京都旅行と言えば、多くの人は京都市内への旅行を思い浮かべるのではないでしょうか。でも、京都府全体に目を向けてみると、山も海もある自然豊かな地形であることに気づきます。変化の多い地形は、それだけ豊かでおいしい食を生むもの。
今回は食を中心に、自然豊かな南丹市美山町、舞鶴市、伊根町、宮津市のスポットをご紹介します。
里山の景色で育まれた自然を食す「森の京都」
■1:澄んだ水で作りあげられた汲み上げ一番ゆばを味わう「京ゆば処静家 美山本店」
京都駅から車で一時間ほど。自然豊かな山の中に、「京ゆば処静家 美山本店」はあります。市内にも店舗がありますが、せっかく足を伸ばすなら、本店のある美山の澄んだ空気とともに味わいたいところ。
一番人気は、国産大豆を独自にブレンドしてつくられたゆばを、想像を超える多彩な方法で味わうことができる「ゆば尽くし膳」。使用する大豆は都度吟味しているそうで、水を惜しまず使うことで絶品のゆばができあがるのだとか。
こちらの御膳はすべてがゆば料理なのに、ゆばだけを食べているとは思えない内容なのです。
土鍋で作られたゆばは、ふたを開けた瞬間、ふわりと広がる湯気が大豆の優しい香りを届けてくれます。
おすすめは、しょうが醤油につけたあと、あたたかいご飯にのせて食べる方法。ゆばとご飯の組み合わせは、意外なようで相性抜群。お米のおいしさも相まって、何杯でも食べれそうなほど。
数あるメニューで一番驚きがあったのは、ゆばのステーキです。バターとチーズの組み合わせのような、新しい食感と風味に釘付け。これまでのゆばの概念を覆す一品でした。
営業時間はランチタイムのみ。出かける前に、電話で営業日の確認と予約をすると安心です。
問い合わせ先
- 京ゆば処静家 美山本店
- TEL:0771-75-1698
- 住所/京都府南丹市美山町下平屋36-1
■2:広がるのは日本の原風景。どこか懐かしい世界に浸る「美山かやぶきの里」
腹ごしらえをしたあとは、車で15分ほどの場所にある「美山かやぶきの里」へ。美山町には多くの茅葺きの家が今も現存しており、その中でも「美山かやぶきの里」には39棟もの茅葺きの家が集まっています。1993年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれました。
似た建物として白川郷を思い浮かべるかもしれませんが、白川郷の「合掌造り」という造りに対し、美山の茅葺き屋根は「入母屋造り」と呼ばれ、屋根の形が異なっています。そのためか、両方訪れてみると趣が異なるように感じます。
集落の前にはそば畑が広がっており、そばの花の季節になると、一斉に白い花を咲かせるのだそう。その畑越しに見る集落は、また一層、風情豊かなのだそうです。また、お土産物処「かやの里」ではポストカードを販売。集落にある赤いポストから、思い出の手紙を投函することもできます。
集落は見学用ではなく、実際に人が住んでいるところも大きな特色です。集落内には民宿のほか、カフェや美山民俗資料館といった展示施設もあります。
美山民俗資料館では、普段入ることのない屋根裏まで足を踏み入れることができる点が魅力。昔の暮らしや道具など、今は失われてしまった暮らしを感じ取ることができる空間でした。
問い合わせ先
- 美山民俗資料館
- 営業時間/12月~3月 10:00~16:00、4月~11月 9:00~17:00
- 休館日/月曜日、お盆(8月10日頃~17日頃)、年末年始
- 入館料/大人 ¥300、小・中学生 無料
- TEL:0771-77-0587
- 住所/京都府南丹市美山町北中牧4
景色も食も、美しい海の贈り物「海の京都」
■1:隅々まで気配りを感じる最高の会席料理「京都舞鶴 ARIYOSHI」
美山町で「山の京都」を満喫したあとは、車でおよそ1時間ほどの場所にある「海の京都」エリアへ。舞鶴市から「海の京都」を巡りました。
「京都舞鶴 ARIYOSHI」は、大阪で修行し、飛騨高山の高級旅館で料理長を勤めたご主人が、女将と二人三脚で切り盛りする日本料理店。このエリアでは珍しい同じ料金、同時時刻スタートというスタイルを採用し、一品一品、目の前で丁寧に盛り付けられるライブ感あふれる食事が楽しめます。
お酒のラインナップも豊富。日本酒、ビールのほか、クラフトジンも多く取りそろえられており、お酒が好きならテンションがあがること間違いなし。相談すれば、好みに合うものも教えてもらえます。
料理は一品一品、ご主人の説明付き。サプライズ感ある組み合わせも多く、その日何が食べられるのか、都度楽しみになりそうです。
特に盛りあがったのが、寿司の手渡し。「すぐに食べてもらいたい」という狙いもあって、手渡しスタイルにされているのだそう。さまざまなシーンで工夫が施されており、食事のおいしさ+αの体験は「また、誰かと一緒に訪れたい」と思うほどでした。
舞鶴でディナーを楽しむなら、地元のおいしい食材を使った最高の料理でもてなしてくれる「京都舞鶴 ARIYOSHI」をぜひ第一候補にしてみては。
問い合わせ先
- 京都舞鶴 ARIYOSHI
- 料金/¥11,000 、¥13,200 、¥16,500 、¥22,000、¥22,000以上
- 提供時間/18:00~、18:30~、19:00~
- TEL:077-377-5205
- 住所/京都府舞鶴市桃山町4-2 ウィズビル2階
■2:より深い散策が楽しめる!伊根町の舟屋ガイド
伊根町に降り立つと、海沿いにずらりと家が建ち並んでいます。これは「舟屋」と呼ばれる建物。かつて木造船が主流だったころ、船を陸地にあげて乾かすために、海に接する場所に舟屋を建てて風雨から守っていたそう。今は船が大きくなり、あまり船のために使われることはなくなりましたが、現在も約230軒もの舟屋が残っています。
住民はこの舟屋ではなく、道路を挟んだ向かいにある母屋で生活をしていますが、離れとして舟屋で暮らすこともあるのだとか。最近は宿泊できる舟屋もあり、人気を博しています。
ほかではなかなか見かけない景色が広がる伊根町の舟屋を巡るなら、ぜひ利用したいのが舟屋ガイドです。
ガイドさんが最初に案内してくれたのは、日本で一番海に近い蔵元という「向井酒造」です。1754年創業と長い歴史を持つ酒蔵で、赤い古代米を使った日本酒「伊根満開」が有名。
店内には日本酒を始めとして、「伊根満開」を使ったマカロンや酒粕、甘酒など様々なアイテムを販売しており、お酒好きなら目移りしてしまうほど。夏になると、伊根満開の酒粕を使ったアイスも登場するので、散策のお供におすすめです。
問い合わせ先
- 向井酒造
- 営業時間/9:00〜17:00 ※12:00〜13:00はお昼休み
- 定休日/木曜日・年末年始
- TEL:0772-32-0003
- 住所/京都府与謝郡伊根町平田67
引き続き、ガイドさんとともに町を歩きます。思わずシャッターを切りたくなるような風景があちらこちらに。お話と撮影が楽しくなると、なかなか先に進めません。
このツアーに参加すると、舟屋の中にも案内してもらえます。漁の道具や昔の暮らしを彷彿とさせる写真、そしてすぐ前に広がる透明な海は、これまで以上にテンションがあがる空間。ガイドさんのお話と合わせて、じっくり昔の舟屋暮らしを感じてみてください。
問い合わせ先
- 舟屋ガイドとめぐる、まるごと伊根体験
- 料金/大人 ¥2,200、中学生~高校生 ¥1,600、小学生無料 ※大人1名で参加の場合は¥3,800
- TEL:0772-32-0277(伊根町観光協会)
- 住所/京都府与謝郡伊根町字平田491(伊根町観光案内所)
■3:伊根の舟屋と海を眺めながら、海鮮に舌鼓「鮨割烹 海宮(WADATSUSMI)」
ガイドさんによる散策の終着地は伊根浦公園。そこに隣接するエリアに、「鮨割烹 海宮(WADATSUMI)」があります。
その日あがった新鮮な海の幸を提供するからこそ、お魚の種類はその日の釣果次第。季節を感じながら、お寿司や煮魚といった海鮮料理をたっぷり楽しめます。
海を一望できる店内でいただいたランチは「わだつみ寿司御膳」。鮨に煮魚、刺身と海鮮尽くしなラインナップ。ボリューム感もたっぷりです。目の前に広がる海に、気分は上がりっぱなしに。目の前で職人さんがお寿司を握ってくれるのもうれしいサービスです。
もちろん、ネタは新鮮そのもの。絶景の中で舌鼓をうつ、最高のランチを楽しむことができます。伊根町散策と合わせて、ぜひ立ち寄りたいお店です。
問い合わせ先
- 鮨割烹 海宮(WADATSUMI)
- 営業時間/11:30〜14:30(L.O.14:00)、17:00~21:30(L.O.20:00) ※季節により営業時間が変更になる可能性があります
- 定休日/水曜日
- TEL:0772-32-1710
- 住所/京都府与謝郡伊根町字平田593番地1(舟屋日和施設内)
■4:天橋立産のぶどうで仕込んだワインで乾杯!「天橋立ワイナリー」&「Café du Pin」
日本三景のひとつで風光明媚な景観が楽しめる「天橋立」。そんな観光名所を目の前に望む場所にあるのが「天橋立ワイナリー」です。
仕入れたブドウだけでなく、建物の周辺にひろがるブドウ畑で育ったブドウを使ったオリジナルワインも作っているワイナリー。館内に入ると醸造施設をガラス越しに見ることができます。地下のセラーには樽も保管されており、ワイン好きじゃなくても普段目にしない雰囲気に気分があがるはず。
施設内には、直売所のほか、レストランやパン屋も併設。買い物欲がそそられるスポットです。
ワイン好きなら絶対試飲してほしいのが、この場でしか飲めない「Baby Wineフェダーロータ」。微発泡のこのワインは、ブドウ果汁を発酵させて数日という、名前が示すとおり赤ちゃんのようなできたてワイン。ジュースのような飲みやすさがある一杯です。
館内の販売所には、ワインがずらり。この地で作られたワインが欲しいなら、ラベルに「天橋立」と入ったものを探して。建物の周りにある畑で採れたブドウを多く使用しているワインの目安です。
ノンアルコール派なら、「ワインぶどうジュース」はいかがでしょうか。子ども向きではなく、大人向きのジュースで、ノンアルコールワインとして楽しめる一品ですよ。
問い合わせ先
- 天橋立ワイナリー
- 営業時間/【工場見学・ワインショップ】10:00〜17:00 【ぶどう畑のレストラン】11:00〜14:00(オーダーストップ)、14:00〜17:00(カフェ) ※平日のみ 11:00〜17:00(カフェも可)
- 定休日/水曜日
- TEL:0772-27-2222
- 住所/京都府宮津市国分123
ここでワインを買ったあとは、天橋立の近くでゆったりと休みながら飲める場所へ行ってみましょう。
天橋立には船が通るたびに回転する橋があります。そんな橋を眺めながら、ゆったりとできるカフェが「Café du Pin」。天橋立ワイナリーの姉妹店です。
店内は広々としており、散策後の休憩にもぴったり。ペットと過ごせる席もありました。窓際の席は、天橋立と水辺が織りなす絶景を楽しめます。
こちらではスイーツやフードと合わせて、天橋立ワイナリーのワインもいただくことができます。たくさん歩いたあとは、ワインとスイーツで一休みもおすすめ。動く橋や行き来する船を眺めながら、ゆったりと過ごして。
問い合わせ先
- Café du Pin
- 営業時間/9:00〜18:00
- 定休日/不定休
- TEL:0772-22-1313
- 住所/京都府宮津市字文珠468-1
■5:美食と酒と絶景を一度に楽しめる京都丹後鉄道のレストラン列車「丹後くろまつ号」
天橋立駅と西舞鶴駅を列車に揺られながら、おいしい食事が楽しめる京都丹後鉄道の「丹後くろまつ号」。一両だけの列車の車内は、4名掛けと2名掛けの座席が並ぶレストラン仕様。窓から絶景を眺めながら、地魚や地酒が楽しめる「地肴コース~海の京都の旬の地魚と地酒飲み比べ~」を楽しみました。
舞鶴漁港の仲買人資格をもつ店主が選んだ地魚ということもあり、海鮮のおいしさは格別。旬の蟹も登場し、乗客もテンションがあがります。
料理と合わせて登場するのは地酒3種。「海の京都」エリアの食材とのペアリングを満喫できるラインナップとなっています。それぞれ味わいが異なるので、お土産選びの参考にもなりそうです。
お土産にはオリジナルのおちょこが登場。さらに、さまざまなグッズの販売も行われていました。
食事もお酒も最高ですが、海沿いを走る列車ならではの絶景を楽しめるのが最大の魅力。とくに見どころとなっている場所では停車や徐行をしてもらえるので、シャッターチャンスに慌てることなく、美しい景色を眺めながらゆったりと食事を楽しめます。
乗車時間は80分ほどですが、食べ物にお酒に景色にと、目移りしているうちに、あっという間に西舞鶴駅へ。非日常感あふれるコースとなっているので、きっと旅の中でも思い出深いものになりますよ。
最新のコースや運行日等の最新情報は、HPをご確認ください。
問い合わせ先
- 京都丹後鉄道 丹後くろまつ号「地肴コース ~海の京都の旬の地魚と地酒飲み比べ~」
- 曜日/金、土、日、祝日
- 時間/天橋立 16:05発~西舞鶴 17:25着
海の幸・山の幸と、最高のペアリングが楽しめる地元のお酒。そして、京都市内とはまた異なる絶景が楽しめるエリアをご紹介しました。京都の街中もいいけれど、ときには自然と美食にあふれる「山の京都」「海の京都」と呼ばれるエリアへも足を運んでみてくださいね。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- ミノシマタカコ
- EDIT :
- 小林麻美