旅情も高まる秋。露天風呂で紅葉を愛でながら温泉に浸かったり、季節の食材に舌鼓を打ったり…。この時期ならではの旅時間で心身をリフレッシュさせたい人は多いのではないでしょうか。そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、秋に行くべき温泉宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、福島県にある「会津芦ノ牧温泉 大川荘」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

SNSでも話題!荘厳なロビーと迫力満点の露天風呂で非日常感を満喫

福島県会津若松市の最南端に位置し、山と渓谷に囲まれた芦ノ牧温泉。大川沿いに湯煙が立ち上る温泉街にて、ひときわ風情と格式を感じさせるのが、今回ご紹介する大川荘です。創業は昭和28年(1953年)の老舗宿ですが、近年では吹き抜けのロビーが『鬼滅の刃』のワンシーンに酷似しているとSNSでも話題になりました。

吹き抜けのロビー。浮き舞台では、16:00~18:00に三味線の生演奏が催されることもある。
吹き抜けのロビー。浮き舞台では、16:00~18:00に三味線の生演奏が催されることもある。

「館内に一歩、足を踏み入れた瞬間、そこはもう日常とは隔絶された別世界。中央に浮き舞台のある吹き抜けのロビーはインパクト大で、その荘厳な空間美には、鬼滅ファンならずとも思わず見入ってしまいます。

最近ではこのロビーが注目されがちな大川荘ですが、温泉も素晴らしいんです。露天風呂は2か所あり、まず『四季舞台たな田』と呼ばれるほうは、棚田のように3つの湯舟が段々に配された造りがユニーク。もうひとつの『空中露天風呂』は清水の舞台を模したもので、大川の渓谷にせり出す形になっています」(植竹さん)

棚田状に浴槽が配置された「四季舞台たな田」。
棚田状に浴槽が配置された「四季舞台たな田」。
「四季舞台たな田」からの紅葉景色。
「四季舞台たな田」からの紅葉景色。

「建物自体が渓流沿いなうえ、2つの露天風呂は断崖絶壁を見下ろすような場所にあり、眺めが実にダイナミック。眼下に大川が流れ、目の前には切り立った山が迫り、吸い込まれそうな紅葉に感動しきりです。泉質は、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉。体がポカポカとよく温まりますし、複数の成分が肌にアプローチして、保湿や弾力アップ効果も期待できます」(植竹さん)

清水の舞台を模した「空中露天風呂」。
清水の舞台を模した「空中露天風呂」。
内湯からの眺めも眼福。
内湯からの眺めも眼福。

「かなり広々とした浴槽に、湯量豊富で知られる芦ノ牧温泉の湯が惜しみなく注がれて、湯の鮮度も抜群。露天風呂だけでなく内湯もガラス窓が大きくとられた開放的な空間で、風情ある秋景色に癒されつつ湯のよさも十二分に堪能できました」(植竹さん)

ティーラウンジ「とんぼのにわ」。窓の外に広がる大自然を眺めながら寛げる。
ティーラウンジ「とんぼのにわ」。窓の外に広がる大自然を眺めながら寛げる。

 

客室からの眺め。
客室からの眺め。

会津の美食と豊富な地酒のペアリングを堪能

秋の会食コースの一例。 ※写真は2022年実施のメニュー。
秋の会食コースの一例。 ※写真は2022年実施のメニュー。

夕食は、その日に仕入れた旬の食材を使用した特選会席料理。採れたてのみずみずしい会津産の食材を職人が腕によりをかけて美しく昇華させます。

「料理で印象に残っているのは馬刺し。福島県は熊本県に次ぐ馬肉の産地で、上質で柔らかい馬刺しはくさみがなく、特製の辛子味噌との相性も絶妙です。そのほか、オプションとして、鯉の旨煮やまんじゅうの天ぷら、鮪のほほ肉や福島牛のステーキなども追加で注文できますので、ご当地グルメを満喫したい人にとっても満足度が高いのではないでしょうか。

そして、個人的には日本酒やクラフトビールなど、お酒のバリエーションが豊富だったのが高評価。福島の地酒とのペアリングで極上の会席をよりいっそうおいしくいただくことができました」(植竹さん)


以上、「会津芦ノ牧温泉 大川荘」をご紹介しました。露天風呂での紅葉狩りや、会津の美食と地酒のペアリングを堪能したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

問い合わせ先

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生