俳優・長澤まさみさんと森山未來さんが、14年ぶりに夫婦役として共演することで話題を集めている舞台Bunkamura Production 2025『おどる夫婦』。10年という歳月を重ねた、不器用な夫婦の物語を演じるふたりは、実に14年ぶりの共演となります。

長澤まさみさん
ニットトップス¥192,500・ワンピース¥423,500(ジル サンダー〈ジルサンダージャパン〉)、ブレスレット¥239,800、リング¥126,500(シャルロット シェネ〈エドストローム オフィス〉)、ピアス(スタイリスト私物)
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長澤まさみさん
ながさわ・まさみ/1987年生まれ。2000年にデビューし、2003年映画『ロボコン』で映画初主演。2004年『世界の中心で、愛をさけぶ』、2011年『モテキ』、2015年『海街diary』などで日本アカデミー賞ほか受賞。2020年『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJP プリンセス編』でブルーリボン賞を受賞した。そのほか、『マスカレード・ナイト』『コンフィデンスマンJP 英雄編』『シン・ウルトラマン』ほか映画、テレビドラマ、舞台などで活躍中。
森山未來さん
コート ¥198,000・カバーオール ¥154,000・シューズ ¥143,000(BED j.w. FORD〈BIRTHLY〉)
森山未來さん
もりやま・みらい/1984年生まれ。2003年ドラマ『ウォーターボーイズ』で注目を集め、2004年に映画『世界の中心で、愛をさけぶ』で日本アカデミー賞、ブルーリボン賞を受賞。以降、映画『20世紀少年』、2011年『モテキ』シリーズほか出演。2013年、文化庁文化交流使としてイスラエルに1年間滞在し、Inbal Pinto&Avshalom Pollak Dance Companyを拠点にヨーロッパ諸国で活動。2021年、東京2020オリンピック開会式で、鎮魂の舞を踊る。監督として、『Delivery Health』ほか制作。2022年神戸市に『Artisti in Residence KOBE(AiRK)』を設立し、運営に携わっている。

「映画はこうやって作られるんだ」と感動した『世界の中心で、愛をさけぶ』

――おふたりが初めて共演した、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』は、2004年の興行収入・動員数もトップの作品でした。続いて2011年の共演作『モテキ』もロングヒットを記録。2作品の撮影で、印象に残っていることをお願いします。

長澤まさみさん(以下・長澤)「作品の中で朔太郎(演・森山さん)がアキ(演・長澤さん)に、カセットテープに録音した音声で告白するシーンがあるんですが、リハーサルでも、何度もその録音テープを聞きながら演技をしていました。そうして挑んだ肝心の本番で、流れてきたのが、リハとは全く違う内容だったんです。後から聞いたら、私の驚きや新鮮な表情を引き出すために、打ち合わせして仕組んでくれたそうなんです。

まさにサプライズとも言える演出で、当時16歳の私はとっても胸が躍りました。『映画はこうやって作られるんだ』と感動したことを覚えています。あのとき、現場で仕掛け人である森山さんの方を見ると、すごいドヤ顔をしていましたよね(笑)」

森山未來さん(以下・森山):「そんなこともありましたね(笑)」

長澤まさみさん
『映画はこうやって作られるんだ』と感動したことを覚えています(長澤さん)

森山「僕が覚えているのは、夜中に墓地に入っていくシーンの撮影待機中のこと。椅子に座ったままフッと睡魔に襲われ、そのままバランスを崩して倒れてしまったんです。ハッと気づいた僕の視界に入ってきたのは、そんな僕を見て、長澤さんが笑っている顔でした(笑)。

あの作品は役のこともあり、お互いがあまりコミュニケーションを取っていなかったので、長澤さんが素の状態で見せてくれた笑顔は初めてで、とっても印象に残っています」

長澤「あのときは夜も遅かったし、待ち時間も長かったですよね。2作目の『モテキ』については…記憶、あります? 私、なぜかまったく覚えてなくて…(笑)」

森山「それが、僕もないんですよ。お互い忙しかったのかな? ただ、長澤さんは監督の大根仁さんのもと、とても親密な空気感の中で作り上げていった記憶があります。監督に翻弄されていたら、いつの間にか撮影が終わっていたという感じじゃないかな(笑)」

監督に翻弄されていたら、いつの間にか撮影が終わっていたというのがあのときの印象です(森山さん)
監督に翻弄されていたら、いつの間にか撮影が終わっていたというのがあのときの印象です(森山さん)

――そんな『モテキ』から14年、舞台Bunkamura Production 2025『おどる夫婦』(以下・おどる夫婦)で、久しぶりに共演します。

長澤「森山さんとは『シン・仮面ライダー』(2023年)も出させていただきましたが、撮影では一緒にならなかったので、本当に久しぶりですね・

初めてお会いした約20年前、当時19歳の森山さんは、すでに舞台経験があって、そしてそれ以降もたくさんの作品に出演されています。

そんな森山さんと私が一緒の舞台に立つことは、かつては想像できないほど遠い現実でした。でも今年、それが実現した。私が一生懸命やってきたことが今につながり、「森山さんと舞台で共演できる私」になれたことが嬉しいです。私にとって、森山さんとの共演は、自分の成長を感じるバロメーターでもありますね」

森山「ありがとうございます。長澤さんは、僕の中でも大事な作品でお会いしていて、そういう意味も象徴的な女性として存在している方なんです。舞台では1か月以上も稽古を重ねますし、『おどる夫婦』は、結婚10年の夫婦を描く、密なコミュニケーションで進行する物語です。どんな舞台になるのか、今から楽しみです」

「森山さんと舞台で共演できる私」になれたことが嬉しい(長澤さん)
「森山さんと舞台で共演できる私」になれたことが嬉しい(長澤さん)

――ふたりの表現者が初めて共鳴するともいえる『おどる夫婦』ですが、作・演出は蓬莱竜太さんです。蓬莱さんは、約25年前に人気劇団『劇団モダンスイマーズ』を旗揚げ以来、多くの実績を重ねてきた演出家であり劇作家で知られている方ですね。

長澤:「私、2020年に一人芝居『ガールズ&ボーイズ-Girls & Boys-』を演出してもらう予定で、蓬莱さんとプレ稽古をしたことがあるんです。蓬莱さんは、俳優の得意不得意を見極め、演出したい方向に誘導してくださるという印象があって。俳優自身が役を築いていく道筋を立ててくれるような。

その作品はコロナ禍で中止になってしまったので、今回、どんな演出をしてくださるか本当に楽しみに思っています」

森山:「蓬莱さんの舞台は、役者たちがお互い『間』を計りつつ進んでいくという、独特の空気感があって、僕はそれが好きなんです。蓬莱さんとの出会いは、2008年に僕が出演したテレビドラマ『被取締役(とりしまられやく) 新入社員』(TBS)でした。その後はプライベートでご一緒することが多いんですが、舞台作品は初めてです。今回は夫婦の物語であり、しかも『Bunkamura』。蓬莱さんの多面性が、世界をどのように広げるか、分からないことだらけで、それがより期待感が増します」

蓬莱さんの多面性が、世界をどのように広げるか、分からないことだらけで、それがより期待感が増します(森山さん)
蓬莱さんの多面性が、世界をどのように広げるか、分からないことだらけで、それがより期待感が増します(森山さん)
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――『おどる夫婦』は、松島聡さん、皆川猿時さん、小野花梨さん、伊藤蘭さんなど豪華な出演者も話題です。長澤さんと森山さんが、20年以上の経験を経て、どのような夫婦を演じるのでしょうか。後編では、役柄について、それぞれのプライベートについてもお話を伺います。

Bunkamura Production 2025『おどる夫婦』

キヌとヒロヒコは、お互いの生きづらさを補完するように夫婦になり、粛々と生活することを好んだ。自分たちのことを理解できるのは自分たちだけで、 互いに相手を理解していると思っていた。しかし、世界は向こうから入り込んでくる。共に生活する中で、やがてほころびやズレが生まれてくる。現代社会では非常に生きづらい性質を持つ夫婦の約10年間の軌跡を描いた物語。

■作・演出:蓬莱竜太
出演:長澤まさみ、森山未來
   松島聡、皆川猿時、小野花梨、内田慈、岩瀬亮、内田紳一郎、伊藤蘭
企画・製作 Bunkamura

■日程・会場
【東京公演】4月10日(木)~5月4日(日・祝) 東京・THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
【大阪公演】5月10日(土)~5月19日(月) 大阪・森ノ宮ピロティホール
【新潟公演】5月24日(土)・5月25日(日) 新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
【長野公演】5月31日(土)・6月1日(日) 長野・サントミューゼ 大ホール(上田市交流文化芸術センター)

公式サイト 

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問い合わせ先

PHOTO :
高木亜麗
STYLIST :
吉田 恵(長澤さん)、杉山まゆみ(森山さん)
HAIR MAKE :
スズキミナコ(長澤さん)、須賀元子(森山さん)
WRITING :
前川亜紀