お出かけ気分が盛り上がる季節、新名所、食やアート、ホテルetc…大人を満たす東京のラグジュアリー・スポットが盛り上がっています!

雑誌『Precious』4月号では、別冊付録「とっておき『春のお出かけ』最旬LIST」を展開。

今回は「もっと自由なマインドで!クリエイティブを刺激する『アート愛』」と題して、アートライター・中村志保さんと美術ライター・浦島茂世さんにふらりと足を運びたくなる小粋なギャラリーや、アートピースのようなインテリア、アートを楽しめるランドマークビルなどをご紹介していただきました。

推薦してくれたのは…

中村志保さん
アートエディター・ライター
慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。ロンドン大学ゴールドスミス校メディア学修士課程終了。『美術手帖』編集部、『ARTnews Japan』エディトリアルディレクターなどを経て、フリーに。本誌でアートコンテンポラリーのページも連載中。
浦島茂世(もよ)さん
美術ライター
アートを中心に、歴史や暮らし、旅にまつわる記事を執筆。著書に『東京のちいさな美術館めぐり』(ジー・ビー)、『猫と藤田嗣治』(エクスナレッジ)など。本誌でのアートページの執筆のほか、ラジオやテレビ出演など、幅広いジャンルで活躍。

もっと自由なマインドで!クリエイティブを刺激する「アート愛」

■1:「Lurf MUSEUM(ルーフ ミュージアム)」|ふたつの世界観でアートのある暮らしを提案

「アートをもっと身近に──」。そんな思いを体現したギャラリー。1階はデンマークのヴィンテージ家具が配されたギャラリー兼カフェ、2階は天井の高い白い空間になっており、それぞれ相反する世界観のなかで、アート鑑賞できるのが特徴に。

家具_1
カフェには1930年代のデンマーク家具が置かれている。
無機質な2階のギャラリーでは、より作品と対峙することが。
無機質な2階のギャラリーでは、より作品と対峙することが。
昨年秋に開催された谷﨑一心(たにさきいっしん)氏の個展。優しい色彩の抽象絵画。
昨年秋に開催された谷﨑一心(たにさきいっしん)氏の個展。優しい色彩の抽象絵画。
代官山駅からほど近くにあり、訪れやすいのもうれしい。
代官山駅からほど近くにあり、訪れやすいのもうれしい。

「カフェはコーヒーの香り、照明、音楽も心地よく、とても落ち着けます」(中村さん)

作品は購入可能なので、カフェに飾られた様子を参考に、自宅での雰囲気をイメージしては。

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■2:「DAFT about DRAFT(ダフト アバウト ドラフト)」|人生を豊かに彩る創造性に満ちた家具が魅力

建築や都市設計を手掛けてきたデザイナー・建築家 山下泰樹(たいじゅ)氏によるプロダクツブランドのショールームおよび旗艦店。「同調・同質化されてきている暮らしに対して、もっと自分らしく、服を選ぶように自由な暮らしを提案したい」というコンセプトのもと、洗練されていながら温かみも感じるオリジナル家具を中心に、セレクトアイテムも揃えている。

家具_2
自然光が降り注ぐ、圧巻の広さを誇るショールームは、家具を見るだけでなく、インテリアの参考にも。
家具_3
個性と遊び心が感じられつつも、取り入れやすいデザインの家具が並ぶ。
小物_1
ショップコーナーには、贈り物にしたくなる小物も充実。

「開放的なショールームからは、楽しんで空間づくりをしている印象が感じられます!」(中村さん)

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■3:「BUG(バグ)」|注目アーティストの作品を通して日常に新しい視点をもたらす!

JR東京駅直結という抜群の立地。ギャラリーとしての枠を超え、アーティストやアートに携わる人々の活動をサポートする場として、昨年秋に誕生した。企画展の開催だけでなく、『BUG Art Award』といった独自のコンテストを主催し、アーティストたちの支援にも注力している。

日常に、新しい視点や違和感を与えられる場所でありたいと「バグ」と命名。
日常に、新しい視点や違和感を与えられる場所でありたいと「バグ」と命名。
今年開催された『第1回BUG Art Awardファイナリスト展』は、2次審査を通過した6名のグループ展。瑞々しい感性に溢れている。
今年開催された『第1回BUG Art Awardファイナリスト展』は、2次審査を通過した6名のグループ展。瑞々しい感性に溢れている。
ファイナリストのひとり、山田康平氏の絵画。
ファイナリストのひとり、山田康平氏の絵画。

次世代のアーティストにいち早く注目して!

「アクセスがよく、気軽にアートに触れられるのも素晴らしいですし、最先端のアートが見られるおもしろさもあります」(浦島さん)

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  • BUG(バグ)
  • 住所/東京都千代田区丸の内1-9-2グラントウキョウサウスタワー1F
  • Instagram/@bugart_tokyo
  • ※展示内容は期間により異なる。

■4:「ベルナルド 表参道」|フランス伝統磁器に革新を起こす実験的なアートピースに注目

リモージュ磁器の名ブランドが、パリ、N.Y.に次いで東京に旗艦店をオープン。フランスの食文化や伝統工芸技術の継承を掲げながら、食器を中心に、美しいコレクションを発表している。なかでも『アーティストエディション』シリーズは、さまざまな作家とのコラボによって生まれる、革新的な磁器作品。

人気アーティスト、ジェフ・クーンズの代表作『バルーン・ドッグ』を磁器で表現。この作品のためにメタルカラーの釉を開発。ジェフ・クーンズ『バルーン・ドッグ(ブルー)』¥10,164,000 (C)Jeff Koons
人気アーティスト、ジェフ・クーンズの代表作『バルーン・ドッグ』を磁器で表現。この作品のためにメタルカラーの釉を開発。ジェフ・クーンズ『バルーン・ドッグ(ブルー)』¥10,164,000 (C)Jeff Koons

あの名作がお家で楽しめるワン!

オリヴィエ・ガニェールの名作ゴブレット『エオリー』を、大きな花瓶に再構築。『パナレア』¥473,000
オリヴィエ・ガニェールの名作ゴブレット『エオリー』を、大きな花瓶に再構築。『パナレア』¥473,000
食器_1
外観

「フランスの食卓文化に関する講習会にも参加してみたい(中村さん)」と、定期的に行われるプログラムも興味深い。

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■5:「東急歌舞伎町タワー」|今見たい、旬の作家による充実のパブリックアート

劇場や映画館、ライブホール、ナイトクラブ、ホテルなどの大型複合施設として話題だが、館内の至る場所に展示されているパブリックアートも、大きな見どころのひとつ。

ホテルのエントランスを華やかに彩る絵画。篠原有司男「オーロラの夢」 撮影/木奥惠三
ホテルのエントランスを華やかに彩る絵画。篠原有司男「オーロラの夢」 撮影/木奥惠三
「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」45階のレストランに。直径250cmの球体の中でLEDが点滅する。大巻伸嗣「Gravity and Grace: Lucidus(Lucida)」 撮影/木奥惠三
「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」45階のレストランに。直径250cmの球体の中でLEDが点滅する。大巻伸嗣「Gravity and Grace: Lucidus(Lucida)」 撮影/木奥惠三
同ホテルの1階エレベーターホールには版画が。新城大地郎「東京、愛の森」 撮影/木奥惠三
同ホテルの1階エレベーターホールには版画が。新城大地郎「東京、愛の森」 撮影/木奥惠三
解体直前の「歌舞伎町ブックセンタービル」の全フロアを切り抜き、積み重ね、ビル内の残留物を挟んだ彫刻。Chim↑Pom「ビルバーガー」 撮影/木奥惠三
解体直前の「歌舞伎町ブックセンタービル」の全フロアを切り抜き、積み重ね、ビル内の残留物を挟んだ彫刻。Chim↑Pom「ビルバーガー」 撮影/木奥惠三

世代、ジャンルを超えて世界的に活躍する26組の作家のアートピースは「歌舞伎町の歴史や文化をテーマにつくられたものも多く、ここでしか鑑賞できないものばかりです!(浦島さん)」。建物の中を宝探しのように巡る、新しい楽しさがある。

(C)TOKYU KABUKICHO TOWER
(C)TOKYU KABUKICHO TOWER

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■6:「PARCEL/parcel(パーセル)」|自由な雰囲気残る馬喰町で観る現代アートは格別

なんと、元は立体駐車場や雀荘というから驚き!

「人気エリア・日本橋馬喰町ならではの空間(浦島さん)」というように、進化しつつある街のムードと調和する、現代アートを中心としたユニークな展覧会を行っている。

ホテル併設の「PARCEL」は、上から作品が見下ろせる空間を生かして、彫刻を扱うことも多いのだそう。裏手のビルにある「parcel」は、若手作家のためのスペースとして、次世代の活躍を応援。

立体駐車場をギャラリーに改装した「PARCEL」。今年1〜3月に展示された、益子焼を手がける彫刻家・藤原彩人(あやと)氏の大型作品に、益子焼の概念が覆される!
立体駐車場をギャラリーに改装した「PARCEL」。今年1〜3月に展示された、益子焼を手がける彫刻家・藤原彩人(あやと)氏の大型作品に、益子焼の概念が覆される!
「parcel」で行われた、武田 龍氏と大石一貴(かずき)氏による二人展「HANNAH」の様子。異なる世界観ながら、不思議と調和している。
「parcel」で行われた、武田 龍氏と大石一貴(かずき)氏による二人展「HANNAH」の様子。異なる世界観ながら、不思議と調和している。

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■7:「魔法の文学館」|思わず大人も童心に返る異空間での文学体験

『魔女の宅急便』で知られる児童文学作家・角野栄子(かどのえいこ)さんの世界観を表現。隈研吾氏設計の真っ白な建物の中に一歩足を踏み入れると、一面いちご色の空間に!

公園の風景に溶け込む、白い建物が目印に!
公園の風景に溶け込む、白い建物が目印に!

芝生が広がる丘は読書スペースとして開放!

現在89歳にして活躍し続ける角野さんの人生には、学ぶことも多い。著書には大人向けのエッセイなども。
現在89歳にして活躍し続ける角野さんの人生には、学ぶことも多い。著書には大人向けのエッセイなども。
鎌倉の仕事場をイメージしたアトリエ。直筆のノートや愛読書を展示。
鎌倉の仕事場をイメージしたアトリエ。直筆のノートや愛読書を展示。
角野さんが愛するいちご色の内観に、思わず日常を忘れて。東京にこんな場所があったとは!
角野さんが愛するいちご色の内観に、思わず日常を忘れて。東京にこんな場所があったとは!

 館内はライブラリー、シアター、アトリエなどに区分され、作品はもちろん人柄にも触れることができ、「大人も子供の頃に戻ったかのような温かい気持ちに(中村さん)」。

ライブラリーのコンセプトは、本を「探す」。対象年齢以外、ジャンル分けをあえてせずに並べることで、未知なる一冊との出合いを提案している。

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EDIT&WRITING :
湯口かおり、木村晶・池永裕子(Precious)
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