幻想的な白銀の世界を眺めつつ温泉に浸かるのは至福のひととき。そうした冬ならではの情緒を堪能できる東北地方のなかから、大人の女性が寛ぐのにぴったりなラグジュアリーな名宿を温泉ジャーナリストの植竹深雪さんにピックアップしてもらいました。

今回ご紹介するのは、山形県・天童温泉にある「天童荘」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

明治創業の鰻屋を前身とする美食宿で雪見風呂に癒される

東京から山形新幹線で3時間弱の天童温泉。将棋のまちとして知られ、みちのく旅情溢れる温泉街にて、丁寧なおもてなしと鰻をはじめとする絶品料理に定評があるのが、今回ご紹介する「天童荘」です。

「天童荘」の外観
「天童荘」の外観。
「天童荘」の家具
「天童荘」のロビー。季節によって家具を変えたり、地元メーカーがスウェーデンのデザイナーと共同製作した家具を採用したりとインテリアにもこだわり抜いている。

「こちらの宿は、明治初期に創業した鰻屋が前身。自慢の天童荘懐石もさることながら、冬の風情も格別です。総平屋建て数寄屋造りの館内は、上質な家具が配された居心地のいい空間。客室やテラスなどから雪化粧した中庭を眺め、しみじみと旅愁に浸れます」(植竹さん)

テラスからの眺め
テラスからの眺め。
客室からの眺め
客室からの眺め。

大浴場は、2024年10月にリニューアルオープンしたばかり。男風呂は「竹」、女風呂は「苔」をテーマにし、手入れの行き届いた中庭の眺めにも癒されます。

男風呂「竹の湯」。
男風呂「竹の湯」。
女風呂「苔の湯」。
女風呂「苔の湯」。

「温泉では、昼も夜もたっぷり雪見風呂を堪能できました。日中は目が覚めるような銀世界だったのが、日が暮れるとライトアップで幻想的なムードに。時間帯によって異なる情緒を味わえたのが印象的です。

泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉。潤いを与えると共に肌を蘇生する効果も期待できる湯で、冬のお疲れ肌のケアも叶えられた気がします」(植竹さん)

露天風呂からの眺め
冬は雪見、春は花見…と季節の情緒を味わいながら至福の湯浴み時間を過ごせる。

客室は、本館「東亭」と離れ「離塵境(りじんきょう)」と合わせて11室。「東亭」は和洋が融合したモダンなデザインであるのに対し、「離塵境」は障子・襖・格子・欄間などに日本の伝統文化と匠の技が尽くされた贅沢な造り。“離塵境”とは、現実の世界から離れることを意味し、その名のとおり非日常的な空間でリフレッシュするのに好適です。

「東亭」の客室
「東亭」の客室の一例。
離れ「離塵境」の客室の一例
離れ「離塵境」の客室の一例。

また、全室に温泉が付いていて、プライベートな空間での自由気ままな湯浴みが可能。坪庭を眺める半露天風呂や高野槙の内風呂など、客室ごとに浴室の造りが異なるので、お風呂のタイプにこだわって部屋を選ぶのも一興です。

「東亭」の客室の半露天風呂
「東亭」客室の半露天風呂。
離れ「離塵境」客室の御影石露天風呂
離れ「離塵境」客室の蔵王石露天風呂。

一子相伝の鰻の蒲焼が絶品!心尽くしの天童荘懐石に舌鼓を打つ

冒頭でもお伝えしたように、鰻屋を前身として料理の評判も非常に高い「天童荘」。メニューは月替わりで、名物の鰻の蒲焼をはじめとした山形ならではの旬を吟味した逸品をいただけます。

「天童荘」名物の鰻
「天童荘」名物の鰻。

「こちらの鰻の蒲焼は、一子相伝。料理は板前さんが担当しますが、鰻だけは代々社長さんが仕入れから担当し、タレも門外不出とのことです。100年以上の歴史を重ねた秘伝の鰻はふっくらとしてタレの香りも芳醇。この味を求めて、全国の食通が天童を訪れるのもうなずけます。また、鰻だけでなく、ひとつひとつの料理が丁寧に作られて、出汁の奥深さや盛り付け・器の美しさにも心打たれました」(植竹さん)

天童荘のメニューの一例
鰻以外にも季節ごとに多彩な美食を堪能できる。

以上、山形「天童荘」をご紹介しました。風情溢れる和の旅館にて、雪見風呂と至高の鰻でエネルギーをチャージしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • 天童荘
  • 住所/山形県天童市鎌田2-2-18
    客室数/全11室
    料金/朝夕2食付き 2名1室1名 ¥41,800~
  • TEL:023-653-2033

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)