【目次】
- 「土用の丑の日」とは? 意味・由来・いつなのかを解説
- 「土用」とは? 暦における意味と「丑の日」の考え方
- 2026年の「土用の丑の日」はいつ? 年に2回あるのはなぜ?
- なぜ「土用の丑の日」にうなぎを食べる? 平賀源内との関係
- 「土用の丑の日」はうなぎ以外でもいい? 「う」のつく食べ物を紹介
- 「土用の丑の日」に食べる意味とは? 夏バテ予防との関係
- 「土用の丑の日」にやってはいけないことはある? 土用の禁忌と風習
【「土用の丑の日」とは? 意味・由来・いつなのかを解説】
■「土用の丑の日」とは「いつ」?「意味」
「土用の丑の日」とは、暦の上で「土用」の期間中に巡ってくる「丑(うし)の日」のこと。とはいえ、「土用」にも「丑の日」にも馴染みがない現代では、この説明だけではピンときませんね! 毎年日付が変わり、7月19日になる年もあれば、8月初めになる年もありますが、これは暦に基づいて決まるため。次章で詳しく説明しましょう。
■「土用の丑の日」の由来
「土用の丑の日」は、古くから用いられてきた暦の「土用」と、日にちを十二支で表す考え方を組み合わせたものです。現在では、夏の暑さを乗り切るために、うなぎなどの滋養のあるものを食べる日として広く親しまれています。
【「土用」とは? 暦における意味と「丑の日」の考え方】
■「土用」とは?
「土用」とは、季節の変わり目を表す暦のひとつです。その由来は、中国の自然哲学である「陰陽五行説」にあります。陰陽五行説では、万物は「木・火・土・金・水」の五つの要素から成り立つと考えられ、春は「木」、夏は「火」、秋は「金」、冬は「水」がそれぞれ割り当てられました。そして「土」は、季節から次の季節へ移り変わる期間をつかさどるとされ、立春・立夏・立秋・立冬の直前、約18日間が「土用」と呼ばれるようになりました。
従って、土用は年に4回巡ってきますが、一般的に「土用」という場合は、うなぎを食べる風習で知られる立秋前の「夏の土用」を指すことが多くなっています。
■「土用」は雑節のひとつでもある
雑節とは、二十四節気などを補うために設けられた、季節の移り変わりを示す暦日のことです。土用のほか、節分や彼岸、八十八夜、入梅などが知られています。土用はその雑節のひとつで、土用のほかには、節分や彼岸、八十八夜、入梅なども知られていますね。雑節は日本の暮らしや農作業の目安として、古くから親しまれてきました。
■「丑の日」とは?
昔は、日にちを数える際にも十二支が用いられていました。「子・丑・寅・卯……」の順で12日ごとに巡り、その中で「丑」にあたる日が「丑の日」です。つまり、「土用」の期間中に巡ってくる丑の日が「土用の丑の日」。土用は約18日間あるため、年によっては丑の日が2回巡ることもあります。この点については、次章で詳しく解説します。
【2026年の「土用の丑の日」はいつ? 年に2回あるのはなぜ?】
■2026年の「夏」の「土用の丑の日」は7月26日
「土用」の期間は、立春・立夏・立秋・立冬前の18日間。この期間中に巡ってくる丑の日を「土用の丑の日」と呼びます。年によって日付が異なるのは、土用の期間も丑の日も、いずれも暦に基づいて決められているためです。
【2026年】各季節の土用の丑の日
冬…1月27日(火)
春…4月21日(火)、5月3日(日)
夏…7月26日(日)
秋…10月30日(金)
【2027年】各季節の土用の丑の日
冬…1月22日(金)、2月3日(水)
春…4月28日(水)
夏…7月21日(水)(一の丑)、8月2日(月)(二の丑)
秋…10月25日(月)、11月6日(土)
■夏の「土用の丑の日」は、年に2回ある年もある
土用は約18日間続く一方で、丑の日は12日ごとに巡ってきます。そのため上記のように、土用の期間中に丑の日が2回巡ってくる年もあります。最初の丑の日を「一の丑(いちのうし)」、2回目を「二の丑(にのうし)」と呼び、うなぎ店などでは両日とも販売キャンペーンが行われることもありますが、一般的には一の丑のほうが広く知られています。
【なぜ「土用の丑の日」にうなぎを食べる? 平賀源内との関係】
■「土用の丑の日」とうなぎの関係
現在では、「土用の丑の日」といえばうなぎを食べる日というイメージが定着しています。しかし、この習慣がいつ、どのように始まったのかについては、はっきりした史料はなく、いくつかの説が伝えられています。
■最も有名なのは「平賀源内」説
広く知られているのが、「江戸時代の発明家・蘭学者である平賀源内が考案した」という説です。夏場の売り上げに悩んでいたうなぎ屋から相談を受けた源内が、「本日土用丑の日」と書いた張り紙を店先に掲げるよう助言したところ評判となり、ほかの店もまねをするようになったといわれています。ただし、この話を裏付ける同時代の確実な史料は確認されておらず、後世に広まった逸話と考えられています。
■うなぎは夏バテ防止の食材としても親しまれた
一方で、江戸時代には「丑の日には『う』のつくものを食べると夏負けしない」という考え方があり、そのひとつとして「うなぎ」が定着したという説もあります。そもそも日本では古くから、うなぎは栄養価が高く、夏バテにもよいとされ、滋養をつける食材として親しまれてきました。こうした風習と食文化、さらに商人の販促などが重なり合い、現在の「土用の丑の日にうなぎを食べる」という習慣が広まったと考えられています。
■奈良時代には「夏痩せに鰻」と詠まれていた
実は、「夏痩せには鰻がよい」という考え方は江戸時代よりも古く、奈良時代の『万葉集』にもその様子がうかがえます。大伴家持が鰻を題材に詠んだ歌、2首をご紹介しましょう。
・「石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻とり食せ」(巻16‐3853)
石麻呂(いわまろ)さん、夏痩せによいといわれているのが鰻ですよ。鰻を獲って食べなさい。
・「痩す痩すも 生けらばあらむを 将やはた 鰻を漁ると 河に流るな」(巻16‐3854)
痩せていても生きていることが大切です。万が一にも鰻を獲ろうとして河に流れてはいけませんよ。
【「土用の丑の日」はうなぎ以外でもいい? 「う」のつく食べ物を紹介】
■「う」のつく食べ物を食べる風習とは
「土用の丑の日」にはうなぎを食べるのが一般的ですが、地域や家庭によっては、「う」のつく食べ物を食べる風習も受け継がれています。これは、「丑(うし)の日に『う』のつくものを食べると夏負けしない」という言い伝えに由来するとされ、江戸時代にはすでに広く知られていたようです。
■地域によって異なる食文化
うなぎが手に入りにくかった地方など、地域によっては別の食べ物を口にする習慣も見られます。例えば、うどんや梅干し、瓜(うり)など、「う」のつく食べ物が選ばれてきました。また地域によっては、うし(丑)にちなみ、牛肉料理を楽しむ例もあります。
【「土用の丑の日」に食べる意味とは? 夏バテ予防との関係】
■暑い夏を乗り切るための食習慣
土用の丑の日が夏の風物詩となったのは、「暑さに負けないよう滋養のあるものを食べる」という考え方がベースになっています。昔の人々は、季節の変わり目は体調を崩しやすい時期と考えていました。特に夏の土用は、一年の中でも暑さが厳しくなる頃にあたるため、栄養のある食事をとって夏を元気に乗り切ろうという風習が定着していたのです。
■うなぎは栄養価の高い食材
うなぎのかば焼きには、たんぱく質や脂質のほか、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB群、カルシウム、鉄、亜鉛などが含まれています。文部科学省の食品成分データベースによると、うなぎのかば焼き100gには、ビタミンAがレチノール活性当量で1,500μg、ビタミンB1が0.75mg含まれています。ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に、ビタミンB1は糖質からエネルギーをつくる過程に関わる栄養素です。
■「夏バテに効く」は現代ではどう考えられている?
現代の栄養学では、「うなぎを食べれば夏バテを防げる」と断言できるわけではありません。しかし、うなぎは栄養価の高い食品のひとつであり、バランスのよい食事の一部として取り入れることは健康維持につながります。
【「土用の丑の日」にやってはいけないことはある? 土用の禁忌と風習】
■「土用」には「土を動かさない」という言い伝えが
土用は「土旺用事」を略した言葉とされ、古くから土をつかさどる神「土公神(どくじん)」が地中を支配する期間と考えられてきました。そのため、この時期は土を掘る、井戸を掘る、庭木を植える、増改築を行うなど、土を大きく動かす作業は避けたほうがよいという言い伝えがあります。とはいえ、これは古くから伝わる民間信仰によるもので、科学的な根拠があるわけではありません。
■「間日」は土を動かしてもよい日
土用の期間中にも、「間日(まび)」と呼ばれる日は、土公神が地上を離れる日と考えられ、土を動かしても差し支えない日とされてきました。そのため、昔は農作業や建築の日取りを決める際の目安として、間日が参考にされることもあったそうです。
■大切なのは季節の節目を意識すること
現在では、土用の禁忌を厳密に守る人は多くありませんが、季節の変わり目を意識し、体調や暮らしを整える知恵として受け継がれています。
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土用の丑の日は、「うなぎを味わう日」として広く親しまれていますが、実はその背景には、暑さが厳しい時期を健やかに乗り越えようと工夫した、先人の知恵がありました。季節の変わり目に体調を気遣い、食生活や暮らしを整えるという考え方は、現代にも通じますね。季節の移ろいを感じながら、「土用の丑の日」を心と体をいたわる一日と捉え、穏やかに過ごしてみてはいかがでしょうか。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /国立国会図書館「日本の暦」(https://www.ndl.go.jp/koyomi/) /国立天文台「暦計算室」(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/) /国立国会図書館「レファレンス協同データベース(土用の丑の日・平賀源内に関する資料)」(https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/reference/show?page=ref_view&kwup=平賀源内%E3%80%80土用の丑&mcmd=25&st=score&asc=desc&oldmc=25&oldst=score&oldasc=desc&lsmp=1&id=1000194414) /農林水産省「特集2鰻」(https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1607/spe2_01.html) /農林水産省「うちの郷土料理」(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/34_24_tokyo.html) /和樂「鰻、食べろよ。万葉集に見る大伴家持と石麻呂の友情エピソードとは?」(https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/18453/) :

















