9月に入っても厳しい暑さが続いていますが、いつの間にか秋の気配が漂ってきました。
私同様夏バテしていた畑の野菜達は息を吹き返し、丸く立派な身が実り、美しい月夜の下では鈴虫たちのコンサートが始まりました。
見えない敵(コロナ禍)と異常気象への不安や心配は尽きませんが、目の前にあるバラの花が、また秋に美しい表情を見せてくれることを希望に、ガーデニングを楽しみたいと思います。
夏のバラ剪定とは?
春と比べると、秋バラの大きさは小ぶりになります。品種にもよりますが、秋のバラには以下のような魅力があります。
1.花の色が濃くなる
2.香りが強くなる
3.花持ちがよくなる(花びらが散りにくく、咲いたあとに長く楽しめる)
このほかにも、気温も涼しくなり、湿度も乾燥してくるので、私はドライフラワーをつくるのにも、この時期のバラは最適だと思っています。
花が自然のまま、順に咲く姿を愛する方は、夏剪定は不要です。一方で、夏剪定を行うことで、春のように一斉にそろってゴージャスに開花するさまを楽しめると知り、今年初めて挑戦することにしました。
今回も、ご自身でも250株のバラを栽培している市東さん(造園会社市東苑オーナー)にお越しいただき、本では分からなかったポイントを、実践を交えて教わりました。
夏のバラ剪定は人によってさまざまで、色々なアプローチがありますが、まずは初めての私でも迷わない基本的な考え方から習いましたので、動画と合わせて参考になさってください。
夏のバラ剪定を行う時期と、そもそも夏剪定ができるバラとは?
剪定時期は、関東圏では、8月下旬~9月上旬。遅くとも9月15日までに行います。
遅咲きの品種は、咲くタイミングを逆算して、8月下旬に行いましょう。我の庭では、今回動画でもご紹介している、「ルイの涙」が遅咲き品種に当ります。
夏の暑さが和らぐと、夏バテしていたバラ達が芽吹き始めるといわれているので、温暖化が進み、この猛暑日が9月に入ってからも続く状態だと、今後剪定時期やバラの開花期間は変わってくるのかもしれませんね。
夏剪定ができるバラは以下の通り。
■1:ブッシュローズ(木立ち性)、シュラブローズ(半つる性)の品種 ※クライミングローズ(つるバラ)は行いません。
■2:四季咲き品種(秋にも花を咲かせる性質であること)
■3:葉っぱが残っている状態(梅雨や夏の暑さで病気や害虫の被害にあうと、葉を落としてしまいます。そうならない様にしっかりお手入れをしておくこと!)
上記に該当したバラを剪定してきます。
尚、今回は、雑誌「趣味の園芸2020年9月号」の『バラ栽培の奥義、夏の整枝、これが鉄則!』を予習して、市東さんにお話をうかがいました。
夏のバラ剪定の手順
■1:冬の剪定位置を確認してください
今年の冬に切った切り口を探します。ポイントは、古く・木質化している部分です。
■2:2番花の枝、半分の位置で切りましょう
冬の切り口から伸びた、1番花を咲かせた枝。その枝から伸びた、2番花を咲かせた枝を確認し、芽の向きは意識せずに半分の位置で剪定します。
基本は、上記の2ステップだけ! この先は、少し応用編と、より丁寧に実践したい方に向けてご紹介します。
■3:3番花の枝で切る場合
2番花の枝に、葉がついていない場合は、2番花の枝から伸びた、3番花を咲かせた枝で切ります。このとき、2~3節葉を残した位置で切ることがポイント。理由は、光合成をさせ、株を充実させるためです。
■4:2番花の枝に葉がないけど、2番花の枝で切る場合
花の大きさは、枝の太さで決まります。そのため、細すぎる枝で切ってしまうと、せっかく剪定しても貧相な(可憐過ぎる!)バラしか咲かせません。
そのため、大輪品種の場合、本来ならば、葉を残すことを優先して、3番花の枝で切るべきところ、葉がなくとも、しっかりとした太さの2番花の枝で剪定します。
■5:「芽の向き」は気にしなくてOK
冬剪定の場合は、樹形を整える目的があるので、「外芽」で切るというルールがありますが、夏の剪定は、秋バラを楽しむことを目的としている為、芽の向きは気にしません。
■6:「芽の膨らみ」は気にしましょう
剪定するタイミングで、膨らんでいる芽は、早く動き出している証、つまりフライングです! 開花のタイミングがずれてしまうため、膨らんでいる芽を避け、その上か下で剪定してあげましょう。
また、新芽が出ている位置で剪定した場合は、小さく蕾を付けた時点でピンチしてあげると、再び開花をそろえてあげることができます。
■7:シュートの扱いについて
前回、『バラの花が「咲き終わった後」に行う、2番花を楽しむための11のコツ』をご紹介しておきながら…本来なら、シュートのピンチをすべきところ、一部見逃して放置しておりました。
そのため、私のバラ達には、きちんとピンチがされたシュートと、ほったらかされたシュートが混在しています。古い枝から新しい枝を勢いよく伸ばしたシュートを、正しくピンチした箇所は、順調に枝数を増やし、2番花、3番花をつけているので、こちらの剪定は、1~6を参考になさってください。
本に載っていなくて困ったケースは、ピンチをしないで放っておいたシュートです。(反省…)
グングン伸びた枝は、大輪一輪咲の品種にも関わらず、房状に一番花を咲かせました。
ここで少しおさらいになりますが、春先はシュートのピンチを30cmほどの高さで行いましたが、夏剪定では異なります。放任してしまったシュートは、浅く切るのでお間違えなく。
ピンチを忘れたシュートの先端には、9月に入っても2番花は咲いておりません。2番花の枝で切る、が基本ルールですが、この場合、1番花のながい枝の中間で切るのが正解。予想以上にバッサリ切るので、初心者としてはハラハラしてしまいますが…秋バラを信じて整えていきましょう。
■8:蕾の処理
厳しい暑さのなかでも、けなげに咲いてくれる我が家のバラ達…ゲストにも驚かれますが、4季咲の品種は、冬の休眠期以外は休むことなく咲き続けます。
開花を続けている状態だと、バラは疲れてしまって、樹に大きな負担をかけているそうです。とはいえ、やはり蕾を見ると、咲く姿を見たくなってしまうジレンマが…。
夏の剪定時期に付いている、蕾の処理にも悩んだのですが、秋に一斉に咲く姿を楽しみたい場合は、これも躊躇なくバッサリお別れしましょう。
■9:無農薬栽培でも、美しく咲かせたい
梅雨入り前までは元気に生き生きしていたバラも、7月は毎日雨、8月は猛暑日が続き、すっかり葉を落としてしまいました。これでは、夏剪定の条件に満たないかと心配したのですが、無農薬で栽培している場合は、夏の終わりにはどうしても自然と葉を落としてしまうと教わりました。
それでも、元気に育てるポイントは、株元を綺麗にしておくことと、夏の終わりから活力剤と液体肥料を与えることだそうです。理由は動画をご覧ください。
以上、夏のバラ剪定についてご紹介しました。繰り返しになりますが、夏のバラ剪定はやってもやらなくても問題はありません。バラの楽しみ方は人それぞれ。それゆえ、向き合い方も、栽培方法も十人十色です。
今年でバラ栽培3年生になり、バラを通じて自分の価値観を見直し、時々立ち止まることがあります。ささやかな喜びを静かにひとつずつ紡いでいく楽しみもあれば、花火のように一瞬だけど盛大な美しさにも惹かれるなあと。
今までの当たり前とは違う暮らしが始まっているからこそ、自分の心に耳を傾けて、本来自分が求めている喜びを見つけていきたいですね。それでは、また。
- TEXT :
- 堀江美希 会社経営
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