身長156cmのインテリアエディターが、実際に見て・触れて・座ってレポートする連載企画。前回に続き、世界を見据えたデザインで定評のある福岡発のブランド「リッツウェル」からピックアップ! 木とステンレスと厚革のコンビネーションが機能的な『GQサイドテーブル』の魅力を紐解きます。

日本の「おもてなし精神」を感じさせる細やかさに注目!

サイドテーブル選びで絶対に外せない条件は、「持ち運びやすい」、「安定している」、「美しい佇まい」の3点です。どんなに美しくても重すぎると使いたい場所に移動できないし、軽すぎると安定が悪い。その上で何か特徴のあるデザインとなると、なかなか見つからないものなのです。

今回ご紹介する『GQ サイドテーブル』は、久しぶりに出会えた名品! まずはそのスッと伸びたステンレスのフォルムと、彫りのある木天板、脚部に巻かれた厚革の取り合わせが美しいデザインをご覧ください。

福岡発の家具ブランド「リッツウェル」の『GQ サイドテーブル』
【商品名】GQ サイドテーブル 【ブランド】リッツウェル 【写真仕様の価格】¥267,300 【サイズ】幅380×奥行425×高さ600(mm) 【材質】木部/ナラ材(マットウレタン塗装 mTG) 革巻/厚皮(トープグレー) 脚部/ステンレススチール(アンティークグレー)

シンプルな片持ち梁構造で全体的にモダンな印象ですが、装飾的なカーブを持つフラットバーがほんのりクラシカル。前回ご紹介した『リヴァージュ イージーチェア』との相性も抜群です。

福岡発の家具ブランド「リッツウェル」の『GQ サイドテーブル』
『リヴァージュ イージーチェア』(左)と『GQ サイドテーブル』(右)。

共通している革の質感や、座面のグレージュとサイドテーブルのトープの色のバランスが美しく、優しげなニュアンスカラーのコーナーに。さらに、さまざまな素材と色味が使われているので、ここから素材か色味を拾ったフロアランプを加えるだけで、居心地がよく完成度の高い空間が簡単に仕上がります。

福岡発の家具ブランド「リッツウェル」の『リヴァージュ イージーチェア』に座るインテリアエディターの土橋陽子さんと、『GQ サイドテーブル』
椅子のアームと天板の高さが干渉しないので使いやすく、裸足の足が当たってもヒヤッとしない革巻きも高ポイント。

使うと虜に!自由度の高い軽やかさと雄弁に語る厚革のディテール

『GQサイドテーブル』は、下の写真のように軽々と持ち上げて移動することが可能です。握ったときの革の感触が心地よく、使いたいシーンに合わせて気軽に移動できるのがうれしいですよね。ストレスなく家具の位置を変えられると、生活空間をアレンジする主体的な気持ちが湧いて日々が楽しくなります。

福岡発の家具ブランド「リッツウェル」の『GQ サイドテーブル』を持つインテリアエディターの土橋陽子さん
さっと持ち上げられる軽量感。握り心地のいい家具って、意外とレアな存在です。

脚部に厚革が巻かれているので、置くときにも音を立てずさりげなく使い手をサポートしてくれます。実はコロナ禍で大きな問題として浮上した生活音。普段一緒に日中過ごすことのなかった者同士が、相手の立てる些細な音に過敏になるリスクを静かに解決してくれます。

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腰を少しかがめて自然に置くと、厚革面が静かに着地してくれます。
福岡発の家具ブランド「リッツウェル」の『GQ サイドテーブル』
天板裏にあしらわれたプレートも、インテリア好きとしては胸が高鳴るポイントです。

職人の技が光る「リッツウェル」クオリティで暮らしに喜びを!

もう一つ私が注目したのは、緻密なステッチの技法。細身のステンレスと一体化した厚革の美しい表情を作りだすために、あえてステッチを目立たせずシャープに仕上げています。これは職人さんが手縫いでなければできないもので、曲がった針を使って縫い合わせていきます。

福岡発の家具ブランド「リッツウェル」の『GQ サイドテーブル』
まるで高級クラッシックカーのハンドルのような厚革のステッチ。

表参道のアトリエでは受注しているアイテムの製作をしているのですが、先日たまたま『GQサイドテーブル』を仕上げている現場に立ち会える機会がありました。

福岡発の家具ブランド「リッツウェル」の職人
表参道のアトリエでは受注しているアイテムの製作をしているのですが、先日たまたま『GQサイドテーブル』を仕上げている現場に立ち会える機会がありました。

驚いたのは、まずは革の厚みを均一に削るところから行っていること。その後に巻き付けて縫い合わせていくのですが、思わず見入ってしまうほど作業全体が流れるようにスムーズで、道具も手入れされていて美しいのです。これが自分の家に迎える家具だとしたら、喜びは格別ですよね!

福岡発の家具ブランド「リッツウェル」の『GQ サイドテーブル』製作中の様子
曲がった針ですくうように縫い閉じていきます。

アトリエを表参道に構える「リッツウェル」の企業姿勢は、モノづくりから距離が離れてしまっている私たちの暮らしに刺激を与えてくれます。私が見学している際に同席されたご夫妻は、旦那さんが革製品を作るのが趣味だそうでいろいろと質問されていました。


今回は、福岡県糸島を拠点にグローバルに評価される家具を発信する「リッツウェル」から、『GQサイドテーブル』をご紹介しました。

自分の家は、プロの手を借りながら自分たちで作り上げるもの。それを意識した上で、何を選んでどのように家に迎え入れるのか…。職人の方との対話を通して、そのヒントを探しに出かけてみませんか?

※掲載商品の価格は、税込みです。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM