ホテルでのブレックファーストやフレンチレストランで、パンとともに供されるバターやジャムなどの「パンの味つけ」アイテム。そのなかで、ルックスはほぼ一緒なのに、名前が違う。その差がよくわからないものがありました。それは「ジャム」と「コンフィチュール」。見た目だけでなく使い方も類似し、ほとんど差がないように思われる両者。いったい、どんな違いがあるのでしょうか?

「ジャム」と「コンフィチュール」の違い、意外に知らないかもしれません
「ジャム」と「コンフィチュール」の違い、意外に知らないかもしれません

 ■英語が語源の「ジャム」

「ジャム」を朝食のパンに使う方も多いのでは?
「ジャム」を朝食のパンに使う方も多いのでは?

英語が語源の「ジャム(jam)」は、日本語訳どおり「(ぎっしり)詰め込む」という意味に由来します。

また、一説によると「グチャグチャかむ」という意味の「チャム(cham)」という古い方言から生まれたとも言われており、古くから人々に親しまれてきた食品のひとつ。

加熱により果肉は溶けて小さくなり、しっかり煮詰めてとろみを出すつくり方が、ジャムの特徴。

「ジャム」は酸とペクチンの力によって凝固したものがほとんどで、ゼリー化したものを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

ちなみに、日本農林規格によると、糖度(可溶性固形分)が40度以上のものが「ジャム」と定義されています。

■フランス語が語源の「コンフィチュール」

「コンフィチュール」はジャムに比べて甘さも控えめ?
「コンフィチュール」はジャムに比べて甘さも控えめ?

一方、「ジャム」の語源が英語だったことに対し、「コンフィチュール」はフランス語から成り立ち、フランス料理の調理法「コンフィ(confit)」に由来します。

「コンフィ」とは、食材の風味をよくし”保存性を上げる”ことができる、砂糖や油などに食品を浸した調理技術の総称。

つまり、「コンフィチュール」は砂糖で果汁を浸出させ、果汁だけを煮詰めたあとに、果肉を漬けるのが一般的な製法なのです。果肉をしっかり煮詰めてとろみを出すジャムとは、この工程が異なります。

日本では「コンフィチュール」というと、複数の材料やスパイス、リキュールなどをミックスさせた独自的なものが多く、甘さも「ジャム」よりも控えめ。

「ジャム」に比べ、フルーツの形状が残されているものが多いのは、このつくり方の違いのためなのです。

■「ジャム」と「コンフィチュール」の違いとは?

改めて違いを知るとおもしろい!
改めて違いを知るとおもしろい!

見た目の似ている「ジャム」と「コンフィチュール」。つくり方の違いはあるものの、日本では厳密に規定されていません。ゆえに、日本での最大の違いは言葉の成り立ちが「フランス語」か「英語」か、ということになります。

以上、「ジャム」と「コンフィチュール」の違いを踏まえたうえで、改めて店頭などで見比べてみるのもおもしろいのではないでしょうか?

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この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
高橋優海(東京通信社)