今年も土用の丑の日が近づいてきました。土用の丑の日といえばうなぎですが、なぜこの日にうなぎを食べるのでしょうか。そもそも土用の丑の日ってなんなのでしょうか。
そこで当記事では、意外と知らない土用の丑の日に焦点を当て、土用の丑の日の意味、なぜうなぎを食べるのかをわかりやすく解説していきます。また、2020年の土用の丑の日はいつなのか、土用の丑の日に食べたいうなぎ以外の食べ物もご紹介します。
■土用の丑の日の意味を分かりやすく解説!
「土用の丑の日はうなぎを食べる日」というイメージがあることでしょう。しかし、土用の丑の日に食べるものは、うなぎだけではありません。そのほかどんな食べ物があるのか、また、土用の丑の日はいつで、どんな意味があるのか、これから説明していきます。
■2020年の土用の丑の日はいつ?
2020年の土用の丑の日は、7月21日(火)です。なぜこの日なのかを次項より解説します。
■土用とは
土用と聞くと、夏を思い浮かべる人も多いはず。しかし、土用は夏だけに限らず、各季節ごとにあります。土用とはなんなのか、説明しましょう。
中国の陰陽五行説では、季節に万物の根源である「木」「火」「土」「金」「水」を当てはめています。春は「木」、夏は「火」、秋は「金」、冬は「水」となります。ここで余るのは「土」です。
「土」は、各季節の変わり目である立春、立夏、立秋、立冬の「四立」前の約18日間に当てはめられ、その期間を「土用」といいます。よって、土用は年に4回あるというわけなのです。
土用は「土旺用事」の略で、この時期に土の気が旺盛になるといわれてきました。そのため、土にまつわる禁忌や風習があります。たとえば、土いじりをしてはいけない、穴掘りをしてはいけない、大根の種まきをしない、葬送は延期する、などです。
このような禁忌や風習は、土用の時期が季節の変わり目であることから、農作業のような重労働や新しいことをはじめると体調を崩しやすくなるため避けた方がいい、という先人の知恵が背景があるのかもしれません。
土用は雑節のひとつ
雑節とは、二十四節気・五節句以外の季節の移り変わりの節目となる特別な暦日のことをいいます。土用はその雑節のひとつで、そのほかに、節分や彼岸、八十八夜、入梅なども雑節です。
土用は、立夏・立秋・立冬・立春の「四立」直前の約18日間のことですから、土用入り、土用明けという、はじめと終わりがあります。土用入りは太陽黄経(たいようこうけい)と呼ばれる、太陽が天球経路を通る角度によって定義されています。冬の土用は太陽黄経が297度、春の土用は太陽黄経が27度、夏の土用は太陽黄経が117度、秋の土用は太陽黄経が207度となる日がそれぞれの土用入りです。
土用の明けは、立春・立夏・立秋・立冬の前の日となります。
2020年の夏土用はいつからいつまで?
7月19日(日)~8月6日(木) ※土用入りの太陽黄径117度、立秋は8月7日(金)
2020年の秋土用はいつからいつまで?
10月20日(火)~11月6日(金) ※土用入りの太陽黄径207度、立冬は11月7日(土)
2021年の冬土用はいつからいつまで?
1月29日(金)~2月2日(火) ※土用入りの太陽黄径297度、立春は2月3日(水)
2021年の春土用はいつからいつまで?
4月17日(土)~5月4日(火) ※土用入りの太陽黄径27度、立夏は5月5日(水)
■丑の日とは
昔は日にちを表すため、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の十二支を使っていました。その丑にあたる日のことを「丑の日」といいます。ちなみに十二支は、日にち以外にも、年、月、時間、方位にも使われていました。
一の丑、二の丑とは
子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の十二支で日付をあらわすと、13日目にはまた子に戻ります。土用は約18日間ありますから、日にちを十二支で数えていくと、2回「土用の丑の日」がめぐってくる年もあります。そのときの1度目の丑の日を「一の丑」、2度目の丑の日を「二の丑」と呼びます。
なお、2020年は「一の丑」と「二の丑」がある年です。「一の丑」は7月21日(火)、「二の丑」8月2日(日)です。
■土用の丑の日にうなぎを食べるのはなぜ?
なぜ、土用の丑の日にうなぎを食べるのでしょうか。その謎に迫ります。
「う」のつく食べ物だから
丑の日の「う」にちなみ、土用の丑の日には「う」のつくものを食べる風習があります。その代表格がうなぎです。うなぎはタンパク質やビタミン類、ミネラル、カルシウムなどが豊富で栄養価が高い食材です。
季節の変わり目である土用にうなぎを食べることで、精をつけ、夏バテを防げるため、江戸時代から食べられていたそうです。
うなぎの販売促進だった⁉
土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのは、鰻屋による販売促進のためだったという説があります。遡ること江戸時代。うなぎは、そもそも冬に脂が乗っておいしくなるので、夏には全く売れない商品でした。そこで鰻屋は、知恵者であった発明家の平賀源内に「夏でもうなぎが売れるようになるにはどうしたらいいか?」と相談します。
平賀源内は、「丑の日だから、『う』のつくものを食べると縁起がよい」というアイデアを授け、鰻屋の前に「本日土用の丑の日」と宣伝文句を書いた紙を貼らせました。そうすると、たちまち江戸っ子の目をひき、鰻屋が繁盛したといわれています。
■土用の丑の日に食べたいうなぎ以外の食べ物
土用の丑の日には、うなぎのほかにも食べるとよいとされるものがあります。たとえば「う」がつく、「梅干し」「うどん」「瓜」などです。そのほか、土用餅や土用蜆といったものもあります。どんな食べ物なのかを解説しましょう。
土用餅
土用につく餅、土用に食べる餅のことを「土用餅」といいます。これはあんこで餅を包んだものです。
かつての宮中の風習に、餅米の粉をガガイモの葉を煮出した汁で練って丸め、味噌汁に入れたものを土用の入りに食べるというものがありました。これを食べて、暑気あたりをしないようにしていたのだそうです。
江戸時代になると、赤い色をした小豆は魔除け・厄除け、餅には力餅(力持ち)の意味合いがあるため、土用餅を食べることで無病息災を願っていたといわれています。この土用餅を食べる風習は今でも続いており、土用の時期になると多くの和菓子店で土用餅が販売されます。
土用蜆(どようしじみ)
しじみは夏と冬に旬を迎えます。冬が旬のしじみを「寒しじみ」といい、夏が旬のしじみを「土用しじみ」と呼びます。
土用しじみは夏の産卵を控え、身が肥えているのが特徴で、栄養価が高く、ビタミン類や鉄分が豊富に含まれています。そのため、疲労回復や肝機能を高め、貧血・高血圧予防などの効能があることから「土用しじみは腹薬」と呼ばれているほどです。土用しじみはうなぎ同様、土用の丑の日に最適な食べ物といえます。
土用の丑の日には、「う」のつく食べ物、土用餅、土用蜆で夏を乗りきりましょう!
当記事では、土用の丑の日の意味、なぜうなぎを食べるのか、2020年の土用の丑の日の期間、土用の丑の日に食べたい食べ物などを解説、紹介しました。
土用の丑の日のことがおわかりいただけたでしょうか。 夏の土用は梅雨明けと重なることが多く、季節が変わる節目でもあります。うなぎをはじめとした「う」のつく食べ物、土用餅、土用蜆を食べて、暑い夏に備えましょう。
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- Precious.jp編集部