【目次】

南雪谷ってどこにあるの?「場所」

呑川は、世田谷区、目黒区、大田区の3区を通る14.4キロメートルの河川。東京湾にたどり着く。
呑川(のみがわ)は、世田谷区、目黒区、大田区の3区を通る14.4キロメートルの河川で、東京湾へと続いている。

「南雪谷」があるのは東京都大田区。都内では珍しく、町名に「雪」という漢字が使われいます。「南雪谷」は「みなみゆきがや」と読み、そのお隣は「東雪谷」。「南雪谷」の北部には中原街道が通っていて、その北西側には「雪谷大塚町」です。

「南雪谷」は呑川の中流部、川岸の南西部の台地上にあるので、住宅地内は坂道が多くなっています。都内高級住宅街の代名詞である「田園調布」にも近く、この辺りも高級住宅街として知られています。

南雪谷の「最寄り駅」

東急池上線「雪谷大塚駅」。駅前には商店街があり買い物には困らない環境だ。
東急池上線「雪が谷大塚駅」。駅前には商店街があり買い物には困らない。

「南雪谷」の最寄り駅は東急池上線の「雪が谷大塚駅」。お隣の「石川台駅」も使えます。どちらも「五反田駅」と「蒲田駅」を結ぶ東急池上線の「蒲田駅」寄りにある駅です。

東急池上線「雪谷大塚駅」前の線路から車庫が見える。
東急池上線「雪が谷大塚駅」前の線路から車庫が見える。

「雪が谷大塚駅」には車庫があり、この駅が始発の電車もあるので、通勤ピーク時でも座れる可能性が高い、というメリットがあります。 「五反田駅」までは14分程度、「蒲田駅」までは12分程度。「五反田駅」でJR山手線に乗り換えれば、「渋谷駅」までは26分、「品川駅」までも25分程度で到着できます。東急池上線からJR山手線への乗り換えもスムーズです。ちなみに、エリア南部にはJR横須賀線などの線路が通っていますが、駅はありません。

南雪谷の「地図」

南雪谷の「歴史」と「由来」

「水神公園」周辺は、昔は「水神の森」と呼ばれていて湧水の豊富な場所だったそう。
「水神公園」周辺は、昔は「水神の森」と呼ばれていて湧水の豊富な場所だったそう。

大正時代まで、「南雪谷」付近は湧水(ゆうすい)を利用した田園地帯でした。畑で採れた野菜や農具を洗う、湧水や水路を利用した洗い場もあり、南雪谷5丁目の「水神公園」には、大正時代に整備された「水神様の洗い場」が復元されています。

「南雪谷」が住宅街へと変遷したのは大正末期。大正12(1923)年の関東大震災の発生によって郊外住宅の需要が拡大しました。大正15年に「池上西部耕地整理組合」が設立され、農地だった雪谷地区も耕地整理が行われ、宅地化が進みます。前後して、大正11年ごろには東急池上線が「蒲田駅」から「池上駅」間を開通しました。その翌年には「雪ヶ谷駅(現在の雪が谷大塚駅)」まで延長をして、昭和3(1928)年には「五反田駅」までの全線を開通させます。これにより、沿線は住宅地として発展していきました。

「呑川緑道」沿いの桜並木。5月になると近くで「呑川鯉のぼり大会」も開催される。
「呑川緑道」沿いの桜並木。5月になると近くで「呑川鯉のぼり大会」も開催される。

田畑が住宅地に変わっていくと、それまで地下に浸透していた雨水が行き場を失い、蛇行していた吞川が氾濫したそうです。そこで、耕地整理事業に合わせて吞川の改修工事が行われ、中原街道辺りから第二京浜辺りまではほぼ直線の流れとなりました。大田区を流れる呑川沿いには「呑川緑道」が整備され、雪谷小学校や雪谷中学校周辺では桜並木が楽しめます。

南雪谷の「由来」

「東雪谷」にある「雪ヶ谷八幡神社」はこの辺りの鎮守。
「東雪谷」にある「雪ヶ谷八幡神社」はこの辺りの鎮守。

室町時代や江戸時代の文書に「雪谷戸」や「雪ヶ谷」という文字が使われているようですが、地名の由来は分かっていないようです。冬になると谷あいに横穴を掘って氷室をつくり、初夏になると江戸城に献上していたアユをそこで保存していたという説もあるよう。江戸時代には「武蔵国馬込領雪ヶ谷村」と呼ばれ、明治22年ごろには「東京府荏原郡池上村大字雪ヶ谷」に編入されました。そして、昭和7年に大森区が誕生したときには「東京市大森区雪ヶ谷町」となりました。

東雪谷2丁目にある「雪ヶ谷八幡神社」の「雪ヶ谷」は旧村名の名残だといわれています。現在の住所表記では「東雪谷」と「南雪谷」に分かれていて、「雪ヶ谷」という地名はなくなっています。

「雪谷八幡宮」には「出世石」があります。
「雪ヶ谷八幡宮」にある「出世石」。この神社には、昭和の大横綱大鵬にまつわる逸話がある。

東雪谷3丁目には、耕地整理のあとに名前が付けられた「雪見坂」という坂道があります。これは、かつてこの坂から富士山の頂の雪がよく見えたことからこう呼ばれるようになったそうです。ちなみに、「雪が谷大塚駅」の「大塚」は、「鵜木大塚古墳」が雪谷大塚町にあることから「大塚」と俗称され、地名になったのだとか。

南雪谷の3つの「魅力」

■1:ちょうどよい規模の商店街と大きな公園もあります

「雪が谷大塚駅」前にはスーパーマーケット「オオゼキ」がある 。
「雪が谷大塚駅」前にはスーパーマーケット「オオゼキ」がある 。

「雪が谷大塚駅」前には商店街「雪谷商店街」があり、スーパーマーケットや鮮魚店、青果店、豆腐店や喫茶店などがそろっているのでちょっとした買い物に便利です。

「雪が谷大塚」駅近くには「シェア畑」という貸し農園がある。野菜作りを楽しむこともできる。
「雪が谷大塚」駅近くには「シェア畑」という貸し農園があり、野菜作りを楽しむこともできる。

そして、「石川台駅」近くには「希望ヶ丘商店街」という商店街があります。こちらにも、スーパーマーケットやドラッグストア、青果店、精肉店などが揃っています。

「石川台希望ヶ丘商店街」も活気のある商店街だ。
「石川台希望ヶ丘商店街」も活気のある商店街だ。

地区の南側にある南雪谷5丁目には「東調布公園」という公園があります。児童交通公園としても整備され、自転車やゴーカートを借りてコース内を運転できるそう。消防車も展示されています。水遊びもできる公園で、ファミリー層にとても人気があるようです。

大田区立東調布公園
大田区立東調布公園には、野球場やプールも併設されています。

■2:大昔から人々が好んで暮らしていました

南雪谷は一戸建て住宅が並び、とても静かな住宅地だ。
南雪谷は一戸建て住宅が並び、とても静かな住宅地だ。

南雪谷5丁目ほか、呑川に面した台地上に「雪ヶ谷貝塚」という遺跡が発掘されています。この場所から、縄文時代前期の土器や石斧などが出土しているそう。この辺りには大きな集落があったようで、大昔から人々の豊かな暮らしがありました。現在は住宅地となっていて、日当たりがよいこのエリアの多くは建物に高さ制限のある第一種低層住居専用地域となっていて高い建物がありません。晴れた日には、真っ青な広い空を感じられる場所です。

■3:車移動が便利な場所にあります

南雪谷は、一戸建て住宅前の道路幅も広い。
南雪谷は、一戸建て住宅前の道路幅も広い。

雪谷地区の北側には東急池上線と並行して中原街道が。「南雪谷」は羽田空港までも近い距離にあって、車で30分程度です。

***

「南雪谷」は近くに涼やかな呑川が流れ、高い建物がないので空がより広く感じられる場所です。駅前には商店街もあり、買い物には困らないのも魅力。また、エリア内にある東調布公園もファミリー層に人気の公園のようでした。これだけの良質な住環境が整っていながらも、五反田駅からは電車で14分程度という距離もうれしいポイント。ここに住んだら、穏やかで心豊かな暮らしができそうだと感じました。

参考:大田区ホームページ
   大田区歴史散策ガイドブック(雪谷、千束編)
   大昔の大田区(原始・古代の遺跡ガイドブック)大田区立郷土博物館

関連記事

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
PHOTO :
AC,柳堀栄子
WRITING :
柳堀栄子