ファッションで語る「アイデンティティ」とは——これからの20年も一緒に…あの人の「名品」物語
自分らしい価値観で選び、長く身に纏う名品は、その人の「アイデンティティ」の表現そのもの。人生経験を積んで、審美眼も磨かれた素敵なあの人が、名品と出合い、育んできた物語には、きっとこれからの名品選びのヒントが見つかるはずです。
立野リカさん「憧れだった名品コートのオーラが、幸福な温もりを纏わせてくれます」
『Precious』でコートといえば、立野リカさんというイメージがある。長身の元アスリートらしく、意志の強い凛とした佇まいのせいか、ロングコートやビッグシルエットのコートが羨ましいほどよく似合う。けれどそんなリカさん、実はロサンゼルス育ちで、寒さが苦手なのだ。秋になると、季節に先駆けていち早くコートを着て撮影現場に現れる。
「L.A.ではコートを羽織る必要がなかったので、最初はコートの選び方も、着こなし方も知りませんでした」
モデルになるために来日して12年。東京の寒さにも少しずつ慣れてきた。
「コートを着ることに憧れがありました。だから『Precious』のコート企画はいつも楽しくて、毎年冬になるとコートが増えていき、今はクローゼットがコートでいっぱいになるほど」
これまでは構築的なダブルブレストのロングコートに、ワイドパンツというスタイルが、冬のリカさんの定番。色も黒が多く、シャープなイメージだった。ところが年齢を重ね、コート選びにも少しばかりフェミニンな視線が加わるようになってきたようだ。
「大好きなコートをもっとハッピーに楽しみたいと思ったから、コートで色を取り入れることにしたのです」
そうして昨年、手に入れたのが「マックスマーラ」のターコイズブルーの『テディベア』。さらにこの秋には「ジル・サンダー」のイエローのシャギーコートが、幸せオーラ全開のクローゼットに加わった。ハッピーカラーのコートを着ていると、タクシーの運転手さんまで、優しくしてくれるとか。纏うだけで様になるコートのオーラ、恐るべしである。
「次に欲しいのは、ゆったりとしたラップコート。ラフに着られて、フェミニンさもあるので、目指していた “エフォートレスシック” そのものです。そして、意外に持っていなかったのがトレンチコート。“ザ・ロウ” のようなビッグシルエットで、しなやかな一着が理想です。クローゼットはますますふくれ上がりますが、いいコートは次の世代へと受け継がれるもの。一生ものの価値があると思って、いつも真剣勝負で選んでいます。それだけにコートを見る目も厳しくなりました。素材から、ステッチ、カッティングにいたるまで。しっかりチェックしながら、長く愛せる名品コートを探し続けます」
艶やかでニュアンスのあるセピアグレーが美しい、シルクウールのオーバーサイズコート。今のボリュームシルエットの流行を牽引してきた「ザ・ロウ」のコートは年々、洗練されて、トレンドを超える存在に。このコートも身頃と袖が一体になった、ロングケープのようにフラットな布使いで、動くたびにドラマティックなドレープが生まれて、アートな感性が漂う。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- PHOTO :
- 浅井佳代子
- STYLIST :
- 小倉真希
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- 三澤公幸(Perle)
- MODEL :
- 大塚まゆか
- EDIT :
- 奥山碧子・木村 晶・遠藤智子(Precious)、藤田由美