身長156cmのインテリアエディターが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。今回は上海に自社工場と本社をもつ、日本人が立ち上げたインテリアブランド「ステラワークス」から、アジアの感性を重視しつつ、その感性を西洋の視点から再解釈した丸テーブル『クロフォード ダイニング テーブル』をピックアップしました。

北欧インテリアにもイタリアンブランド家具にもなじむ世界観、金属・無垢材・布など複数の天然素材をミックスしたデザイン等、その唯一無二の魅力に迫ります。

丸テーブルのおおらかな形とゴールドがインテリアに生む効果

ダイニングテーブルの天板は、床・天井の次に室内空間で大きな水平面積を占めるため、素材や形の選択がインテリアの印象を大きく左右します。通常は長方形を選ばれる方が多いとは思うのですが、円形を選ぶことでインテリアにおおらかさを演出できます。

気をつけたいのは、人気の北欧デザインでよく用いられるオーク材を選択すると生まれてしまいがちな“意図しないほっこり感”(笑)。天板の側面の面取りの角度や丸み、全体のプロポーションなど洗練されたデザインと職人技が、実は求められるアイテムです。

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「ステラワークス」 の特徴は、異素材ミックスのデザイン。

今回ご紹介する『クロフォード ダイニング テーブル』は、脚の設置面や天板に施されたスチールが、照明や太陽光を反射して空間にキラリとシャープなゴールドの線を描くことで印象をグッと引き締めてくれる効果があります。

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【ブランド】ステラワークス 【商品名】クロフォード ダイニング テーブル 【写真仕様の価格】¥536,800 【サイズ】幅1600 ×奥行き1600 ×高さ750(mm) 【材質】オーク・スチール(真鍮色)

知っておきたい!テーブルのサイズの選び方とシーン別の考え方

テーブルの大きさは、どのように選べばよいのでしょうか? 一般的な長方形のダイニングテーブルだと一人当たりに最低限必要な面積は、幅60cm×奥行き40cmで2400cm2 とされています。

円形で直径160cmの『クロフォード ダイニング テーブル』の場合、上記から導く面積での単純計算では160×160÷2400=10.666おおよそ10名までは席につけることになりますが、中央のスペースに大皿料理を置いたり花を飾ったりすることも多いですし、実際には席の左右に5~10cmほど余裕があるとより一層ゆったりとした使い方ができます。

以上を踏まえて椅子の幅や円形という形状の特性上ゆとりをもたせて考えると、8名くらいが心地よく過ごせる大きさです。大人数の身内の集まりではスツールを足したり、気心の知れた仲間でワイワイ囲むシーンでは立食にしたりすることで、何人でも受け入れてくれるサイズ感でもあります。

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丸テーブルは隣との境界線がシームレスなので、少し距離があったほうが気楽な場合もありますよね。

また、設置するのに必要な床面積の考え方としては、椅子を引くスペースを考えて、天板の端から壁まで60cmは必要になります。

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高さ75cmには、座面高45~48cm程度のやや高めの椅子が合います。

最近では、オフィス空間にも多く取り入れられるようになってきている丸テーブル。リモートワークという選択肢が増えて以降、出社する意味を見直す企業も増えました。みんなで丸いテーブルを囲む喜びは今また再評価されています。

雑談からアイディアが生まれたり、周囲の会話が聞こえてモチベーションを刺激したりする効果など、同じ形状でもニーズが時代と共に変化しているのも興味深いですよね。

回転テーブルにも変身するのが上海ブランドならでは!

大きな丸テーブルの利点は多くあれども、座ったままで手が届かない場所があるのは困ります。『クロフォード ダイニング テーブル』には、オプションでテーブル上にセットできる回転テーブルがあるのです。インテリアに合うテイストで中華料理店にある回転テーブルが設置できるとは、うれしい限り!

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大きな天板は、座ったままでは中央まで手が届かないことも。
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載せるだけで簡単に設置できる回転テーブル。

「ステラワークス」の家具は異素材ミックスのアイテムが多いので、木の天板に回転テーブル部分だけ大理石を選ぶなど多少遊んだとしても、全体的な空間の色味さえ合わせれば天然素材同士なのでしっくりと収まります。

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天板と素材を揃えたオーソドックスな選び方。
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大理石の天板に、ウォルナットの脚を選べばイタリアンモダンなムードに!

商社出身の日本人が上海で立ち上げた国際ブランド「ステラワークス」

2012年、商社で海外の住宅開発などを行っていた堀雄一朗氏によって設立された「ステラワークス」。東洋と西洋、伝統とモダン、クラフトとインダストリアルなど、「異なる国や地域、文化や価値観という対となるアイディアをつなぎ合わせて、それぞれの優れた伝統文化や技術を現代の光のもとで一つにする」というコンセプトで、タイムレスで新しいものづくりを目指しています。

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青山一丁目駅直結のショールームにはレストランが併設。

日本人による業務管理の戦略と行動力、フランスの高級家具メーカーの職人技、上海の製造チームの熟練した技術という利点を生かし、アメリカを筆頭に世界中のラグジュアリーホテルにも採用されている急成長中の注目ブランドです。

イギリスとオーストラリアにルーツをもつ、トム・フェレデイがデザイン

今回ご紹介したテーブルを含む『クロフォード』コレクションのデザイナー、トム・フェレデイは、ウィンブルドン・スクール・オブ・アートで学んだのちシドニーへ移り住み、シドニー工科大学でインダストリアルデザインの優等学位を取得しました。

オーストラリア生まれイギリス育ちのインテリアデザイナー、トム・フェレデイ。
オーストラリア生まれイギリス育ちのトム・フェレデイ。

ヨーロッパとオーストラリアで活動しながら、2012年に独立。常に素材の特徴や製造工程を深く理解しデザインすることを心掛け、素材や環境による制約条件をポジティブに捉えて使用することで生まれるシンプルながらもユニークなデザインが高く評価されています。


今回は「ステラワークス」から、異素材ミックスも楽しめる『クロフォード ダイニング テーブル 』をご紹介しました。気になる方はぜひショールームに足を運んでみてください。なおショールームは予約制ですが、併設されたレストラン営業時間中は自由にご覧いただけるとのこと。お食事ついでに下見して、いよいよ本格的にご検討されたい場合は予約してみる、というのもおすすめです。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM