普段のヨガをより一層楽しむために、暑い季節は特に、山で行ってみるのもよいのでは?
そこで今回は、ヨガをより贅沢に楽しむために、山ヨガについて、登山ガイド、ヨガインストラクターが案内する山ヨガツアーを四季折々の山で開催している山ヨガ事務局の伊藤康子さんに、40代女性向けに山ヨガについて教わります。
これが醍醐味!山ヨガの魅力9つのポイント
まずは伊藤さんに、山でヨガを行う醍醐味や魅力を9つ挙げていただきました!
■1:山登りの高揚感とヨガのリラックス感が同時に体験できる
「息をはずませながら頂上まで登り、ほどよく疲労した体をヨガでゆるめる。登山とヨガを一緒に行うことで、達成感と心地よさの両方が楽しめます」(伊藤さん)
■2:開放感があり究極にリラックスできる
「山は天井、壁、床など、意識をさえぎるものがない開放的な場所。そんな山でヨガを行うと、心も体も解き放たれて爽快です。また空気も新鮮です。そうした環境で体を広げる感覚は、日常ではなかなか味わえないこと。究極のリラックスであり、心身の浄化作用につながるのではないかと思います」(伊藤さん)
■3:景色の美しさを360度楽しめる
「ヨガのポーズは、前後・左右、回旋と、体の向き(目線)がいろいろと変わります。ヨガをしながら、山の景色をいろいろな角度から楽しめるのも、山ヨガの醍醐味です。両足の間から富士山が見えたり、青空が見えたり、雲海を見下ろしながらポーズをとったりしていると、物事の見方まで変わっていくような気がします」(伊藤さん)
■4:呼吸が深くなる
「建物の中で一日中仕事をしていたり、密集した街中で日常生活を送っていたり、複雑な人間関係の中で暮らしたりしていると呼吸が浅くなりがちです。一方、壮大な山に囲まれ、どこまでも広がる大地と空を目にすると、自然と呼吸が深くなり、手足を思いっきり広げたくなります。ヨガはその行為を深め、促進してくれます」(伊藤さん)
■5:登山の疲労の解消につながる
「登山で酷使した体をヨガでリセットすれば、登山の疲労感が解消されます。体のコリだけでなく心のコリもとることができるでしょう」(伊藤さん)
■6:人と自然、心と体のつながりに気づく
「山に行くと、厳しい自然のなかで命を育んでいる生き物や植物に出会うことがあります。山歩きをしながらそういう山の風景に出会うと、人も自然の一部なのだと感じます。今ある自然を大切にしたい気持ちになります。ヨガの語源はサンスクリット語『ユジュ』であり、『つなぐ』という意味があります。人と自然、自分自身の心と体をつなぐひとつのツールが山ヨガです」(伊藤さん)
■7:自然の一部になっていくことを楽しむ
「山ヨガでは、登山のパートも『瞑想=ヨガ』ととらえています。緊張感のある日常から徐々にスイッチを切り替え、時に内観しながら、ときに自然とつながりながら、やがて自然の一部になっていくことを楽しみます」(伊藤さん)
■8:トータルフィットネスとしての効果がある
「山歩きの効果は、心肺機能・筋力・持久力の向上です。一方、ヨガの効果は身体を隅々まで動かして全身を循環させ、身体のバランスを整えること。同時に、筋肉の過度な緊張をほぐし、関節の動きをなめらかにします。山歩きとヨガを両方行うことで、総合的なフィットネス効果が得られます」(伊藤さん)
■9:夏の山ヨガは涼しい!
「標高が100m上がるにつれ、気温は約0.6度下がるといわれています。つまり1,000mくらいの山に登ると、平地より約6度も低くなります。真夏で平地が30度以上あっても、山の上は比較的過ごしやすくなるのです。ここに風が吹けば、さらに体感温度は下がります。どのくらいの高さの山に登るかによりますが、高い山なら夏でも寒いと感じることすらあります」(伊藤さん)
山ヨガって…そもそもどんなもの?
ところで山ヨガは、普段のヨガと比べてどのような特徴があるのでしょうか。ヨガのポーズ「アーサナ」も普段のヨガとは異なってくるのでしょうか。
「山ヨガのアーサナに関しては、特にこうでなければいけないという決まりはありません。平らで広々した場所なら、まず『シャヴァーサナ(※1)』から入ってもいいと思います。ただ大地の上に寝転んで、青空に目線を向けるだけでもいいでしょう。シューズを脱いで、足指をほぐすことから始めてもいいですね。
時間も、スタジオレッスンのように何十分も行おうと思わず、山頂に立ったときの気分に合わせて、自由に好きなポーズをとるのがいいと思います。山頂に立つと、自然に体を広げたくなるので、胸を広げるようなポーズはおすすめです。
また山の上は風が強かったり、気温が低かったりするので、リラックス系のポーズより、ビンヤサ系(※2)で体が温まるポーズもいいでしょう。いずれにせよポーズの選択は、そのときの状況によって変わります。
ヨガマットは、ケーブルで登れる山であれば持っていってもいいかもしれませんが、レジャーシートが1枚あるだけで十分です。シートがなければ、立位のヨガだけでもいいでしょう。
お友達と一緒なら、ペアポーズも楽しいです。登頂の記念写真のポーズをヨガのポーズ(立木のポーズ※3など)にすると楽しいと思います」(伊藤さん)
※1 シャヴァーサナ…ヨガの最後に行う仰向けになるポーズ。亡骸のポーズとも呼ばれる。
※2 ビンヤサ系…停止せず、動きながら行うポーズ全般のこと。
※3 立木のポーズ…片足で立ちバランスを取るポーズ。
山ヨガのファッションは防寒ウエア必携!
そして気になるのが山ヨガのファッション。ウエアはどう選択すればいいでしょうか。
「山登りができるスタイルであれば、好きなファッションでいいと思います。ただ、登山中はかなり暑くなるのに対し、行動をやめた途端、急に体が冷えますので、汗冷えしないように、夏でも防寒ウエアは必携です。薄手のウィンドブレーカー、ライトフリース、ライトダウンジャケットなどが役立ちます。また、山は天候が急変しやすいので、レインウエアも必ず用意しましょう。ポンチョタイプは風で舞い上がってしまうので、ジャケットとパンツの上下セパレートタイプがおすすめです」(伊藤さん)
日焼け対策も忘れずに!
登山とヨガを両方楽しめる山ヨガ。一日中、太陽の下で過ごすことから、紫外線対策も必須といえそうです。
「基本的に日焼け止めで対応できると思います。気になる方は、休憩の度にこまめに塗り直しを。また目への紫外線対策としてサングラスをするのをおすすめします。他には、UV加工の帽子、通気性のいいネックウォーマーやスカーフなどもおすすめです」(伊藤さん)
40代女性が山ヨガを行うときの注意点
山ヨガが具体的にイメージできてきた今、すぐにでも出かけたくなってきた方も多いのでは? そこで40代の女性が山ヨガに出かけるときに、より安全に過ごせるよう、注意点を教えていただきました。
登山の注意点
「日ごろ、運動不足の人は、ペース配分を誤るとバテてしまうので、ゆっくり登るようにするといいですね。軽く息がはずむ程度で、このまま何時間も歩き続けられる歩行ペースで。ハアハアいうのは心拍数が上がりすぎています。体に負担がかかって疲労を早めますので、登るスピードを落としましょう。
年齢とともに、バランス力は低下します。特に下山で脚が疲労してくると踏ん張りがきかなくなってくるので、バランスをサポートするトレッキングポール(山登りで使用する杖)などがあるといいでしょう。疲労を軽減し、ケガ予防にもなる強い味方です」(伊藤さん)
山ヨガの注意点
「バランス系のポーズは、安全な場所であることを確認した上で行ってください。また、危険な岩場で難しいポーズにチャレンジすることもやめましょう。自然環境の中で行うヨガなので、安全性を第一に行うことが大切です。また山頂には他の登山者もいますので、一定時間、場所を占領しないように配慮しましょう」(伊藤さん)
心身共にリフレッシュできるヨガ。山頂ならもっと効果が高まり、自然とテンションも上がりそうです。この夏、ぜひチャレンジしてみましょう!
問い合わせ先
- 山ヨガ事務局(登山ガイド、ヨガインストラクターが案内する山ヨガツアーを四季折々の山で開催中)
- TEXT :
- Precious.jp編集部