中島 健人さん
アイドル・俳優
(なかじま・けんと)1994年生まれ、東京都出身。『Sexy Zone』での約12年の活動を経て、2024年3月にグループを卒業。以降はソロ活動に専念し、アイドル、俳優とマルチに活躍。キタニタツヤとのユニット『GEMN』も話題に。同12月、1st アルバム『N/bias』で待望のソロデビュー。現在、全国ツアーを展開中で、2025年5月21日には1stシングル『MONTAGE』をリリース。

初めて“怖い”と思った孤独と共に手にした充実

インタビュー_1
ジャケット¥308,000・パンツ¥154,000(エドストローム オフィス〈クレージュ〉)、ネックレス¥1,298,000・時計¥2,068,000(ブルガリ・ジャパン)、靴/スタイリスト私物

光と影、そのすべてをひとりで引き受ける重圧。中島健人さんの中で、何かが静かに変わり始めたのは昨年、生放送の音楽番組で披露した3分のパフォーマンス。グループでもユニットでもなく、自分の名前だけで挑んだ初めての経験だった。

「真に“ひとり”を感じた瞬間でした。誰も隣にいない。トーク席でも、舞台袖でも、ステージ上でも。グループ戦国時代にあえて、この人生を歩むんだと自覚したというか。17歳でデビューしてから一瞬たりとも手を抜いたことはなかったけど、それでも“あれ、怖いかも”と思ったんです」

その怖れは、次なる問いを生んだ。

「これを乗り越えたい。そのために今、走っているんじゃないの? そう言い聞かせて。アルバムの制作からプロモーション、有明アリーナでのライブ、フェスへの参加……現場を重ねるうちに、気付きましたね。『自分はこれが楽しいし、性に合ってる』と。最終的に人間は皆ひとりで、永遠はきっとない。だからこそ、ひとりで立つ脚力をちゃんと身につけないといけない。自由と孤独を同時に感じたと共に、充実を手にした一年でした」

決意の先に生まれた、5月21日リリースのソロ1stシングル『MONTAGE』。TVアニメ『謎解きはディナーのあとで』オープニング・テーマとして、世界的に活躍する作曲家・澤野弘之氏とタッグを組み、自らも作詞を担いながら、疾走感とミステリアスな世界観を共鳴させた。

「制作からタイアップの責任を負うというのは、アイドルとしても新境地。大変さはあれど、遠慮なく全力で、長く愛される作品づくりに向き合えています」

現場の誰も置いていかない。全員が“演じ手”になることで、多くの人に届くと信じているから

「ソロ活動を始めた当初は、ひとりで進んできたつもりだったけれど、現場の温度感やスタッフの気配を一身に受け取るなかで、自分がステージに立てているのは支えてくれるこの人たちがいたからなんだと、再実感できました。今は、自然とチームの顔が浮かぶし、その想いも背負う気持ちで臨んでいます」

真摯に表現を追求する中島さんの現場に宿るのは、心地いい熱と信頼だ。

「大事にしているのは、誰も置いていかないこと。MV撮影なら、まずはひとりひとりに作品の趣旨を伝えます。誰かにとって気になる点があれば、話を聞いて尊重する。ダンサーはもちろんカメラさんも照明さんも、全員が“演じ手”になってくれることで、作品は一段と強くなるし、多くの人に届くと信じているので。長丁場のレコーディングでは、ピザやチキンでパーティをすることも。油分で僕の喉も、みんなの心も潤います(笑)」

“人生を変えたい”と思っている人がいたら、その人の味方でいたい

いつか単独でドーム、そしてスタジアムのステージへ。悔しさも進化の糧に、夢を純粋に追いかける日々を生き直している。

「キタニタツヤくんとのユニットGEMNで出した『ファタール』は、アニメ『【推しの子】』の主題歌として、世界中から反響をいただきました。次は、その自分を超えたい。ファンの皆さんに恩返しするためにも、目の前のことをいかに楽しんで結果を積み上げていくか。僕はエンターテインメントに救われた側でもある。だからもし、“人生を変えたい”と思っている人がいたら、その人の味方でいたい。それが、僕が走り続ける理由です」

※本記事はPrecious6月号の転載記事です。

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Precious.jp編集部 
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『Precious6月号』小学館、2025年
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