拠を掴まれているのかも』と焦るため、言葉に詰まったり、変な言い訳をしたりして返答に動揺が出ます。このように『●●した可能性はあるか?』という質問を『可能性質問』と呼び、嘘を見抜く際に使える、相手に刺激を与えられる質問の一つです」

嘘をついているときに多い反応例

・返答を渋ったり、拒絶したりする。
・相手の質問の仕方に対して文句を言う。
・逆ギレして質問をまこうとする。
・汗をかいたり、手がふるえたり、顔が赤くなったりと自律神経信号が現れる。
・顔に手をやる。
・ネクタイを締め直す、ズボンを上げる、眼鏡をかけ直すなどの、整理整頓のしぐさをする。

「嘘の反応とは、これらのように会話やしぐさに現れます。刺激となる質問をした後に、これらが現れないかどうかチェックしましょう」


嘘を見抜くのが得意な女性も、これらの知恵やテクニックを知っておくと、さらに嘘を見抜くレベルが上がるはず。もし怪しいな、と思うことがあったら、ぜひ実践してみてくださいね。

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この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子
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