加賀温泉郷の一角にある山中温泉。今から遡ること約1300年、奈良時代に大僧正の行基が紫雲を手掛かりに、山中温泉の厳選を見つけ、疲れを癒したと伝えられています。

山中温泉にあるラグジュアリーな湯宿「花紫」へ、今回は東京から北陸新幹線を利用して訪れました。24年春の北陸新幹線の延伸により、東京から山中温泉の最寄り駅である加賀温泉駅まで、金沢駅で乗り換えることなく行けるように。東京駅から加賀温泉駅までは最短で2時間50分を切り、金沢駅と加賀温泉駅の間ならば、約20分でアクセスできます。

「花紫」と加賀温泉駅間は送迎サービスを利用(前日までに要予約)、新幹線の到着時間に合わせて迎えに来てくれます。送迎車にて約20分のドライブで宿に到着します。

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暖簾をくぐり、アートの宿にチェックイン。

暖簾をくぐった先に広がっているのはシンプルモダンなロビー空間。香が焚かれ、オブジェからしたたる水の音を感じていると水琴窟の中にいるようにも感じられます。

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まるでギャラリーのようなロビー。

まずは豊かな緑を目にくつろげるラウンジで、ウェルカムティーのもてなしを受けます。生の大葉やスダチなどを使ったフレッシュハーブティーで一息つきました。

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琥珀糖と干菓子、季節ごとに変わるオリジナルのブレンドティーでのおもてなし。

アートに囲まれたギャラリーのような新スイートにステイ

今回滞在するのは2024年10月、新たに加わった客室「アートスイートルーム 夏の5」。室内に露天風呂とサウナ、水風呂を備えた、1室のみの特別室です。広さは140平米、なんと通常の2部屋分だそう。

室内各所に石川県のアーティストによる作品、しつらえが。ドアを開けると迎えてくれるのが繊細なガラスアートです。

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泊まらなければ目にすることができない、唯一無二の作品。
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繊細な自然の織り成す美しさ。

石川県とアメリカの二拠点で活動するガラス作家・佐々木類さんと花紫のオーナーが、山中温泉を巡り、自然の中で採取した草花がちりばめられています。

ガラスアートを愛でた後は広いリビングルームへ。モダンな空間の中央にある、金沢の漆芸家・杉田明彦さんによる漆のメインテーブルが印象的です。さらには、オブジェ、照明、扉の取っ手などアートや金工が各所に配され目を楽しませてくれます。

そして、窓の外には豊かな自然、まるで一枚の絵のように感じられます。

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「アートスイートルーム 夏の5」1泊2食付き1名料金¥106,000~(1室2名利用時)。
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室内にはロエベ財団「Craft Prizeファイナリスト(2020)の鵜飼康平さんのオブジェも。
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自然に包まれたように感じるベッドルーム。

目の前には鶴仙峡の自然の美。窓辺にしばしたたずみ、豊かな緑に心癒されました。紅葉も美しいことでしょう!

スイートルームの露天風呂とサウナで、お籠り湯あみ三昧!

今回も、まずは湯あみと参りましょう!

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バスルームもアートのような空間。

バスルームの格子を開け、湯船に浸かると、まるで自然の中に身を置いているようなバスタイムが過ごせます。無色透明のさらりとした温泉にゆっくりと浸かり、心地よい時が流れていきます。

バスルームのすぐ隣にサウナがあるので内風呂は水風呂に。思いのままに、ととのう体験もできてしまいます。

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プライベートなサウナ体験も存分に!
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湯上りは窓辺のチェアでのんびり。冷蔵庫のクラフトビールで喉を潤しました。
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アメニティのスキンケアは自然派のルバンシュ。石川ブランドです。

午後のひと時は「茶房(SABO)」へ。さまざまなお茶や甘味、カクテルなどがいただけます。

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ロビーフロアにある「茶房」。営業は9:00~18:00。

メニューを見ていると茶葉のサンプルが運ばれてきます。お茶の香りをかぎ、産地や特徴をスタッフに聞きながら選び、今回は和紅茶をオーダーしました。

石川県打越産(宿から車で20分くらいの場所とのこと)の珍しい和紅茶。

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茶のトレーニングを積んだ専任スタッフが目の前で丁寧に淹れてくれる。

渋みが少なくほんのりとした甘みが特徴で、一緒に味わった上生菓子との相性もよし。湯の温度を変えて三煎目まで、香りや味の違いを楽しみました。

地元食材の豊かさを感じる、伝統工芸の美を愛でながらのディナー

ディナーは「ステイダイニングにほん」にて。和紙作家・堀木エリ子氏が手掛け、越前和紙や水引が印象的なダイニング。各所にアートワークも配されています。

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透け感が絶妙な越前和紙の間仕切り。

石川県ならではの旬の希少な食材を、料理長が懐石スタイルに仕立てた美味の数々。九谷焼や石川県の作家の器が使われ、料理とともに石川県の伝統工芸、用の美を愛でながらのコースディナーです。

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旬の加賀野菜や北陸産の魚介などが供される。

せっかくですので、お酒のペアリングもオーダーしました(7杯程度、¥7,700~)。この日は、スパークリングの日本酒、福井の黒龍酒造「ESHIKOTO AWA 2020」からスタート。その後も、料理に合わせたお酒とともに、美味しい時間が過ぎていきます。

スタッフが味わうペースに合わせて料理を運んでくれるのも、ありがたい。

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お吸い物は「松茸の土瓶蒸し」。
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この日のメイン(強肴)は「能登牛のカツレツ」。

メインは希少な能登牛を厚みのあるカツレツに。肉の旨みと上品な脂が味わい豊か、思いのほか食べやすい。山中温泉の酒蔵・松浦酒造の純米酒「獅子の里」と相性抜群でした。

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24年11月7日からはブランド蟹「加賀蟹」も解禁に。

食後は客室に戻ってのんびり。明かりを落とした空間でマインドフルネス。そして、日中とは全く趣が異なる深夜の湯あみも楽しみました!

早朝は最上階の展望露天風呂へ! 朝食でエナジーチャージ

客室内のお風呂のほか、館内2か所に大浴場があり、スタッフから「最上階の露天風呂は朝がオススメ」と聞いていました。翌朝、早起きして訪れてみたところ大正解! 

朝日が差し込む露天風呂で深呼吸して外気浴も。客室でのプライベートな温泉三昧とはまた違った、開放感ある湯あみを堪能しました。

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肌に触れる風が心地よい露天風呂。
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客室に戻り、湯上りに塩サイダーでクールダウン。

朝の湯あみの後、朝食はダイニングにて。フレッシュジュースからスタートし、自分で軽く炙っていただく、たたみいわしやホタルイカの一夜干し、魚の昆布締め、蒸し野菜、そして、加賀棒茶を使ったカヌレまで! 地元食材たっぷり、バランスのいい和朝食でしっかりエナジーチャージできました。

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朝から日本酒が欲しくなってしまう内容でもありました(笑)

朝食の後は、周辺散策をしながら大きく深呼吸。館内に戻って、館内のアート、ギャラリーやライブラリーをゆっくりと見て過ごすのも楽しい。そして、また温泉も。やはり次は連泊で訪れたいと感じる滞在となりました。

問い合わせ先

花紫

TEL:0761-78-0077

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この記事の執筆者
ホテルやレストラン、酒などのジャンルで積極的に取材を重ね、幅広い媒体に執筆している。 無類の泡好きで、仕事のみならず毎晩のシャンパーニュは欠かせない。美味しいもの探求家でもある。
WRITING :
はまだふくこ