鮨は、美しくて、エレガント。雑誌『Precious』9月号の別冊付録では【やっぱり「鮨」が好き!】と題して、日本人のソウルフード・鮨を特集。北陸をはじめとする日本各地の名店から、注目の新潮流店まで、「おいしい鮨」をたっぷりとご紹介します。

ここでは、新店を中心に、今、東京で行きたい鮨店を、フードライターの森脇慶子さんに教えてもらいました。食べる人をラグジュアリーへと誘う名店揃いです。

今回はその中から、銀座「鮨 門わき」をご紹介します。

森脇慶子さん
フードライター
至福の味を求めてオンもオフも食べ歩く。スープ、鮎、フカヒレが好き。著書に『東京 最高のレストラン』(共著/ぴあ)など。

鮨 門わき|名人の仕立てと職人の鮨愛、鮮度の向こう側の美味鮨

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茶色マルハタや太刀魚など“ジョ兄”から仕入れたネタは、寝かせるほどに脂が乳化して白っぽくなる。白身とは思えないほどのうま味。木製冷蔵庫で氷の冷気だけで冷やすため乾燥せず、しっとりとしている。

歴戦の鮨好きでもお目にかかったことがないネタが「鮨 門わき」にはある。それは、鹿児島の魚屋で仕立ての名人である通称“ジョ兄”から届く魚。流通にのらない極上の希少個体を完璧に血抜きしているため、店で寝かせるほどに脂が乳化し、うま味がまわっていく。店主の門脇賢寿さんはその信頼関係から、食材を“ジョ兄”から仕入れている東京でも数少ない鮨職人。最高の食材にひと手間をかけ、鮨という最終形に仕立てる。

鮮度を超えた極上の味は白身魚でも赤ワインがよく合い、門脇さんが紡ぐ1貫のストーリーに魅せられる。おまかせは、前菜3品の後に鮨が15貫ほど供される。かつての鮨屋台のようなひさしのあるカウンター、木製冷蔵庫など、門脇さんの鮨への愛と「喜んでもらいたい」という熱意が生む鮨は、ラグジュアリーの極み。

ゆでダコの下に海苔をしのばせ、塩をぱらり。タコのゆでを極めた門脇さんの自信作で、その味、香り、柔らかさに驚く。シャリは鮨好適米の『笑みの絆』。
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酢締めしたあとに5日寝かせたコハダ。
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かんぴょう巻きは海苔と共にかみ切れるよう、かんぴょうは細かめに切っている。福岡有明海の一番摘みの海苔を巻いて。
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ウニを炭火であぶって甘さを出し、毛ガニと和えてカラスミを削った。調味料は一切使わず、引き算のおいしさが際立つ酒肴。
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2週間寝かせたシロボシフエダイはうま味のコクが強く、赤ワインと合う。「ザンダー・ソーレン」のピノ・ノワールと共に。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
※掲載の情報は、2024年7月のものです。メニューは季節によって変わります。価格が変わる場合もあります。

【DATA】

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「鮨 門わき」店内
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  • 「鮨 門わき」
  • 時間:17:00~20:00(最終入店) 
    定休日:日曜・祝日
  • おまかせ¥35,000〜。カウンター10席。要予約
  • TEL:050-5385-4750
  • 住所:東京都中央区銀座7-4-6 6F

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PHOTO :
合田昌弘
COOPERATION :
森脇慶子
EDIT&WRITING :
松田亜子、木村 晶(Precious)
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