下着売り場に行くと、ブラジャー同様に多くの種類が並んでいるショーツ。同じサイズでも股上の深さやヒップを覆う布の面積、さらに素材によってはき心地が大きく変わります。「しっくりくるはき心地のショーツを選ぶ第1歩は、種類とそれぞれの特徴を知ること」とランジェリーライターの川原好恵さん。洋服に比べるとごく小さな面積で似たように見えるけれど実はそれぞれ異なり奥が深い、ショーツの基本について教えていただきましょう。

股上の深さやヒップを覆う面積ではき心地も見え方も大きく変わる、ショーツの特徴をプロが解説

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ブラジャー同様、多くの種類や呼び方があるショーツ。そもそも「ショーツ」と呼ぶ以外に「パンツ」や「パンティ」とも呼びますし、海外では女性用も「ブリーフ」、イギリスでは「ニッカース」、フランスでは「スリップ」「キュロット」と呼んだりします。

お国柄がよく表れるのもショーツの面白いところ。例えば日本はヒップをすっぽり包むデザインが好まれますが、ブラジルではヒップが半分ほど隠れるデザインが定番。そのためか、ヒップが半分ほど隠れるショーツ全般を「ブラジリアン」と呼びます。フランスやイタリアのブランドはレースの美しさを愛でる傾向が強く、ふんだんにレースを使うことからブラジャーとショーツの価格がほとんど同じという場合も少なくありません。

ヒップ部分の伸縮性の高さが快適なはき心地の基本

一般的に股上が深く、ヒップ全体を包むようなデザインのショーツははきやすく安定感があり、股上が浅いものやヒップを覆う布の面積が小さいものはセクシーさや可愛らしさを演出することができます。いずれもヒップ部分の素材が伸縮性に優れていることが、はき心地の良いショーツの大きなポイントです。

ショーツははき心地に加え、パンツやスカートにラインがひびくのも気になるところ。それは形よりも素材や縫製がポイントになります。脚口にゴムが入っているものはヒップの太ももの境に段差ができやすいため、タイトなボトムをはく場合は避けた方が無難。ヒップ全体に凹凸の少ないレースが使われているもの、布なら端が切りっぱなしになっているものを選べば万全です。

布の面積ではき心地が変わるショーツの特徴をデザイン別にチェック

たくさん種類があるショーツのなかから、代表的な7つのスタイルをピックアップして紹介します。ショーツではありませんが、ガードルも同じボトムなので一緒に紹介しましょう。

ジャストウエスト

ジャストウエスト
ジャストウエスト

股上が深めで、ウエストラインがおへそあたりのデザイン。お腹もヒップも包むので、安心できるはき心地です。股上がジャストウエストより浅く、ビキニより深いものを「セミビキニ」と呼ぶ場合もあります。

ビキニ                        

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ビキニ

股上が浅くて、ウエストラインがおへそよりかなり下にあるデザイン。面積が小さくて見た目も可愛いので、若い年齢層をターゲットにしたブランドは、ビキニをショーツのメインスタイルにすることが多いようです。

ハイウエスト

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ハイウエスト

股上がかなり深く、ウエストラインがおへそが隠れるくらいの位置にあるデザイン。はいた時の安定感は抜群で冷え防止にもなります。最近はトレンドアイテムとしても人気上昇中で、おしゃれなデザインが増えています。

ブラジリアン

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ブラジリアン

ヒップが半分くらい隠れるデザインで、前見頃と後ろ見頃が同じくらいの面積です。普通のショーツとソング(Tバック)の間のようなシルエットです。

ボーイレングス(ボーイズレングス、ボーイレッグ、ボックス)

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ボックス

ボックス型で、脚ぐりが鼠蹊部に沿わずにヒップ下で水平にカットされているようなデザイン。安定したはき心地で、コットンならスポーティに、総レースならエレガントにと、素材で表情が大きく変わります。

ソング(タンガ、ストリング、Tバック)

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ソング

ヒップを覆う部分がないデザイン。ショーツのラインが出やすいタイトシルエットのボトムを着用する際に便利です。ヒップ部分がヒモだけのものは「Gストリング」と呼ばれます。

フレアパンツ(タップパンツ)

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フレアパンツ

裾がフレアになったショートパンツのようなデザインで、スリップやキャミソールなどと同じ薄手の柔らかな生地が使われます。キャミソールとセットで着用してランジェリーのおしゃれを楽しんだり、ショーツの透け防止に重ねて着用したりします。

サニタリーショーツ

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サニタリーショーツ

生理の時にナプキンやタンポンと併用してはくショーツで、経血を漏らさないようにクロッチ(股)部分やヒップ部分に防水布が付いています。最近は、ショーツ自体に経血を吸収するシートを付けた「吸水ショーツ」も増えています。

ガードル

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(左から)ショート、ロング、ハイウエスト

素材の伸縮性を利用して、お腹を押さえたり、ヒップをあげたりする補整機能を備えたボトム。下半身を美しく整えることで全身をスタイルアップすることができます。

丈の短いショートタイプはショーツのように手軽にはくことができ、股下が長いロングタイプはヒップ、お腹、太ももと全体を補整することができます。ハイウエストは、それに加えてウエストラインのくびれを強調することができます。

他にもショーツに補整機能を加えたコントロールショーツ、脚ぐりのカットが深いハイレグショーツ、股上がかなり浅いヒップハングなどたくさんの種類や呼び名があります。


年齢を重ねるに伴って、股上の深いショーツを好むようになるのは万国共通のようですが、時にはブラジリアンやソングをはいて気分を変えてみるのもおすすめです。ソング愛用者の方からは「ヒップに緊張感が出て美尻効果がある」という声も聞かれるほど。ごく小さい面積のショーツですが、マインドに与える影響は思いのほか大きいようです。

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この記事の執筆者
文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ウェブサイトなどで執筆・編集を行なう。モットーは「ラグジュアリーからプチプラまで」。国内外の展示会・店舗を幅広く取材する。
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ILLUSTRATION :
わたなべはるか
WRITING :
川原好恵
EDIT :
石原あや乃