【目次】

痩せるために食べることの必要性


森 拓郎さん
ボディワーカー
(もり たくろう)大手フィットネスクラブを経て、2009年に自身のスタジオ「rinato(リナート)をオープン。モデルや女優からも大人気で、ピラティス、整体、美容矯正などのボディメイクをはじめ、食事によるダイエットの指導も行う。テレビや雑誌など多くのメディアでも活躍する他、ベストセラーにもなった著書『オトナ女子のためのヤセ方図鑑』(ワニブックス)や、『ダイエット事典(飛鳥新社)』も話題の的。
摂取カロリーより、消費カロリーを多くすることは、体脂肪を落とすための基本。
摂取カロリーより、消費カロリーを多くすることは、体脂肪を落とすための基本。

40代にもなると、代謝の衰えを気にして、食べる量を減らしたり、野菜中心の食事にするなど、カロリーオフに精を出す方も多いのですが、果たしてこれは、正しいダイエット法と言えるのでしょうか? 「摂取カロリーより、消費カロリーを多くすることは、体脂肪を落とすための基本です。しかし、食べる量を減らすことで、最初は体重が落ちても、体はその低カロリーの食事に合わせて代謝を落としてしまうので、長期的には太りやすい体を作ってしまうことになります。体は少ないエネルギーしか入ってこなければ、体の代謝を落とし、余計なエネルギーを消費する筋肉を落としていくというワケです。特に、40代女性にとって良くないのが、早く痩せたいからと、食事を減らして、激しい運動をすることです。エネルギー不足になり、筋力が落ちて、代謝が下がり痩せにくくなるばかりか、栄養不足で老化を加速させてしまいます」(ボディワーカー 森拓郎さん)。

ダイエット指導の達人・森 拓郎さんに聞く! 40代女性が陥りがちな「間違ったダイエット」とは?

「食べ方」のコツ7選


「多くの方が、ダイエットは厳しい食事制限と運動をすることだと思っています。なかには、運動しないと体脂肪は燃えないとも思っている方もいるようです。しかし、私達の消費カロリーの大半は基礎代謝と日常の活動代謝によるもので、運動で消費できるエネルギーはわずかなもの。つまり、基礎代謝量とかわらないぐらいの1200kcal程度の食事しかとっていなければ、代謝が下がり、逆に太りやすくなってしまうのです。正しく栄養を摂取して、それを消費できる代謝を獲得するためには、体脂肪になりやすい脂質のような無駄なものをなるべく減らして、エネルギーを消費するのに必要な糖質やたんぱく質、そしてミネラルビタミンを積極的にとるということが重要です。食事制限や流行のダイエットに飛びつくのではなく、正しい食べ方を身につける『食事改善』こそが、太らない体を手に入れる近道なのです」(森さん)。

【1】「高たんぱく・中糖質・低脂質」な食事を心がけよう

たんぱく質は魚から摂取する方が、脂質を下げやすい。
たんぱく質は魚から摂取する方が、脂質を下げやすい。

「40代女性が心がけたいのは、程よく糖質を摂ることと、積極的なたんぱく質の摂取。脂質はなるべく減らしつつ、食事の時には良質なたんぱく質を必ず摂取するようにすると、良いバランスを保つことができます。エネルギー源となるご飯は白米、玄米、雑穀米など何を食べてもOK。また、できるだけ魚を食べる方が、低脂質で高たんぱくな食事メニューを作りやすくなります。タラやサケ、タイなどの白身魚、アジ、イワシ、サバなどの青魚がおすすめです」(森さん)。

【たんぱく質の1日の摂取量について】

「1日に必要なたんぱく質量は体重1キロあたり1グラム。たとえば、体重50キロの女性であれば50グラムのたんぱく質が必要です。代謝アップを狙うなら体重1キロあたり1.2グラムくらいを目指して摂取しましょう。1日に肉と魚を手のひら2枚分、これに卵1〜2個、納豆や豆腐など2〜3品プラスするのがおすすめです」(森さん)。

【1食における理想の献立は?】

「理想の献立は、肉、魚、卵などの動物性たんぱく質と、納豆や豆腐などの植物性たんぱく質を組み合わせ、1食『見た目の50%』をたんぱく質にするのが理想的です。うち動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の割合は7:3が目安と成ります。圧倒的にたんぱく質が不足気味なので、毎食、十分に摂取するように心がけましょう」(森さん)。

【プロテインドリンクもおすすめ】

「間食など甘いものが欲しくなる人は、プロテインドリンクを飲むことで、欲求を抑えられる方も多いようです。手軽に手に入るので、取り入れてみるのもおすすめです」(森さん)。

【2】「ベジタブル・ファースト」よりも「プロテイン・ファースト」を意識

お肉などのたんぱく質は代謝をアップに欠かせない。
お肉などのたんぱく質は代謝をアップに欠かせない。

「血糖値の上昇を抑えたり、食べ過ぎ予防にも効果があるとして、野菜を先に食べる食事法『ベジタブル・ファースト』が話題になりました。食べ過ぎが心配な方は、この食べ方はおすすめです。しかし、代謝を良くすることが目的であれば、『プロテイン・ファースト』を意識する方が良いでしょう。たんぱく質を優先しても、血糖値の急上昇は防げます。ビタミンやミネラル、食物繊維を含む野菜の摂取は大切ですが、肉や魚、卵などのたんぱく質の方が栄養価も高く、ダイエットには効果的です」(森さん)。

【3】食べ過ぎた翌日は「絶食」「減食」でなく、食の調整を!

「外食など食べ過ぎた翌日は、前日に食べ過ぎた分を調整することは大切ですが、絶食したり、量を少なくするのは、栄養不足になりかえって逆効果。意識すべきは、何をどれくらい食べるかということなのです。

たとえば、前日に食べたもので脂質が多かったのであれば、低脂質なものを選び、糖質やたんぱく質は最低限の量を摂取すればOK。具体的には、ご飯、味噌汁、白身魚や大豆を使ったお惣菜などを組み合わせた、脂質を控えめにした和定食がおすすめです。自分が食べ過ぎたものをある程度把握しておけば、翌日に何を食べるべきかがよくわかります。サラダにしたからといって、ドレッシングをたっぷりかけていたら、脂質がオーバーになるので気をつけましょう」(森さん)。

【4】「噛み応え」のある、自然の素材を使った食事をしよう

食事はしっかりと噛んで食べる習慣を。
食事はしっかりと噛んで食べる習慣を。

「麺類、柔らかいパン、スープなど、あまり噛まなくていい食べ物は避け、よく噛んで食べる食材を選ぶようにしましょう。咀嚼は脳を刺激し、摂食中枢に働きかけて、食欲を正しく制御します。また、顎の力が弱ると、フェイスラインが崩れる他、首が短くなり、首の横ジワも目立つようになります。美容面においても、しっかり噛んで食べることは重要というわけです」(森さん)。

【5】1日2リットルの水を飲む必要なし!食事中の「水分摂取」も控えめに!

「『水は1日2リットル飲む』という説がありますが、科学的な根拠は一切ありません。水の過剰摂取は、水分代謝が低い方の場合、むくみの原因になることも。夏場なら1リットル、冬場なら500ml程度で十分です。飲めば飲むほど老廃物が排泄されたり、痩せるといったこともないので、ほどほどにしておきましょう。また、食事中の水分の摂りすぎは、噛む回数を減らしてしまうので、控えめに」(森さん)。

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【6】「サラダだけ」の食事にならないように気を付ける

村上晃平さん
フィットネスコンサルタント
(むらかみ こうへい)運動生理学と心理学の両方のトレーナー資格を有し、一般人から五輪アスリート、大手企業経営者まで、述べ15,000時間以上のパーソナルトレーニング実績を持つフィットネスコンサルタント。世界的ミスコン優勝者や全日空の健康プログラムの開発も手がける。著書に『ビジネススキルがアップする!1分筋トレ法』(発行:アース・スター・エンターテイメント/発売:泰文堂)、『ミスコン優勝者たちも実践する35の新ルール 筋美人ダイエット』(幻冬舎)などがある。
我慢して摂取カロリーを下げようとすると、ストレスによってさらに代謝を下げてしまうことに。
我慢して摂取カロリーを下げようとすると、ストレスによってさらに代謝を下げてしまうことに。

「野菜を多く食べるとカロリーが抑えられ、ダイエットによい」とつい思いがちですが、実はカロリーを下げすぎてしまうと、かえって痩せにくくなってしまいます。人間が生きるためにはエネルギーが必要であり、そのエネルギーは食品の摂取で確保しなければなりません。そして、生命活動の継続には“ホメオスタシス”と呼ばれる、体の内部環境を常に生存に適した状態に保つ機能が働いています。

「たとえば、食生活をサラダ中心にして、エネルギーを下げすぎると、ホメオスタシスの機能が働き、エネルギーを確保しようと体が反応します。その結果、食欲が増してしまうのです。体重を下げようとすると脳が抵抗するのは、この機能の働きです。さらに、エネルギーをできるだけ使わないようにするため、筋肉量が減って代謝も悪くなります」(フィットネスコンサルタント 村上晃平さん)。

また、お肉を食べずに野菜サラダばかりを食べていると、たんぱく質が不足してしまいます。前項の通り、たんぱく質が不足すると、代謝が下がってしまいます。そのため、サラダを食べる場合は、たんぱく質を含む食材を加えると良いとされています。サラダに加えるたんぱく質は、豆腐や豆など“植物性たんぱく質”よりも、蒸し鶏や豚しゃぶ、ツナなど脂質の少ない“動物性たんぱく質”が良いそうです。

「たんぱく質は分解されるとアミノ酸になりますが、その中には必須アミノ酸と呼ばれる、生物の生命維持に必要なアミノ酸があります。しかし、必須アミノ酸の中には人間の体内でつくることができないものもあり、肉や野菜などから摂取して補わなければなりません。植物性たんぱく質は動物性たんぱく質よりも、必須アミノ酸を網羅していないのです」(村上さん)。

植物性たんぱく質だけ摂取すると、一部のアミノ酸が不足し、栄養が充分に足りず体調不良になる可能性があります。また、植物性たんぱく質を消化・吸収し、利用する効率は、動物性たんぱく質の半分以下。効率よくアミノ酸を摂取して、代謝を上げるためには、動物性たんぱく質の方がよいとされています。

【7】ポジティブになるように「感情コントロール」をする

楽しい、嬉しい、気持ちいというようなポジティブな感情は代謝を上げる。
楽しい、嬉しい、気持ちいというようなポジティブな感情は代謝を上げる。

体重を落としたいと思ったら、好きなものを我慢したり、量を減らしたり、あるいは「何を食べれば痩せるのか?」ということに一生懸命になりがちです。しかし、もっと代謝に大きな影響を与えているものがあります。それは、心の状態。つまり感情です。この感情が何かによって、代謝が上がったり下がったりするのです。楽しい、うれしい、気持ちいいというようなポジティブな感情は代謝を上げ、辛い、きつい、やりたくないなどのネガティブな感情はストレスとなり、代謝を下げることがわかっています。

代謝が上がればエネルギーの消費量が上がり、痩せるというのはみなさんご存知の通りです。しかし、好きなものを我慢したり、制限したりしているときは、ポジティブ、ネガティブどちらの感情になっていますか? 「好きなものを我慢するのではなく、楽しいと思えるように環境を整えていくことが大切です。どうすれば、好きなものを我慢せずに楽しめるか?を考えてみましょう」(村上さん)。

5つの食事法で体重の増加をリセット!我慢とサラダを手放して、ドーパミンとお肉摂取量をアップ

自分にとってベストな食事の「タイミング」と「量」を知る


太ってしまった体重を元に戻すためには、正しい食欲の機能を取り戻すことが必要。
太ってしまった体重を元に戻すためには、正しい食欲の機能を取り戻すことが必要。

必要なエネルギーを必要な時にとれば太ることはありません。脳は本来、そのために食欲をわかせて食事をするという機能を使ってきました。ところが現代社会では、食欲がわいてしまう誘惑がたくさんあります。それによって、現代人は本来の正しい食欲の機能が麻痺してしまっています。太ってしまった体重を元に戻したり、ベストな体重をキープするためには、正しい食欲の機能、つまりエネルギーが必要なときにだけ食欲がわき、必要な量を食べたらストップできるという機能を取り戻す必要があります。そのためには、「普段、自分はいつ食欲がわくのか?」「それは本当に必要だから湧いているのか?」「どのくらい食べれば満足感を得られるのか?」を吟味していく必要があります。「みんなが行くからという理由でランチに行ったり、残すともったいないから全部食べたりしていませんか? 自分の本当の食欲に敏感になって、それに従えるようになりましょう」(村上さん)。

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ながい かよさん
えいよう未来研究所代表、管理栄養士
武庫川女子大学卒業後、病院勤務・料理講師を経て、ヘルスケア企業にて働く人の栄養指導に従事。現在は乳がんクリニックでの栄養指導の他、全国各地にて講演活動を行う。単なる制限指導をするのではなく、その人の生き方に着目し、日常に生かせる理論と実践方を提案する栄養指導は、「楽しい!」「聞いてよかった!」「前向きになれた」と大好評。著書に『仕事で圧倒的な成果を残すハイパフォーマーが実践する飲食の技術』がある。
上西 一弘 さん
女子栄養大学教授
スポーツ栄養学の研究やスポーツ選手のサポートなどを行っている。『新しいタンパク質の教科書 健康な心と体をつくる栄養の基本』(池田書店)、『たんぱく質で痩せる&リバウンドSTOP‼ 新ダイエットごはん』(日本文芸社)など、たんぱく質に関する著書多数。

「なるべくなら夜食をとることなく済ませたい!」という方も多いはず。そんな方のために、眠る前にお腹が減らない1日の食事方法についてアドバイスをいただきました。

【1】食事の間隔を4時間は空ける

「夜中にお腹が空く原因は、そもそも1日の食事のリズムが乱れているせいという可能性があります。食事は3食しっかりとり、また食事の間隔は4時間以上空けることを目安としてみましょう。これは後述するように、食後に血糖値が上昇してから元に戻るまでに約4時間かかるためです」(えいよう未来研究所代表、管理栄養士 ながいかよさん)。また、血糖値が戻る前に食事をすると、インスリンの分泌時間も継続することになります。つまり脂肪を蓄えやすい状態が長時間続くことに。結果として太りやすくなることにつながるため、食事のリズムを整えることは美容の面からも重要です。

【2】ダイエット中でも食事の量は減らしすぎない

つい夜食や間食を食べてしまう方には、3回の食事で食べる量が少ない傾向があるそうです。ダイエットを意識して炭水化物を抜いているけど、次の食事までの間にお菓子をちょこちょこ食べている。仕事が忙しくて食事がおろそかになり、遅い時間にお腹が空く…そんな方はこれを機に1日の食生活を見直し、ご自身の体をいたわる食事にシフトしてみてはいかがでしょうか。

ダイエットをしていたつもりが、お菓子を食べてカロリーオーバーなんてことも……。
ダイエットをしていたつもりが、お菓子を食べてカロリーオーバーなんてことも……。

【3】運動後〜1時間のたんぱく質補給で筋力アップ

Q:運動の前と後、どっちにたんぱく質を補給すべき?

A:運動後〜1時間がゴールデンタイム

「基本は運動後です。運動後〜1時間は、最も筋肉が合成されやすい時間。プロテインドリンクなどを飲む人は、このタイミングがおすすめ。とはいえ、空腹のまま運動をするのはNGです。体はブドウ糖をエネルギーとして使いきると、筋肉を分解してエネルギーにしようとします。これでは、筋肉をつけるどころか、筋肉を減らしてしまいます。」(女子栄養大学教授 上西 一弘さん)。

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どうしても食べたくなった時の「夜食」の選び方


そもそも、なぜ夜食は太りやすいのでしょうか。実は脂肪の蓄積には、糖質を摂取したときに分泌されるインスリンが関係しています。「食べものに含まれる炭水化物が糖に分解され、体内の血糖値が高くなると、血糖値を下げる『インスリン』というホルモンが分泌されます。このインスリンが分泌されると糖が脂肪細胞に取り込まれ、脂肪として貯えられる仕組みです」(ながいさん)。血糖値は通常、食後2時間でピークになり、その後2時間で元の状態に戻ります。つまり食後4時間はインスリン分泌も高くなっている状態。その間にエネルギー消費が行われないと、食べたものの多くが脂肪として蓄積されてしまうのです。

ごはんやパン、麺類といった炭水化物のほか、お菓子や芋類など糖質を多く含む食物は、血糖値の急上昇を招きやすい。
ごはんやパン、麺類といった炭水化物のほか、お菓子や芋類など糖質を多く含む食物は、血糖値の急上昇を招きやすい。

インスリン分泌の観点から、「血糖値が上がりにくい夜食」をとることが太りにくくするポイントになります。教えていただいたおすすめの食材や食べ方は以下の通りです。

【1】たんぱく質が豊富な食材を選ぶ

豆腐や卵、お刺身などたんぱく質が豊富な食べ物がおすすめです。温かいと満腹感が得られやすいため、豆腐なら冷奴よりも湯豆腐を召し上がるといいでしょう。お刺身ならばカツオやマグロが夜食にはぴったり。たんぱく質からエネルギーや筋肉・血液を作るために必要な栄養素、ビタミンB6も一緒に摂ることができます。

【2】葉物野菜を選ぶ

「ほうれん草やキャベツなどの葉物野菜も血糖値の上昇を抑えます。特に、栄養価も高いほうれん草は健康にもいいのでおすすめ。簡単につくれるおひたしにしたり、お味噌汁に入れたりしてみては」と、ながいさん。反対に、糖質の多い和菓子やケーキ、スナック菓子などは夜食としてはNG! 夜食として食べるより、夕食後にデザートとして食べた方が血糖値は上昇しにくくベターです。

冷奴よりも温かい湯豆腐の方がダイエット中の夜食にはおすすめ

冷奴よりも温かい湯豆腐の方がダイエット中の夜食にはおすすめ!

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この記事の執筆者
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