多くの歴史ある寺社仏閣が立ち並ぶ京都・東山のなかでも、落ち着きのあるエリアに位置する「フォーシーズンズホテル京都」。平安時代末期に造られ、平家物語にも記されたとされる池泉回遊式庭園「積翠園(しゃくすいえん)」の眺めも素晴らしく、伝統とモダンな感性が美しく調和するラグジュアリーホテルとして、国内外から高く評価されています。

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「積翠園」を望むテラス席。

そんな「フォーシーズンズホテル京都」にとって、2024年は「食」の分野で大きな変革を遂げた年となりました。まず4月には以前ご紹介した「エンバ・キョウト・チョップハウス」が、さらに10月12日には「鮨 銀座おのでら」がオープン! 本記事では、「鮨 銀座おのでら フォーシーズンズホテル京都店」でいただいた料理長おまかせコースの実食レポートをお届けします。

関西エリア初出店!至高の江戸前鮨にこだわり抜いた「鮨 銀座おのでら」

「銀座おのでら」といえば、毎年恒例の「新春マグロ初競り」にて今年も4年連続計5回の“一番マグロ”を落札したことでご存知の方も多いのでは? また本格的な江戸前鮨を手軽にいただける回転寿司や立ち食い寿司、さらには天ぷらや鰻といった日本料理店を、国内外に3か国計21店舗展開していることでも注目されています。

その真骨頂ともいえる最高峰の江戸前鮨を味わえるのが、銀座に総本店を構える「鮨 銀座おのでら」。2013年のオープン以来、統括総料理長の坂上暁史さんの「一口ごとにドラマを創りたい」という熱い想いが確かな技術と厳選素材により表現され、国威内外で高い評価を得ています。

「鮨 銀座おのでら フォーシーズンズホテル京都店」でもその想いは受け継がれ、惜しまれながらも2023年8月に閉店した「鮨 銀座おのでら ニューヨーク店」でミシュランの星を守り続けた久保卓弥さんが料理長に就任。私が伺った日には坂上さんと久保さんが揃ってつけ場に立ち、息の合ったコンビネーションを披露してくれました。

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統括総料理長の坂上暁史さん(左)と、「鮨 銀座おのでら フォーシーズンズホテル京都店」料理長の久保卓弥さん(右)。

なお、2023年7月に「廻転鮨 銀座おのでら 京都店」がオープンしていますが、高級業態である「鮨 銀座おのでら」としては今回が関西エリア初出店。銀座総本店同様に東京・豊洲市場や北海道から直送される最高の食材に加え、京都の市場からも厳選して取り入れることで、この店ならではのメニューに仕立てています。

店内に目を向けると、樹齢400年の檜を用いた長さ8メートルの白木のカウンターが、端正な高級感と居心地のいい温かみを演出。高さのある天井や、「積翠園」を望む大きな窓も開放感があり、ゆったりとくつろぐことができます。「銀座 おのでら」を象徴する備前焼だけでなく京焼の器も飾ることで、さりげなく“京都らしさ”を演出しているのも特徴です。

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広々としたカウンター席。このほか、店内には4名または6名で利用できる2つの個室も。

 “本物”の江戸前鮨と繊細な料理が織りなす上品かつ堅実な味わい

「鮨 銀座おのでら フォーシーズンズホテル京都店」で提供されるディナーメニューは、料理長おまかせの¥37,500と¥49,500(共に税・サービス料込)の2コース。私がいただいた¥37,500のコースは、季節の茶わん蒸しをはじめとする先附5種、握り8貫、本日の小丼ぶり、玉子焼き、味噌汁、デザートという内容でした(メニューは変更になる可能性あり)。

また、「フォーシーズンズホテル京都」のビバレッジディレクターとタッグを組んだ、3種(日本酒、ワイン、ティー)のドリンクペアリング(各5杯 ¥22,000 税・サービス料込み)は、「鮨 銀座おのでら」初の試み。さらに100種類以上のワインをグラスで楽しむこともできます。

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最高級の玉露はもちろん、スパークリングティーやスモークティーなどを揃えた、ティーペアリングの一例。

ここからは私がいただいたコースについて、詳しくご紹介します。

めくるめくコースの最初を飾るのは、「銀座 おのでら」では定番という季節の茶わん蒸し。蓋をとるとズワイガニたっぷりの餡かけの上にオレンジ色が美しいバフンウニが! 形を保つぎりぎりまで出汁をたっぷり含んだ茶わん蒸しの旨みと絶妙に合わさり、思わず笑みがこぼれます。

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紅ズワイガニとバフンウニをトッピングした季節の茶わん蒸し。

鳥取・堺港のヒラメに自家製味噌漬けカラスミのソースを合わせた刺身と、燻した宮城・気仙沼のカツオに醬油漬けした行者ニンニクをのせた一品は、魚の味わいを生かしながら豊かに引き立てているのが印象的でした。

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自家製味噌漬けカラスミが秀逸だったヒラメの刺身。

マツタケを巻いた千葉・富津のカマスの柚庵焼きや、兵庫・淡路のハモの天ぷら、香ばしく焼いたタタミイワシなどを盛り合わせた一皿で秋の味覚を堪能したら、いよいよ握りへ!

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旬の味覚を楽しめる盛り合わせ。

「銀座おのでら」といえばの「やま幸」の本マグロ(厚岸)は、赤身の漬けと大トロ。そのほかシマアジ(高知・土佐)・車海老(大分・姫島)・小肌(熊本)・烏賊(鹿児島)・赤貝(愛知)・バフンウニ(北海道)のラインナップは、どれも最高のネタと熟練の仕事が見事に調和した上品な味わい。

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見た目にもそのクオリティの高さがうかがえる握りの数々。左上から時計回りに/シマアジ、車海老、赤貝、漬け本マグロ。

決して奇をてらわず堅実さを感じさせながらも、格別の高揚感をかきたてる“本物”の江戸前鮨。嚙み進めるごとに存在感のあるネタと赤酢を使ったシャリの旨みが混ざり合い、ペアリングしたワインとのマリアージュも素晴らしく、ただただ口福感に酔いしれました。

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握りずしの花形、大トロ。

続いて供された本日の小丼ぶりは、キラキラと輝く北海道のイクラ。淡麗な味付けが新鮮さを際立たせ、イクラがもつ濃厚なイメージを覆す軽やかさにびっくり! これほどまでにフレッシュなイクラをいただいたのは、10年前に奮発した北海道のお寿司屋さん以来かもしれません。

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宝石のような美しさにときめくイクラの小丼ぶり。

お味噌汁とカステラのようにふわふわの玉子焼きをいただいたら、締めは「鮨 銀座おのでら」共通のデザート、抹茶のブラマンジェ。なめらかでミルキーなブラマンジェとコクのある抹茶ソースのハーモニーが完璧なバランスで、コースの最後まで満足感が右肩上がりでした。

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一口サイズもうれしい玉子焼き。
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ほんのりとした苦味が締めにぴったりの抹茶のブラマンジェ。

坂上さんが掲げる「一口ごとのドラマ」を堪能し尽くした「鮨 銀座おのでら フォーシーズンズホテル京都店」での実食レポート。最後にもうひとつお伝えしたいのは、堅苦しさのない朗らかな空気感が魅力的だったことです。

ユーモアとサービス精神に溢れ、トーク力も抜群! 無駄に緊張することなく、満ち足りたひとときを過ごしたい方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

【店舗概要】

問い合わせ先

フォーシーズンズホテル京都

TEL:075ー541ー8288

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EDIT&WRITING :
谷 花生(Precious.jp)