「銭湯」に行ったことはありますか? 10月10日は「銭湯の日」。都内の銭湯では「ラベンダー湯まつり」が開催され、常連客だけでなく、ランナーや自転車ツーキニストと呼ばれる自転車通勤者たちで賑わいます。ということで今回のテーマは「銭湯の日」。その由来や目的、「銭湯の日」にまつわる雑学を解説します!

【目次】

日付には東京五輪が関係しています。
日付には東京五輪が関係しています。

【「銭湯の日」とは?「日付」と「由来」】

■「銭湯の日」は「いつ」、「誰が」決めたの?

「銭湯の日」は、1991年に東京都公衆浴場業環境衛生同業組合(現在の東京都公衆浴場業生活衛生同業組合)によって制定されました。その後、1996年には日本記念日協会の登録認定を受けています。

■「目的」は?

10月10日は、日本で初めてのオリンピックが東京で開催された日(1964年10月10日)です。この東京オリンピックをきっかけに、日本人のスポーツに対する意欲が高まり、健康増進の目的でスポーツ人口が年々増加していったといわれています。一方、スポーツで汗をかいたあとに入浴することや、銭湯での入浴が健康面でメリットがあることが入浴実験で証明され、スポーツと入浴は密接に関係していることが判明しました。そう、「銭湯の日」は、スポーツで汗をかいたあとに入浴をすると健康増進につながることの周知と、銭湯の利用促進が目的なのです。

■「日付」の「由来」は?

「銭湯の日」が10月10なのは、上でも触れた、1996年の東京オリンピックの開幕日にちなんでいます。また、「1010」がセントウと読める語呂合わせや、1999年まで10月10日が「体育の日」であったことも由来のひとつです。


【ビジネス雑談に役立つ「銭湯の日」と「銭湯」の雑学6選】

■東京都内の銭湯では「銭湯の日」に「ラベンダー湯まつり」を開催!

東京都内の公衆浴場(銭湯)では、「銭湯の日」を記念して、「ラベンダー湯まつり」を実施します。実は東京の銭湯で「ラベンダー湯まつりの日」が行われるのは、2024年の今年で29回目! ラベンダーは伝統的な銭湯の変わり湯として古くから親しまれてきた、菖蒲湯とゆず湯に次ぐ、3つめの定番変わり湯なんですね。ラベンダーの香りは主に副交感神経を刺激して、疲労感を取り除いたり不眠を改善するなど、リラックス効果があることがさまざまな臨床実験で証明されています。「ラベンダー湯まつり」では、乾燥ラベンダーを使ったハーブ湯を楽しめるほか、先着順に公式キャラクター・ゆっポくんの特製タオルのプレゼントも実施されます。

※配布数は各店で異なり、実施日が変更になる場合もあるので、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合の公式サイトで、ご利用の浴場の情報をご確認ください。

■「残暑バテ」「秋バテ」って知ってる?

東京都心では10月に入っても暑さが継続的に続き、ついに10月4日には最高気温30.4度を観測。10月になってから2度目の「真夏日(最高気温が30℃以上の日)」を記録しました。10月に2回真夏日になったのは、5年ぶりです。もしもあなたが最近、全身の疲労や倦怠感、食欲不振、メンタルの不調などを感じていたら…それは近年クローズアップされている「残暑バテ」あるいは「秋バテ」かもしれません。

残暑バテをひと言で説明するならば、自律神経が狂ってしまった状態です。エアコンの効いた部屋にこもりっぱなしなど、真夏の暑さを回避し汗をかかない生活をしていた結果起こる不調とされています。私たちは暑さ対策によって、知らないうちに体力を奪われていたのです。一方、秋バテは、熱帯夜から解放されて朝晩は涼しくなってきたのに、日中は30度以上の真夏日になるという天候により、交感神経が優位になりすぎて起こる状態を指すといわれています。残暑バテも秋バテも、キーワードは「交感神経が優位になりすぎる」。そこで、ラベンダーの香りがもたらすと言われている、副交感神経を優位に導く効果が、この時期、改めて注目されているのです。

■「銭湯」はいつからあったの?

「銭湯」誕生のきっかけには、仏教が関係しています。6世紀に日本に伝わった仏教は、聖徳太子の積極的な導入政策もあり、国家宗教へと急速に成長しました。仏教は沐浴の功徳を説き、汚れを洗うことは仏に仕える者の大切な仕事と説きました。入浴に必要な七物――燃火(ねんか)、浄水、澡豆(そうず)、蘇膏(そこう)、淳灰(じゅんかい)、楊枝(ようじ)、内衣(ないい)――を整えると七病を除去し、七福が得られると記された「温室教」という沐浴の功徳を説いた経文もあるほどです。寺院では七堂伽藍のひとつが浴堂と呼ばれ、施浴が盛んに行なわれました。奈良の東大寺や法華寺には、今でも大湯屋や浴堂が残っています。

もちろん、庶民の家には浴室はなく、町湯もなかった時代です。寺院の施浴は宗教的な意味だけでなく、庶民にとって、うれしい施しであったようです。施浴によって、庶民の間に入浴の素晴らしさが伝わり、平安時代の末には京都に銭湯のはしりともいえる「湯屋」が登場しました。

■江戸時代の銭湯は蒸し風呂でした!

江戸初期の随筆集『慶長見聞録』(1614年刊)には、「天正19(1591)年、伊勢与市という者が銭瓶橋(ぜにがめばし:現在の常盤橋付近にあった橋)のほとりに銭湯風呂を建てた」と記録され、これが江戸で最初の銭湯だといわれています。慶長年間の終わり(17世紀初頭)になると、「町ごとに風呂あり」と言われる程に銭湯は広まりました。

ちなみに、江戸最初の銭湯は蒸し風呂だったと考えられており、現在のようにたっぷりの湯に首までつかる「据(すえ)風呂」ができたのは、慶長年間(1596~1615年)の末ごろ。据風呂は「水(すい)風呂」とも呼ばれ、一般の庶民の家庭に広まります。文化  年間(1804~1818年)には、江戸中に銭湯が約600軒あったと言われています。

■江戸の銭湯は混浴でした!

江戸の銭湯は「入り込み湯」と言われ、男女混浴でした。問題視されなかったわけではなく、幕府は何度か禁止令を出したものの、実際はなかなか改まらず、天保の改革(1841~1843年)の際、厳しく取り締まりが行なわれました。その結果、浴槽の中央に仕切りを取り付けたり、男女の入浴日時を分けたり、また男湯だけ、女湯だけという銭湯も現われたようです。明治になると、明治政府は幕府以来の旧弊として、男女入り込み湯は特に厳しく禁止し、たびたび通達を出します。しかし、長年の風習はそう簡単には改まりません。実際に混浴がなくなったのは明治の中ごろだったと言われています。

■銭湯の屋号で多いのは?

銭湯の屋号は、「松竹梅」「鶴亀」など、縁起のいい名前が印象的です。では実際にはどんな名前が多いのでしょうか。東京都内の銭湯の屋号、ベスト10は次のとおりです(東京都公衆浴場業生活衛生同業組合、平成27年4月10日調べ)。

第1位…松の湯(17軒)
第2位…栄湯、寿湯(13軒)
第4位…竹の湯、大黒湯(12軒)
第6位…鶴の湯、富士の湯(10軒)
第8位…日の出湯、亀の湯、旭湯(8軒)
第11位…梅の湯、弁天湯(7軒)
第13位…稲荷湯、富士見湯、千代の湯(6軒)
第16位…金春湯、大和湯、天神湯、藤の湯(5軒)

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10月10日は「銭湯の日」。東京都内の銭湯では、今年で29回目となる「ラベンダー湯まつりの日」が行われます。29年前の10月10日は、秋を満喫できるような気候だったのかもしれませんが、昨今の10月10日はまだまだ暑さが残り、晩夏の趣ですね。ラベンダーには副交感神経を優位に導く効果があり、疲労感を取り除いたり不眠を改善するなど、リラックス効果があるとされています。「銭湯の日」には、ご自宅でもラベンダー風呂を楽しんではいかがでしょうか。

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この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /『12か月のきまりごと歳時記(現代用語の基礎知識2008年版付録)』(自由国民社) /一般社団法人日本記念日協会HP(https://www.kinenbi.gr.jp) /東京都公衆浴場業生活衛生同業組合HP(https://www.1010.or.jp) :