カレンダーや手帳で「半夏生」という文字を見たことはありませんか? これ、なんて読むのでしょう。「はんなつお?」いいえ、違います。「はんげしょう」と読むのです。今回はこの謎の生物のような「半夏生」について。うだるような気候が続く時期のビジネス雑談のネタに、覚えてみてください。

【目次】

「半夏生」は薬草の名前でもあります。
「半夏生」は薬草の名前でもあります。

【「半夏生」って何?基礎知識】

■読み方

「半夏生」は、「はんげしょう」と読みます。

■意味

「半夏生」とは、雑節(ざっせつ)のひとつ。雑節とは、日本の暦のなかで二十四節気(にじゅうしせっき)以外の、節分や彼岸、八十八夜、土用など、季節の目安となるような日を言います。そして「半夏生」は夏至の第三候で、夏至から数えて11日目。現行暦では太陽の黄経100度に達したときで、7月2日ごろにあたります。

■2024年の「半夏生」はいつ?

2024年は7月1日の17時31分に「半夏生」に入ります。

■「半夏生」という名称の由来、「半夏」との違い

「半夏生」を過ぎると梅雨が明けて本格的な夏…のはずですが、ここ数年の気候変動は暦さえ脅かす勢いですね。「半夏生」という名称もなんだか不思議。

ドクダミ科の多年草に「ハンゲショウ」という植物があります。別名を片白草(カタシログサ)と言うこの植物が「ハンゲショウ」と言われる由来は、「半夏生」の時期に花が咲くからとも、卵形の葉が白く、お化粧をしているように見えるからとも。

また、サトイモ科の「カラスビシャク(烏柄杓)」という多年生植物は別名を「半夏(はんげ)」と言い、地下茎の塊状の部分を乾燥させると「半夏 」という漢方薬になり、止嘔や利尿、鎮咳、去痰剤として治療に用いられます。ちょっとややこしいのですが、植物の「ハンゲショウ」と、カラスビシャクからつくられる漢方薬の「半夏」、そして雑節の「半夏生」があるのです。


【「半夏生」に何をする?】

カラスビシャクには仏炎包(ぶつえんほう)という、大形の包(ほう)があります。「半夏生」の時期に蛇の頭のように見えてよく目立つので、これを目安に田植えの周期の目安としてきたのだとか。「半夏生」を過ぎて田植えをすると実りがよくないとされるため、ハンゲショウには「守田 (しゅでん)」 という別名もあるのです。

田植えのほかの「半夏生」の風習などを紹介します。

■タコを食べる

稲作にとって大切な時期である「半夏生」。関西では「半夏生」にタコを食べる習慣があるのだとか。これは、田んぼに植えた稲がタコの足のように大地にしっかり根付き、豊作になるようにとの願いが込められているのです。「立って歩く」といわれるほどどっしりとした太い足をもつ兵庫県明石のおいしいタコが、新鮮なうちに手に入るからでしょうか。関西では甘露煮や柔らか煮、酢だこ、天ぷらなど、さまざまに食べられます。

■カビや雑菌に要注意

実は「半夏生」は「物忌みの日」とも呼ばれています。「天から毒が降る」いういわれがあるため、井戸に蓋をしたり、この日に収穫した地面に生える植物は食べないなどの習慣も生まれました。この時期は湿気が多く、カビや雑菌が繁殖しやすいので、「毒が降る」と言って食べ物や水など口にするものに注意を促し、疫病を流行らせないようにしたようです。

■休息する

食べ物への注意も必要ですが、湿気の多い時期は体にも熱や湿気が溜まりやすく、体調が崩れやすくなります。「田植えで疲れた体をゆっくり休める」という先人の知恵を借り、この時期は仕事も家事も無理をせず、食べ物に気を付け、十分な睡眠をとって養生するに越したことはなさそうです。

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二十四節気や雑節は、その時期にすべきことや避けるべきことを教えてくれます。また、「へぇ…」と思わせてくれる事柄もたくさん。ぜひ、これらの話題をビジネス雑談に役立ててくださいね。

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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『12か月のきまりごと歳時記(現代用語の基礎知識2008年版付録)』(自由国民社) :