「小雪」は一般的には「こゆき」と読みますが、今回ご紹介する「小雪」は「しょうせつ」と読み、二十四節気のひとつ。字のごとく、小雪がちらつく時期のことなのでしょうか? 師走に向かい、時候の挨拶をする機会も増えるでしょう。そんなときのちょっとした話題として、役立ててください。
【目次】
【二十四節気の「小雪」とは?「読み方」「意味」「由来」】
■読み方
二十四節気の「小雪」の場合は「しょうせつ」と読みます。
■意味
小雪とは、冷たい雨が雪に変わり始めるころの節気。二十四節気のひとつで太陽が黄経240度に達するときを言い、新暦の11月22日ごろから次の節気が来る約15日間が「小雪」の時期にあたります。
■由来
「わずかな雪が降るころ」という意味の「小雪」ですが、なぜこの名称なのかと言うと…。
・北国や山間部ではこの時期から初雪が舞い始めるから
・夜間の気温が低くなり、霜が広がる時期だから
・紅葉した葉が散り始める時期だから
・この時期から日を追うごとに冷え込みが増していくから
と、文字通り、「雪がまだ少しであること」や、「寒くはあるけれど、本格的な冬とは言えない」ということから「小雪」と言うのです。
南北に長く山間部が多い日本列島は、地域によって気候もかなり違うので、上記の限りではありませんが、かつて気象庁があった東京・大手町の初雪の平年値は1月2日とか。ちなみに過去100年間の観測で最も早い初雪は1932(昭和7)年11月18日。都心でも「小雪(しょうせつ)」の時期が来るより早く、降雪があったのですね! ちなみに、最も遅かったのは、2007(平成19)年の3月16日です。覚えていますか?
また、江戸時代に出版された暦の解説書『暦便覧』では、「小雪」を「冷ゆるが故に雨も雪となりてくだるが故なり(冷え込むようになってきて雨が雪になって降ってくるから)」と説明しています。
【2024年の「小雪」はいつ?】
2024年は11月22日(金)の午前4時56分から「小雪」に。次の節気「大雪」になる12月7日の午前0時17分までが“小雪の期間”です。そして、そうです、「小雪」のあとは「大雪(たいせつ)」となります。
【「小雪」の風習とは?「やるべきこと」や「食べ物」】
二十四節気は古代中国でつくられた季節の区分法です。1年を24等分して気候の推移を示し、各節気の期間は約15日。黄河流域の気候に基づいたものなので、少し離れた日本では若干のずれが生じますが、日本でも二十四節気を農作業の目安にしてきました。
そして、「小雪」は農作業を終え、冬支度を始める時期。ひと冬分の薪を準備したり、長期保存できるように野菜を干したり塩漬けにするなどして、春までの食糧を備えていきます。なお現代では「小雪」には11月23日の勤労感謝の日が含まれていますが、この日はもともと新嘗祭(にいなめさい)という皇室にとって最も大切な行事が行われる日。収穫に感謝を示す行事が各地の神社でも行われます。
■「小雪」のころは何をする?
2024年は11月なのに夏日なんていう地域もありましたが、うっかりすると前日と10度近くも気温差が…なんてこともありますね。「小雪」のころは昼夜や日々の気温差が激しい時期。空気の乾燥も進むので、体調管理には十分注意が必要です。
本格的な冬支度も始めましょう。重ね着ができる薄手の暖か素材や、ダウンコートなどの防寒着、マフラーやストール、帽子に手袋などなど、寒さ対策は万全に。
■「小雪」の食べ物
小雪には、得に行事食はありませんが、旬を迎えるのが白菜や春菊、ほうれん草などの葉もの野菜。鍋料理に気持ちが向く時期でもありますね。スーパーマーケットへ行けば鍋スープの素が山ほど並んでいます。空気も乾燥して風邪をひきやすくなるので、温かい鍋料理をいただき、ビタミン補給にみかんを! 「小雪」はこたつが恋しくなる時期でもありますね。
「小雪」のころに旬を迎える食材をまとめましょう。
・果物:みかん、柿、りんご
・野菜:白菜、春菊、ほうれん草、大根、れんこん、ごぼう、かぼちゃ、ブロッコリー、カリフラワー、長芋
・きのこ:まつたけ、まいたけ、しいたけ、しめじ
・魚介:ズワイガニ、サクラエビ、アワビ、牡蠣、赤貝、帆立、ブリ、カレイ、カワハギ、ハタ
【「小雪」は英語でどう言う?】
二十四節気の「小雪」を英語で表すと[Minor Snow]。[Minor]は「わずかな」という意味をもつので、[Minor Snow]で「わずかながら雪が降り始めるころ」と説明できます。
ちなみに、次の「大雪」は[Major Snow]と言いますよ。
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「小雪」の時期は、暖かい日差しを感じる「小春日和(こはるびより)」になることも。この「小春日和」は冬の終わり、初春を指すと勘違いされがちですが、「小雪」のころの気候を指す言葉です。日なたは暖かいけれど日陰はグッとひんやり感じるといった、風もなく穏やかな好天が「小春日和」。この先季節が進むと、暖かい好天は「冬暖 (ふゆあたたか) 」や「冬日和(ふゆびより)」などと呼ばれます。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『12か月のきまりごと歳時記(現代用語の基礎知識2008年版付録)』(自由国民社)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) :