雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「#CookForUKRAINE」共同創始者、アリッサ・ティモシキさんの活動をご紹介します。

アリッサ・ティモシキさん
「#CookForUKRAINE」共同創始者
ロシア生まれ。15歳からイギリスの私立学校で教育を受け、大学・大学院で映画史とソビエト史を修める。卒業後、映画祭のキュレーターなど映画関係の仕事の傍ら、料理に開眼し、ロシア・東欧料理の研究家として活躍。

食を通じてウクライナの人々を支援。避難民のための料理学校設立も進行中

ウクライナ系の祖母をもつロシア人のアリッサさんにとって、’22年2月24日、ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻開始のニュースは「心が張り裂ける思いだった」。すぐに、同じロンドン在住の料理研究家で、ロシア人の祖母をもつウクライナ人の友人、オーリアさんにショートメールを送り、立ち上げたのが「#クック・フォー・ウクライナ」(※)である。

「家の中でロシア語とウクライナ語が飛び交う環境で育ってきた私たちにとっては、この活動は、単なるチャリティではなく、心のよりどころ、救いにもなりました。寄付を呼びかけ、ロンドンを中心としたレストランと提携して募金のキャンペーンも展開。ウクライナ料理教室の開催もしています。トークイベントでは、戦争に関する我々の私見だけではなく、両国の関係、それぞれの文化や家庭料理など、メディアの戦争のニュースとは違った視点から、幅広いお話をしています。多くの方々が共感してくれることがとてもうれしいですね」

活動開始1年で、220万ポンド(約3,7億円)の募金が集まり、ユニセフをはじめとするチャリティ団体へ送られた。また、現在、ロンドンに、ウクライナからの避難民を対象にした料理学校を設立するプロジェクトも進行中だ。

「ウクライナ料理は四季がはっきりとしていて、夏はハーブを使った清涼感溢れるもの、冬は根菜や穀物の入ったスープ…。こうしたウクライナの食文化を学べるコミュニティーのハブにもなればと。料理は誰にでもでき、人の心を癒やす力をもっています。そしてそれは政治的、人種的な争いの壁をゆうに超えてしまうものだと信じています」

【SDGsの現場から】

●多岐にわたるチャリティ活動で数多くの賞を受賞

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イギリスの新聞『オブザーバー』が刊行する食の雑誌で「エディターズ・チョイス」賞を受賞。

●人気シェフとのコラボレーションイベントも

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昨年4月にはイギリスのスターシェフ、ジェイミー・オリバーとのチャリティ・イベントを開催。

※#クック・フォー・ウクライナとは…「#CookForUKRAINE」を添え、ウクライナ料理の写真や、食を通じた寄付活動などをSNSに投稿。支援につなげている。

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PHOTO :
Miki Yamanouchi
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
Yuka Hasegawa