資生堂のブランドマネージャー渡邊恵美さんにインタビュー。キャリアアップとマネジメントのコツとは?

渡邊恵美(わたなべえみ)さん プレステージマーケティング部 SHISEIDOグループ ブランドマネージャー
渡邊恵美(わたなべえみ)さん  資生堂ジャパン SHISEIDO ブランドマネージャー

――渡邊さんの経歴を教えてください

大学卒業後、1995年に資生堂に入社、東大阪支社で営業を1年半、本部営業を半年、トータル約2年間営業職に従事しました。

その後、国内の化粧品マーケティング業務を約8年担当しました。開発チームが商品を作っていて、その商品をどのように国内で流通させてプロモーションするか、という業務ですね。

そして、2005年から約12年間、国際マーケティングの部署にいました。その間は商品開発も行っていました。

2017年1月にマネージャーに昇格し、7月にジャパンリージョンに異動、現在はマーケティング部のリージョンマーケティングを担当しています。国内における「SHISEIDO」のブランドマネージャーです。

「SHISEIDO」は、企業名そのものを冠する唯一の化粧品ブランドです。現在、88の国と地域でワールドワイドに展開していて、6リージョン(日本地域本社・中国地域本社・アジアパシフィック地域本社・米洲地域本社・欧州地域本社・トラベルリテール地域本社)すべてを網羅しているの化粧品ブランドは「SHISEIDO」だけ。資生堂のなかで軸となっているブランドです。

――会社の名前を冠するブランドのブランドマネージャーとは、とても素晴らしいポジションですね。

各リージョンにブランドマネージャーがいるのですが、私は日本の売上と収益に責任を持つ立場です。

――営業から本社勤務になった理由は?

総合職として入社して、当時は「現場を知る」ことがすべてにおいて大事だという意味で、新卒者のほとんどは支社に行くことになっていました。総合職で入った新入社員の9割くらいは支社で働いていたように思います。

東大阪支社では、最初は内部の企画部で営業をサポートするような仕事、そして、量販店への営業を先輩と担当していました。その後、支社の統廃合という組織改編のなかで、本社に移動しました。

――資生堂では、社員の向き不向きで部署異動があるのでしょうか?

いろいろなチャンスがあり、自ら手を上げて異動できる場合もあります。会社が与えてくれたチャンスや、自分から手をあげたチャンスに対して、適材適所を見極めてくれている体制が整っている会社だと思います。組織改編の中で、部署が変わることもあります。

――渡邊さんは、自ら手をあげて異動したことがあるのでしょうか?

国内マーケティング部から、国際マーケティング部に行くときに手をあげました。当時、「フリーエージェント制度」という制度があり、それを活用して、国際マーケティング部に異動しました。希望が通りやすい風土はあると思います。

今現在はコロナ禍で止まっていることもありますが、私も部下と面談をしてキャリアパスを考え、個人が行きたいところに行けるよう、彼らにチャンスを与えられるように尽力しています。

――入社25年、順調にキャリアアップできたコツは?

見ている人は見ていてくれるのかな、と。とにかく、仕事に対しては常に一生懸命、120%の成果が出せるよう、取り組んできました。それを周りが見ていてくれたのかなと思います。

――産休・育休を取りながらも、キャリアアップできているのはなぜでしょう?

2008年から2011年まで産休・育休を取って、その後、時短勤務をしていました。

当時の部署は100人くらいの規模だったのですが、ダイバース(多様)な働き方が推奨されるなかで、時短勤務中でも「マネージャー昇格」というチャンスを与えてもらいました。

「時短勤務のなかでもやれること、成果を出せることは沢山あるよね」という想いで、自分なりに努力を惜しまず、限られた時間や条件のなかで、最大限の成果を出そうという姿勢を持って働いていました。

その成果を認めてもらって、マネージャーの昇格審査を受けたのが2016年です。そして2017年1月にマネージャーになり、半年後にリーダーポジションにつきました。「SHISEIDO」のブランドマネージャーとなり、丸3年経ちました。

資生堂の名を冠するブランドの「SHISEIDO]
資生堂の名を冠するブランドの「SHISEIDO」

――時短勤務で成果を上げるというのは、大変なことですよね。

そうかもしれませんね。基本的にポジティブなんです。「やることに変わりはないのだから、どうせやるなら楽しみながらやろう!」と常に思って仕事をしています。現在、管理職では時短勤務という制度はないので、忙しいこともありますが、楽しんで仕事をしています。

――今マネジメントしている人数は?

10名です。

――渡邊さんのマネジメント論を教えてください。

会社でリーダーシップ研修を受けさせてもらったのですが、リーダーの形って正解はなくて、人それぞれなんですよね。自分の個性やメンバーの個性、与えられている環境によって、発揮するマネジメントスタイルが違うと思います。そのなかでも、「セキュアベースリーダーシップ」が私のスタイルかなと思っています。

ぐいぐい引っ張っていくリーダー、ビジョンを掲げるリーダー、どんどん突き進んで行くリーダー、後ろからサポートするリーダーなど、いろいろなリーダーの形があると思うのですが、私はセキュアベースリーダーシップ、「安心・安全な環境を作ってあげることによって、リスクをとってもチャレンジする勇気が湧いてくる」チーム作りをしたいと思っていて、そういうマネジメントを心がけています。

――3年間、試行錯誤してそこにたどり着いたのでしょうか?

もともとの自分の人格やコアが、そこにあるのかと思います。

小学校から中学校の途中まで、パリとクアラルンプールで暮らしていました。環境が変わったりしたときに、両親がいつも支えて守ってくれていたことで、安心して外にも出られて、新しい友達も作れて、新しいことにチャレンジできたなと思うので、「安心感」が大切だと考えています。

その想いから、今も10人の個性豊かなメンバーの力を最大限引き出すために「ここに戻ってくれば安心」というベースを作ることを心がけています。それぞれがのびのびと外に飛び出せる、でももし失敗しても、戻ってこられて、守ってもらえると思ってもらえるようなチームでありたいと。

――部下にはどう思われていると思いますか?

どうなんでしょう?(笑) 昨日も面談していたのですが、なんでも話してくれますね。嫌なこと、困っていること、嬉しいこと、悲しいこと、プライベートも。率直に言いやすいのかもしれないです。

――マネジメントで意識していることは何でしょう?

個性を大切にしたいし、まずは傾聴すること。彼らに答えを出させて、最大限その答えをバックアップするということを心がけています。また、彼らが行きたい場所へ行けるように、彼らの目的の実現のためにサポートすること。優秀な人材であっても、自分のところで抱え込まないようにしています。結果それが彼らの成長につながるからです。

部下との面談で大切にしていることは「傾聴」
部下との面談で大切にしていることは「傾聴」

――最後に、仕事において重要視していることは何ですか?

「チャレンジ」「スピード」「リスペクト」の3つです。

何事にもチャレンジし続ける精神を持ち、今の世の中、スピード感をもたないと置いていかれますし、思いやりや感謝の気持ちを持ってやっていくことです。

親からも「感謝の気持ち忘れてはいけない、生きていくということは当たり前ではない」ということを教えられて育ってきました。その教えが仕事をする上でも軸となっています。


資生堂で「SHISEIDO」のブランドマネージャーとしてご活躍の渡邊恵美さんにお話をお伺いしました。

どんな状況でも努力を惜しまず、ポジティブに取り組んでいらした結果が、現在のご活躍につながっているとわかりました。

美しく聡明で、筆者もすっかり魅了されてしまいました。

渡邊恵美さん、この度は貴重なお時間を頂戴し、本当にありがとうございました。

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この記事の執筆者
新卒で外資系エアラインに入社、CAとして約10年間乗務。メルボルン、香港、N.Yなどで海外生活を送り、帰国後に某雑誌編集部で編集者として勤務。2016年からフリーのエディター兼ライターとして活動を始め、現在は、新聞、雑誌で執筆。Precious.jpでは、主にインタビュー記事を担当。