雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、ノンフィクション作家 川内有緒さんの活動をご紹介します。
見えていなかったものが見えてくる。全盲の人との美術鑑賞を映像に
ノンフィクション作家の川内さんは、全盲の美術鑑賞者・白鳥建二さんと出会い、共に全国の美術館を巡って、『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』という本を書いた。そして同時に、映像にもしたいと、三好大輔さんと共同監督で映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』を制作。現在、全国で上映が始まっている。
「白鳥さんは全盲なので、美術館では、一緒に鑑賞する人が、隣で絵の説明をします。大きさとか、どんな色で、何が描かれているとか、自分が見たものを言葉で伝えるわけですが、そうすることで思わぬ発見があるんですよね。本では、白鳥さんとの美術鑑賞体験をきっかけに障がいのこと、アートのこと、社会のことなど、さまざまなことを考えました。映画では、白鳥さんの表情や、日常の様子も伝えています。たくさんの人に観てもらえたらうれしいですね」
映画の中で「目の見えない白鳥さん」は、なんでも自分でやるし、知らない町でも白杖を駆使して、ひとりでどんどん歩いていく。軽やかで、自由で、とらわれがない。
「白鳥さんは『目が見えなくても別に困っていない』というスタンスなんです。障がい者とか健常者とか、助ける側助けられる側とかではなく、人とフラットな関係を自然に築いている。話していると、気付かされることがすごく多い」
この作品は、スマートフォンなどの端末でバリアフリー音声ガイドや字幕表示ができるアプリ「UDCast」に対応している。2月には日本で唯一のユニバーサルシアター(※)である「シネマ・チュプキ・タバタ」で上映を行った。見える人も見えない人も映画を共に楽しめる未来へ。まずは「知ろうとする」ことが第一歩になる。
【SDGsの現場から】
●全盲の白鳥さんとアートを巡ったドキュメンタリー
●全国で唯一のユニバーサルシアターでも上映
※ユニバーサルシアターとは…バリアフリーはもとより、視覚、聴覚などの障がいにも、赤ちゃん連れの母親にも、すべての人に対応する「ユニバーサル」な映画館。
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- PHOTO :
- 望月みちか
- EDIT :
- 正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
- 取材・文 :
- 剣持亜弥(HATSU)