雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、サステイナブルに特化した人気ホテル「ザ・サウザンド京都」の総支配人を務める櫻井美和さんの活動をご紹介します。

櫻井美和さん
「京阪ホテルズ&リゾーツ」取締役、「ザ・サウザンド京都/京都センチュリーホテル」総支配人
1983年京都センチュリーホテルに入社。1993年浦安ブライトンホテルに入社、ブライダルに携わる。'15年京阪ホテルズ&リゾーツに入社し、'19年「GOOD NATURE HOTEL」立ち上げ後、総支配人に。'21年より現職。

使い捨てアメニティを“置かない”選択。サステイナブルに特化した人気ホテル

「サステナブル・コンフォート・ホテル」をコンセプトに掲げる「ザ・サウザンド京都」。’21年に総支配人になり、昨夏のリブランドを率いたのが櫻井さんだ。ホテル名にあるとおり「千年」先を見据えたうえで、サステイナビリティとコンフォートを両立させるための「SDGS100アクション」を企画し、実践した。

「脱プラを目指してステンレスボトルの貸し出しを行ったり、カードキーを竹製にしたり。チャレンジングだったのは、使い捨てアメニティを全撤去したこと。実は、’17年にN.Y.に視察に行った際、アッパークラスのホテル4〜5軒に宿泊したのですが、どこも歯ブラシは置いてありませんでした。1泊10万円以上するホテルでも、です。そのときに、ラグジュアリーのあり方が変わっていくんだな、と直感的に思いました。日本では今も『とりあえず…』と一式置いておくホテルがほとんどですが、私たちのこの小さなアクションから、日本のホテル全体に意識改革が起こればいいなと思っています」

「屋上での都市養蜂」も始めた。

「SDGS100アクションは全社員からアイディアを募ったんです。858集まりました。養蜂も、社内から出た案。ホテルスタッフが養蜂家のもとで修業してきて、実際に屋上で蜂蜜を収穫しています」

京都の伝統・文化を継承するためのアクティビティも実施。特に茶の湯サロンは好評だ。京都でも茶道を学ぶ人は少なくなっているそうで、月に1度、気軽に茶の湯に親しめると人気を呼んでいる。

一連のサステイナブルな取り組みは、昨年、国内では初めて、アメリカの国際的な認定団体(※)のお墨付きも受けた。未来への改革が、日本のホテルを変えていく。

【SDGsの現場から】

●スタッフ全員でアイディアを出した100のアクション

サステナブル_1,インタビュー_1
屋上養蜂の蜂蜜、貸し出し用ステンレスボトル、竹製カードキー。SDGsへの意識も高まる。

●京都の名店の和菓子も楽しめる人気の茶の湯サロン

インタビュー_2,サステナブル_2
茶の湯を学べるサロンを月に1回程度開催。枠が空いていればホテルスタッフも参加している。

アメリカの国際的な認定団体とは…「GSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)」のこと。国際的に求められるSDGsの取り組みを実践していると認証された。

関連記事

PHOTO :
香西ジュン
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
木佐貫久代