ローマンハイジュエラーとして輝き続ける一方、近年はウォッチメイキングにおいてもスイスの名門マニュファクチュールと比肩する技術力とステイタスを築き上げた「ブルガリ」。その立役者が、プロダクト クリエイション エグゼクティブ ディレクターのファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏です。
創業140周年、そしてアイコンウォッチ『ブルガリ・ブルガリ』誕生50周年とふたつのアニバーサリーイヤーを迎えた2024年、「ブルガリ」のレディスウォッチの現在地、そして今後の展望などを語っていただきました。

50年経ても色褪せない『ブルガリ・ブルガリ』という永世名品
20年以上にわたり、「ブルガリ」のウォッチメイキングにおけるキーパーソンとして数々の名品を生み出してきたボナマッサ氏。2024年最初の新作発表では、誕生50周年を迎えた『ブルガリ・ブルガリ』から久しぶりにレディスモデルがリリースされ、「アイコン」と呼ばれる名品の魅力を改めて印象づけました。
ボナマッサ氏にとって、『ブルガリ・ブルガリ』とはどんなウォッチコレクションなのでしょうか?

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「『ブルガリ・ブルガリ』の新作ローンチを決めたのは、現代社会にマッチするコレクションであったためです。私のキャリアを通しても『ブルガリ・ブルガリ』のデザインを見直したのは、トレンドや動向に合わせる必要があったほんの数回にすぎません」
それは50年前の誕生時、すでにデザインが完成されていたからでしょうか?
「このコレクションのルーツを振り返ったとき、創業者ファミリーであり当時の経営者であったジャンニ・ブルガリと、伝説的デザイナーであるジェラルド・ジェンタが創作したオリジナルピースに、私の新しいアイデアを加える必要性を感じなかったからです。なので今回の新作開発においては、また改めてルーツをたどり、サイズについて考え、結果、レディス向けとメンズ向けの2サイズのみに絞りました」
ケース素材とダイヤルカラーの組み合わせは2サイズとも、イエローゴールドとブラックダイヤル、ピンクゴールドとオパーリンダイヤルで展開。
「ロゴはダイヤルに配さず、ベゼルの刻印のみという本来の形に立ち返ったバランスにしました。そう、より『ブルガリ・ブルガリ』のオリジナルピースに近いデザインを目指したのです」

『ブルガリ・ブルガリ』はPrecious世代にも愛用者が多いモデル。そんな日本の女性たちは、こうして新作が発表され、改めてこのウォッチコレクションにスポットが当たることを喜んでいるに違いありません。
「個人的な発見なのですが、『ブルガリ・ブルガリ』が特に愛されている都市はふたつあるように思えます。ローマと東京です。ブルガリはローマ生まれですから、当然ローマの女性に広く受け入れられていますが、東京でも愛用してくださっている女性を大変多く見かけます。東京は私たちにとってとても重要なマーケットであるだけでなく、ほかの主要マーケットとスタイルが違う都市であるというように感じています」
具体的には、どんなところが違うのでしょうか?
「東京の女性たちは、非常にクールかつエレガントに『ブルガリ・ブルガリ』をつけこなしていて、ほかの都市とはまた違うこのタイムピースの側面を見つけることができます。日本の女性は、美しさというものに対して非常に自然体で接しているように見受けられるんですよね。
また、日本では素晴らしい“ものづくり”づくりの文化が継承されていますが、それこそがイタリアンカルチャーとの共通点。日本とイタリアは距離的には離れていますが、美しさの捉え方が似ている気がします。『ブルガリ・ブルガリ』とそのストーリーが、日本の女性たちに受け入れられる理由はそこにあるのかもしれませんね」
「ブルガリ」のDNAを大切にしながら、今、また新たな挑戦が始まる
2024年最初の新作発表では、「ブルガリ」の新たなアイコンとなった『ルチェア』と『オクト フィニッシモ』からも、新たな魅力を宿すニューモデルが登場。創業140周年を祝うにふさわしいバラエティ豊かな顔ぶれが揃いました。
誕生10周年を迎えた『ルチェア』は、ブレスレットのデザインを刷新し、より現代的にアップデート。ケース径28mmのクオーツと33mmの自動巻き、全7モデルが展開されます。

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ボナマッサ氏にとって、「ブルガリ」でレディスウォッチをつくる醍醐味はどんなところに感じるのでしょうか?
「レディスウォッチというのは、実はとても難しいのです。男性は車のエンジンについて語ることを好むのと同様に、ムーブメントやコンプリケーション(複雑機構)といった技術的な側面に注目します。一方、レディスはエモーションで語られることが多く、それが難しさの理由です」
確かに私たち女性にとっては、ムーブメントや複雑機構といったメカニカルなことよりも、自分に合うか? 自分が好きか? と、あくまでも大切なのは「自分軸」。
「ひとりひとり、当然違うスタイルや好みをもっているため、そこにリーチすることはとても難しいです。『セルペンティ』が好きな人、『ブルガリ・ブルガリ』を好む人、本当にそれぞれですから。また男性は機能性を重視するのに対し、女性は美しいジュエリーとしての役割をウォッチに求めます。
ただその双方において、ブルガリのDNAはとても大事ということは共通しています。ブルガリというブランドを愛してくださるからこそ、そのウォッチを求められるのですから」
近年ではウォッチにおいても、すっかり「ジェンダーニュートラル」という概念が定着しました。新作の『オクト フィニッシモ』も、40mm径というグラマラスなサイズ感ながら、持ち味であるその「薄さ」から、女性の手首にも違和感なくなじむエレガントなジェンダーレスウォッチに仕上がっています。

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4月にジュネーブで開催される時計フェアはじめ、2024年はまだまだ嬉しいサプライズを、美しいタイムピースと共に届けてくれることを期待しています。今後はどのようなウォッチメイキングを展開されていくのでしょうか?
「それは私も非常に気になるところです(笑)。しかし、まず確実に言えることは、ムーブメントの開発はこれからも進んでいくということです。女性の方には少し遠い存在かもしれませんが、とても複雑な機構を搭載したハイコンプリケーションにまた新たに取り組み、開発していくこととなるでしょう。
この15年ほど、薄型の機械式時計『オクト フィニッシモ』やハイコンプリケーション、そして世界最小の機械式手巻きムーブメント“ピコリッシモ”を搭載したレディスウォッチの開発に取り組んできたことで、さまざまな知見と、それに基づく開発経験を重ねてきました」

そして今は、「これからの10年に向け、新たな挑戦の始まりに位置している」と、ボナマッサ氏はその瞳を輝かせます。
「さらに複雑なムーブメントの開発が始まりますが、毎回この挑戦をしていくことは私たちにとって不可欠なのです。もちろん、ウォッチコレクターの方に満足いただけるものをつくるとことは簡単なことではありませんが。また、今後はさらにレディスウォッチの開発にも注力していきます。
いずれにしろ言えることは、将来は”明るい”ということです(笑)。皆さんの興味をそそるようなムーブメントやデザインの開発が、今現在も進められているからです」
今回のインタビューで、自身の「思い入れが深い作品」のひとつとして、未発表のハイジュエリーウォッチを挙げたボナマッサ氏。現在、鋭意製作中で、今夏にお披露目予定とか。ローマンハイジュエラーとしての「ブルガリ」のサヴォアフェールを、数々のまったく新しいアイデアと共に形にした新たなハイジュエリーウォッチはまた、世界の女性たちにこの上ないときめきと夢を与えるに違いありません。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 田中麻衣(人物/小学館)
- WRITING :
- 岡村佳代
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)