梅雨シーズンに突入すると、傘の出番が増えますが、雨の日に周囲の人の傘マナーの悪さにイラッとすることはないでしょうか? 逆に、あなた自身の何気ない振る舞いが、他者を不快にさせているおそれもあります。
空模様がよくないときには、ただでさえストレスがたまりやすいもの。ちょっとしたマナー違反が思わぬトラブルにつながりかねません。
憂うつな雨の日こそ、ちょっとした心配りで自他ともにハッピーに過ごしたいですよね。今回は、マナー講師の金森たかこさんから雨の日にやりがちだけど実はNGな傘マナー8つを教えていただきました。
実は周囲を不快にさせている「傘のNGマナー」8選
■1:傘を地面と平行にして持ち歩く
傘を持ち歩く際、柄の下のほうや胴体の部分を持って、傘が地面と水平の状態になっていないでしょうか? こうした“水平持ち”は傘の先が人に向いて非常に危険。傘は先端が下を向くように、床に対して垂直に持ち歩きましょう。
「まっすぐ持っているつもりでも腕を振って歩いたり、腕に引っ掛けて持ち歩いたりすると、知らず知らずのうちに傘が斜めになって、先端を人に向けてしまうこともあります。とりわけ急いでいるときは無意識のうちにそうなりがちなので要注意ですね」(金森さん)
ともすれば凶器にもなりうる傘。先端がどこを向いているのか常に心を配りましょう。
■2:傘を勢いよく開く
傘を勢いよく開いては、近くにいる人に水しぶきがかかったり、露先をどこかに引っかけたりするおそれがありますし、また見た目的にもエレガントではありません。
「傘を開く際は、まずは傘を斜め下に向けて少しだけ開きます。ジャンプ傘も一気に開かずに手で押さえるようにしましょう。そのまま周囲に気を配りながら持ち上げて、地面と垂直の状態にまで持ち上げてから、ゆっくり開くのが正解です。閉じるときはこれとは逆の動きで、持ち上げたまま少し閉じ、周囲に気を配りながら、ゆっくりと下げ、傘の先を斜め下に向けた状態で完全に閉じます」(金森さん)
“周囲への気配り”と“ゆっくり”というのが2大ポイントということですね。知らず知らずのうちに迷惑行為をやってしまわないためには、人のいない状況でも上記の方法で傘を開閉するように心がけましょう。
■3:傘を肩にかけて傾けた状態で差す
傘を肩にかけて斜めにさすと服やバッグが濡れやすくなるうえ、後ろを歩いている人の視界を遮ってしまいます。傘はまっすぐ差すようにしましょう。
「ちょうど本日、信号待ちをしている女性で、傘を肩にかけて、かつクルクル回している方をお見かけしました。おそらく手持ち無沙汰で無意識のうちにそうしてしまったのではないでしょうか」(金森さん)
歩いているときだけでなく、信号待ちなどで立ち止まった際にも、NGな差し方をしないように注意しましょう。
■4:傘のバンドを留めずに持ち歩く
濡れた傘のバンドを留めずに持ち歩くのは、水しぶきが周囲にかかりやすいのでNG。
短い通路を通り抜けるだけだったり、一駅だけ電車に乗ったりする際などは、「どうせすぐ開くから」とバンドを留めるのを怠りがちですが、たとえごく短時間でも周囲への気遣いとして必ずバンドは留めるようにしましょう。
■5:電車内で自分の体から離して傘を持つ
狭い空間で乗客がひしめく電車内では、傘の扱い方には細心の注意を払いたいところ。先端を人に向けないように気をつけるのは当然のマナーですが、加えて車内では傘を自分の体に引き寄せて、正面で持つようにしましょう。
「例えば、傘を腕や鞄に引っ掛けた状態では、傘が斜めになって傘先が人に向くおそれがあります。また、自分の体から少し離して、傘を杖がわりのようにして持つのも、他の乗客がうっかり脚を引っ掛けるおそれがあり危険です」(金森さん)
自分の体に引き寄せて正面でしっかり持っていれば、他の乗客とトラブルになるリスクを最小限に抑えることができるということですね。傘を持っているときには、車内でスマホの使用も控えて傘のコントロールに意識を向けるようにしましょう。
■6:電車内で濡れた傘の先端を地面から浮かせる
前述のように、傘の先端の向きには常に注意を払うべきですが、電車内ではただ下に向けているだけでは不十分です。濡れている傘の先端を地面から浮かせると、水滴がポタポタ落ちて近くの乗客の迷惑になるおそれがあります。車内では傘の先を地面につけるようにしましょう。
■7:傘を振り回して水滴を落とす
屋内に入る前に、周囲の状況を顧みず傘を勢いよく開いたり閉じたりして水滴を落とすのは、絶対にやってはいけない行為ですよね。そこまで大胆な動きではなくても、傘をバサバサと振り回したり、上下に激しく揺すったりしても、やはり水滴が飛び散ってまわりに不快感を与えるおそれがあります。
傘の水滴を落とす際は、閉じた傘の露先をまとめて握り、傘先を下に向けて軽く数回振りましょう。上下に揺り動かすのではなく、あくまで“静かに下へ落とす”イメージで行うのがポイントです。
■8:びしょびしょの状態でバンドを留めずに傘立てに突っ込む
傘立ての管理者や、傘立てを共有する人たちに対しても気遣いを示すのが大人のマナー。びしょびしょに濡れた傘をバンドも留めずに傘立てに突っ込むような無粋はやめましょう。
「水滴を軽く落として、バンドをしっかり留めて、まっすぐ傘立てに入れるようにしましょう。傘立てが混んでいる状態はもちろんのこと、空いている状態でも、みんなが気持ちよく使えるように配慮することが大切です。
また、傘立てのマナーで気になる点がもうひとつ。ときどき、折りたたみ傘の柄を伸ばして、傘立てに無理やり突っ込んでいる光景を見かけますが、基本的に傘立ては長傘用のものです。
いくら柄を伸ばしても折りたたみ傘では丈が足りず、真っ直ぐに立てられず斜めになってしまいます。そうなると、他の利用者の迷惑になりますし、また傘を傷めることにもなりますので、折りたたみ傘は長傘用の傘立てには入れず、ご自分で管理するようにしましょう」(金森さん)
傘立ての使い方ひとつにも、その人の内面がにじみ出ますよね。長傘のみを行儀よく収めるようにしましょう。
最後に、金森さんから傘のマナーについてワンポイントアドバイスをいただきました。
「水滴に関わる事柄がいくつも出てきましたが、傘のマナー違反を避けるためには、傘カバーを利用するのがよいかと思います。また、折りたたみ傘は移動中にきちんとたたんで傘袋に収めるのは大変なので、さっと収納できるようにビニール袋を持参するとよいでしょう。
私の場合、古くなった傘の生地で作った巾着袋を愛用しています。もちろん、わざわざ手づくりしなくても、100円ショップに売っているような防水生地でつくられた袋でもいいですし、スーパーの袋でも十分です」(金森さん)
冒頭でも述べたように、雨の日はただでさえイライラしやすいので、ちょっとしたマナー違反が大事につながるおそれがあります。無駄なトラブルを避けるためにも、今回ご紹介した地雷を踏まないようにくれぐれも注意しましょう。
ウイズ株式会社
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美