温泉旅行の目的地として真っ先に候補に挙がりやすい草津。2023年度には観光客数が過去最多の370万人を記録するなど、ますます活況を呈する草津について、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんはこう話します。
「草津の魅力を一言で表すならば、“進化し続ける温泉街”。自然湧出量日本一を誇り、古くからたくさんの人々の心と体を癒し続けてきましたが、2018年から再開発が進められ、より幅広い層が楽しめる魅力溢れるまちへと変わりつつあります。古き良き温泉街の風情は残しつつ、新しい観光スポットも次々と生まれており、新旧融合の多彩な表情をもつ草津。不動の人気も納得です」(植竹さん)
そんな注目度大の草津には、湯宿が約180軒もあるといわれます。そのなかからPrecious.jp読者におすすめの宿5軒を植竹さんにピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは2019年にオープンした「草津温泉 炯-kei-」です。
公式サイト
個性溢れる3種の湯舟を制覇して美肌もリフレッシュも実現!
草津温泉の中心地・湯畑から徒歩3分ほど。地蔵通り沿いに佇む「草津温泉 炯-kei-」は12歳以下宿泊不可の温泉オーベルジュ。7つある客室の全てがスイートタイプで、うち3室が露天風呂付きという、温泉・宿泊・レストランのどこを切り取っても贅沢な大人のためのおこもり宿です。
「こちらの宿で特筆すべき点は、3つの個性ある貸切風呂『AWASE』『HIKARI』『RYOKU』があること。しかも、『AWASE』と『HIKARI』は地蔵源泉、『RYOKU』は万代鉱源泉を引いており、ひとつの館内で草津の名湯2種の入り比べが可能です」(植竹さん)
「まず、『AWASE』は3つの浴槽が並んだユニークな造り。右から左に行くにつれて湯温が高くなっています。ひとつの浴槽に10分ほど浸かったら、隣の浴槽へ移り、利き湯感覚で湯の温度差を肌で受け止める…。このように低温から高温へと温度の違う湯を巡るのは、“合わせ湯”といって、草津古来の入浴法なんです。
合わせ湯は、草津の酸性泉に徐々に体を慣らすことでき、さまざまな病にアプローチする効果が期待されるともいわれています。スタイリッシュな建築美を感じられる空間で、草津の伝統的な入浴法を満喫するという非日常体験が叶えられるのは、こちらの宿の魅力です」(植竹さん)
「続いて『HIKARI』は、“侘び”の精神で過剰なものをそぎ落とした空間。竹に囲まれた造りがアーティスティックで、さらに夜にはライトアップの演出もあり、いっそう気分が盛り上がります」(植竹さん)
「唯一の露天風呂『RYOKU』は、緑に囲まれた草津の空気を感じながら湯を愉しむことができます。『RYOKU』が引いている万代鉱源泉は比較的透明感が高い湯なので、湯面に景色がリフレクションするのも風情満点です。
『AWASE』と『HIKARI』が引いている地蔵源泉は、強酸性泉が特徴の草津のなかでも比較的マイルド。一方、『RYOKU』の万代鉱源泉は、お肌に程よく喝を入れてくれるような浴感です。2つの湯を入り比べることで、温泉のさまざまな成分の恩恵を取り入れることができたのか、湯上りには毛穴が引き締まったのを実感し、私の体験ではその効果が数日間持続したように感じられました」(植竹さん)
全7室がスイートルーム!ラグジュアリーな空間で心身を癒す
「草津温泉 炯-kei-」では、全7室が70平方以上のスイートタイプで、内3室は露天風呂付き。それぞれ造りが異なりますが、どの部屋もとびきり優雅な草津ステイを叶えられる環境です。
「私は“A01”という露天風呂付きの部屋に泊まりました。和室もあってほっと寛げる温かみも感じられるけれど、昔ながらの旅館のそれとは違う、どちらかといえばラグジュアリーホテルに近いような洗練された空間です。旅館よりホテル派の人にとっても満足度が高いのではないでしょうか。個人的には壁をくり抜いたような造りの隠れ書斎スペースが設けられているのが、斬新で心惹かれました」(植竹さん)
「また、私が泊まった“A01”の客室には、万代鉱源泉を引いた露天風呂が。坪庭を眺めながらの湯浴みをいつでも好きなときに好きなタイミングで楽しめるのは、まさしく贅沢の極みです」(植竹さん)
温泉オーベルジュで味わう至福の創作会席に舌鼓!
夕食は、日本料理をベースとしつつ、ジャンルにとらわれない創作会席コース。最善の調理法を追求し創り出された一皿一皿が描くストーリーに胃袋も心も満たされます。
「天井が高く華やかな雰囲気の食事処でいただくお料理は、トレンドを研究し尽くして素材のよさを引き出すことや見た目にもとことんこだわっているという印象。
例えば、私は秋に訪れたのですが、きのこのスープは単なるペーストではなく、中央に月に見立てて豆腐を配し金粉があしらわれるなど、魅せる選出が素敵です。八寸もひとつひとつの料理の盛り付けに心ときめきましたし、メインの赤城牛は、藁焼きで旨味を内部に閉じ込めた状態で頬が落ちるおいしさでした」(植竹さん)
以上、「草津温泉 炯-kei-」をご紹介しました。歴史ある温泉街に佇むモダンでスタイリッシュな宿で、貸切温泉や美食を堪能したい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 草津温泉 炯
- 住所/群馬県吾妻郡草津町草津297
客室数/全7室
料金/朝夕2食付 2名1室1人あたり¥49,500(税込)~ - TEL:0279-82-1800
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