「クチュール」と同様、ガブリエル シャネルが残した偉大な功績を残したもうひとつの世界、「ビューティー」。2025年、「シャネル」は、コスメティックの世界へのオマージュを込めた“シャネル BLUSH ウォッチ カプセル コレクション”を発表し、大きな反響を呼んでいます。

前回ご紹介した4作品に続いて、今回お届けするのは、タイムピースの概念を超越したいわば、「時を刻むアート」。魔法のようなクリエイションが光るリストウォッチとネックレスウォッチの数々が、ひととき夢の世界へ誘います。

メゾンの創造性と至高の職人技がかなえた夢とときめきのクリエイション

時計_1,高級時計_1,名品_1,ジュエリーウォッチ_1
さまざまなメティエダールが、愛らしくもノーブルなモチーフに躍動感を与えた“マドモアゼル プリヴェ ピンクッション ビューティー アート”の文字盤。 (C) Chanel

メゾンの「ビューティー」の世界のカラーパレットやテクスチャーのエッセンスをタイムピースを通して表現した “シャネル BLUSH ウォッチ カプセル コレクション”。

その着想源は、「カラーパレットのエネルギー」です。

思い浮かべてください! 「シャネル」のアイシャドウ パレットやチークカラー、あるいはリップスティックの艶やかなブラックのケースと、それを開けたら現れる心踊る色彩を。

「シャネル」と「ビューティー」の世界との物語は、1920年代まで遡ります。100年ほど時代を先取りしていたガブリエル シャネルは、香水“シャネル N°5”や洗練されたメイクアップのラインを発表し、当時の香水や化粧品のコードを一変させました。

時計_2,高級時計_2,名品_2,ジュエリーウォッチ_2
1936年のガブリエル シャネル 。このポートレートの彼女の眼も、クリエイションの着想源のひとつに。(C) Boris Lipniitzki / Roger-Viollet

まるでパウダーやリップスティックが自らを際立たせるために、あえてブラックのシンプルで艶やかなケースに身を包んでいるよう。そこには鮮烈なコントラストがありました。シャネル ウォッチメイキング クリエイション スタジオ ディレクター、アルノー シャスタンは、この「多面的な二面性」をウォッチに取り入れたいと考え、この美しくも大胆なウォッチ カプセル コレクションを創出したのです。

時計_3,高級時計_3,名品_3,ジュエリーウォッチ_3
シャネルのアイコニックなアイシャドウ パレット“レ キャトル オンブル”をモチーフにした“タリスマン ネックレス ギブ ミー ラック ドゥ シャネル”。 (C) Chanel

メゾンの美学が随所に息づく、個性豊かなジュエリーウォッチの競演

アルノーにとって、「シャネル」のビューティー アイテムのヴィジュアル的なアプローチは非常に魅惑的で、そのグラフィカルな美しさは彼のインスピレーションを大いに刺激しました。彼は次のように語っています。

「私が惹かれたのは、シャネルのビューティー アイテムに宿る、有無を言わせぬエレガンスです。濃厚なレッドの色合いや、柔和なパウダーピンクを際立たせるブラックラッカー ケースの深みは、シャネルのクリエイションに共通する美学を感じさせます」

「シャネル」のメイクアップのパレット、ペンシル、ブラシ、パウダーやそれらのテクスチャーと、オート オルロジュリー(高級時計)の世界には共通する理念があります。アルノーはそこから、ドリッピング アートやポップ アートといった芸術の分野とのつながりを構築するインスピレーションを得ました。

「より美しくなりたいのなら、メイクアップは有効な手段です。この美のビジョンこそが、コレクション全体を躍動させることとなったのです」

■1:“マドモアゼル プリヴェ ピンクッション ビューティー アート”

できたらこのウォッチの文字盤をぜひ拡大してみてください。そう、まるで私たちがメイクをしているときのドレッサーの上の風景のよう! その着想源となったのは、マドモアゼル シャネルの手元の写真です。

どこかシュルレアリスム(超現実主義)を感じさせるこのピースは、メティエダールの職人へのトリビュート。繊細さを極め、最高レベルの職人技術が要求されるこの文字盤は、「シャネル」が資本参加する高名な独立時計師によるメゾン、「F.P.ジュルヌ」所有のアトリエ、「カドラニエ・ジュネーブ」の職人の手作業によるもの。リップスティック、アイシャドウのパレット、ネイルポリッシュ、チークやジュエリーが、宝石、彫金、細密画、グランフーエナメルで表現されています。

時計_4,高級時計_4,名品_4,ジュエリーウォッチ_4
「マドモアゼル プリヴェ ピンクッション ビューティー アート」¥86,790,000 ●ケース:チタン×イエローゴールド×ピンクサファイア ●ケース径:55mm ●ストラップ:グログラン(裏側はカーフ) ●ムーブメント:クオーツ ※世界限定1点 (C) Chanel

■2:“タリスマン ネックレス ギブ ミー ラック ドゥ シャネル”

「シャネル」のアイシャドウ パレット“レ キャトル オンブル”が、時を告げるエレガントなお守りに! グロッシーなブラックのパレットをオニキスのプレートで表現したこのネックレスウォッチは、裏と表、それぞれふたつの表情を楽しむことができます。

表面には、合計37カラットものチェリーレッドのルベライトカボションを4個と、ピンクトルマリン1個をセットし、マドモアゼルが好んだビザンチン調のデザインを完成させました。裏面には、スクエアのオニキスプレートの中心に、ダイヤモンドをセットしたイエローゴールドの小さなダイヤルをセット。ダイヤモンドとオニキスで飾ったイエローゴールドのチェーンを合わせたこのネックレスウォッチは、まさに時にアリュール(魅惑)を授けます。

時計_5,高級時計_5,名品_5,ジュエリーウォッチ_5
「タリスマン ネックレス ギブ ミー ラック ドゥ シャネル」¥72,050,000 ●モチーフ:オニキス×イエローゴールド×ピンクルベライト×ピンクトルマリン×ダイヤモンド ●ダイヤル径:10mm ●モチーフ:57.2×57.2mm ●チェーン:イエローゴールド×ダイヤモンド×オニキス ●ムーブメント:クオーツ ※世界限定5本 (C) Chanel

■3:“シークレット ウォッチ リップスティック”

1954年に誕生した「シャネル」のアイコニックなリップスティック。その唯一無二の佇まいを比類なきジュエリーウォッチへと昇華させたのが、この“シークレット ウォッチ リップスティック”です。美しいラインを描くブラックのチタンと、イエローベリルをセットしたイエローゴールドで再現した艶やかなリップスティックをスライドすると、ブラックのダイヤルが顔を覗かせます。

その外観だけでなく、スライドさせて開閉するという操作性はまるで本物のリップスティックのよう! オニキスチューブとロードライトビーズを飾り、センターに0.70カラットのダイヤモンドが輝くイエローゴールドのチェーンと、グラマラスなコントラストを描きだします。

時計_6,高級時計_6,名品_6,ジュエリーウォッチ_6
「シークレット ウォッチ リップスティック」¥58,190,000 ●モチーフ:チタン(ブラックコーティング)×イエローゴールド×イエローぺリル×ブラックラッカー ●ダイヤルサイズ:10×10mm ●モチーフ(長さ):73mm ●チェーン:イエローゴールド×ダイヤモンド×オニキス×ロドライトビーズ ●ムーブメント:クオーツ ※世界限定5本 (C) Chanel

■4:“アミュレット ネックレス プロテクト ミー”

鏡に映った神秘的なまなざし、こちらを見つめるガブリエル シャネルの瞳が、身につける人を守るかのようなネックレスウォッチ。そのモチーフとなったのは前出のガブリエル シャネルのポートレートです。

この作品も“マドモアゼル プリヴェ ピンクッション ビューティー アート”と同様、「カドラニエ・ジュネーブ」のアトリエで制作。マドモアゼルの瞳はグランフーエナメルで完成までに約2か月を要し、その周囲は約5か月も要して厳選されたホワイト、ベージュ、ブラウンの332個の天然ダイヤモンドが緻密にセットされています。

モチーフ裏面はミラーケースのように艶やかなブラックで仕上げで、その中央に配されたホワイトゴールドの小さなダイヤルにはダイヤモンドを敷き詰めています。ダイヤモンドとオニキスをあしらったイエローゴールドのチェーンと、クールでミステリアスに響きあって。

時計_7,高級時計_7,名品_7,ジュエリーウォッチ_7
「アミュレット ネックレス プロテクト ミー」¥68,200,000 ●モチーフ:チタン×イエローゴールド×ダイヤモンド×ファンシーブラウン ダイヤモンド×エナメル ●ダイヤル径:19mm ●モチーフ径:55mm ●チェーン:イエローゴールド×ダイヤモンド×オニキス ●ムーブメント:クオーツ ※世界限定1本 (C) Chanel

ラグジュアリーウォッチ界でも他メゾンの追随を許さない、自由で豊かで大胆で、歓びに溢れた「シャネル」のウォッチメイキング。そこに宿るクリエイティビティと、卓越したメティエダールのクラフツマンシップを結実させた“シャネル BLUSH ウォッチ カプセル コレクション”は、メゾンの無限の可能性を示唆すると同時に、高揚感とときめきをもたらします。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

シャネル カスタマーケア

TEL:0120-525-519

関連記事

この記事の執筆者
東京都出身。大学在学中から雑誌『JJ』などで執筆活動を開始。女性向け本格時計のムックに携わったことから、機械式時計に開眼。『Precious』などの女性誌において、本格時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られる。SIHHとバーゼルワールドの取材歴は、女性ジャーナリストとしては屈指のキャリアの持ち主。好きなもの:海、ハワイ(特にハワイ島)、伊豆(特に下田)、桑田佳佑様、白い花、シャンパン、純米大吟醸酒、炊きたてのご飯、たまご、“芽乃舎”の野菜だし、“エルメス”のバッグと“シャネル”の靴、グレーのパーカー、温泉、スパ、素敵旅館、村上春樹、宇野千代先生、神社、日本の陶器(特に唐津焼)、朝ドラ、ドラミちゃん、長文のインタビュー原稿