キャリーバッグやリュック、ゴルフバッグやギターケースなど、仕事でもプライベートでも大きな荷物を持ち運ぶ機会は意外と多いもの。こうした大荷物を抱えていると、重いしかさばるしで、自分のことに精一杯になりがちですよね。
ただ、公共の場での大荷物は、通行の妨げになったり誰かにぶつけたりで、思わぬ迷惑行為になることも。ぼんやりしていると、自分では気が付かないうちに、まわりから白い目で見られたり、トラブルや事故にまで発展したりすることにもなりかねません。
そこで、今回はマナー講師の金森たかこさんから、大きな荷物を持って移動するときにやりがちなNGマナーについてお話をうかがいました。
大きな荷物を持って移動するときにやってはいけない7つのこと
■1:キャリーバッグのバーを長く持つのはNG
まずは、キャリーバッグを持ち運ぶ際の基本のキから。駅など人が混み合う場所で、持ち手のバーを長く伸ばし、バッグを後ろに引いて歩く光景をよく見かけますが、この持ち運び方はNGです。
「バッグを自分の体から離して、しかも、自分の視界に入らない状態で持ち運ぶのは大変危険です。キャリーバッグで誰かの足を轢いてしまったり、バッグをぶつけてしまったりなど、思わぬ事故につながる恐れがあります。バーは短く調節し、なるべく自分の体に引きつけてバッグを運ぶようにしましょう。後ろに引くのではなく、自分の体の側面に持つようにするとより安全です」(金森さん)
キャリーバッグには二輪タイプと四輪タイプがあり、二輪タイプだとどうしても後方に引きずって持つスタイルになりがちです。周囲に配慮できるマナー美人を目指すなら、自分の体の側面で持ち運べる四輪タイプがおすすめかもしれませんね。
■2:歩行中に急に立ち止まるのはNG
旅行や出張で慣れない土地を訪れた際など、移動中に地図を確認したくなることもあるでしょう。ただし、キャリーバッグを持ち運んでいる最中には、急に立ち止まるのはNGです。
「とくに、エスカレーターを降りた直後や通路の真ん中で急に立ち止まると、後ろから歩いてきた人が荷物に足を引っかけたり、周囲の人たちの通行の妨げにもなったりと非常に危険です。スマホの操作などは、思い立ったらすぐ行うのではなく、まずは、通行のじゃまにならない場所に移動してからにしましょう」(金森さん)
スマホに着信があった場合にも、その場ですぐに対応しようとするのではなく、然るべき場所に移動してからのほうがよさそうですね。
■3:エスカレーターでキャリーバッグから手を離すのはNG
キャリーバッグを持ち運びながらエスカレーターに乗った際は、上りでも下りでも、ハンドルから手を離さないことが鉄則。手を離したままでは、何かの拍子に荷物が転がり落ちて、思わぬ大事故につながる恐れがあります。
また、エスカレーターの利用時には、上りではバッグを自分の前方、下りでは自分の後方に置くようにしましょう。常にバッグを自分よりも上段に置くようにすれば、万が一、キャリーバッグが倒れそうになっても、自分で支えることができて安全です。
■4:スマホを利用しながら電車に乗車するのはNG
キャリーバッグなど大荷物を持って電車を利用する際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
「持ち運ぶ際は、なるべく自分の体に引きつけて、とお伝えしましたが、電車内でも同様に、まずは自分の体に密着させて持つことが大事です。キャリーバッグに限らず、大きなリュックやギターケース、ゴルフバッグ等でも同じことがいえます。
特に、混み合っている車内では、急な揺れなどいろいろな状況に臨機応変に対応できるように、荷物から目を離してはいけません。この観点から、車内ではスマホの利用を控えるほうがよいでしょう。スマホを利用すると、利き手がふさがるうえ、荷物から注意がそれてしまうので、自分でも気づかないうちに、周囲の人に迷惑をかける恐れがあります」(金森さん)
大きな荷物を持って電車に乗り込んだら、荷物の管理に意識を集中させるようにしましょう。
■5:電車の乗降口を荷物でふさぐのはNG
電車内で他に注意すべき点はあるでしょうか?
「乗降口付近では、とにかく人の流れに逆らわないようにするのが大原則です。ときどき、扉が開いて人が乗り降りしようとしているのに、乗降口を荷物でふさいで知らん顔している人がいますが、周囲にとって非常に迷惑になります。乗降が多い時間帯では、扉が開く都度、人の流れに合わせて荷物と一緒に降り乗りするようにしましょう」(金森さん)
キャリーバッグなど大きな荷物は持ち上げるのもひと苦労ですが、周囲の状況をよく見て、必要に応じて荷物を動かすようにしましょう。
■6:団体で横並びになるのはNG
電車内だけでなく、駅ホームで電車を待つ間にも、キャリーバッグのマナー違反で周囲をイラッとさせてしまうこともあるようです。
「グループ旅行をしている人たちが、各々キャリーバッグを持って集団で固まり、空間の真ん中を占領しているような光景を見かけることがあります。また、駅ホームで電車を待つときにも、団体客が列を大きくはみ出していることも。集団行動するときこそ、邪魔にならないように注意しましょう」(金森さん)
友達同士で旅行しているときなどは、仲間内で盛り上がって周囲への配慮を欠きがち。ただ、ひとりで行動するよりも、集団のほうがスペースをとるぶん、よりいっそう気配りが必要だといえそうですね。
■7:リュックなどを背中に背負ったまま電車に乗車するのはNG
キャリーバッグ以外の大荷物としては、リュックやゴルフバッグ、ギターケースなど背中に背負うタイプのものもあります。背中に背負うタイプの大荷物では、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
「電車内でリュックなどを背負ったままでいると、荷物が自分の視界に入らないため、知らずに荷物を近くの人にぶつけたり押し付けたりする恐れがあります。背負ったままにせず、リュックは自分の体の前で抱え持つこと。また、ゴルフバッグやギターケースは立てた状態で自分の体に引きつけて持つことが基本です。
ただ、リュックを体の前で抱え持った状態で座席の前に立つと、ちょうど座っている人の顔あたりに荷物が来て、かえって危ないこともあります。座席の前に立つときは、正面ではなく自分の体の横で手に提げるようにするなど、状況に応じた持ち方を心がけましょう」(金森さん)
“電車内でリュックは体の前で抱え持つのがマナー”とよくいわれますが、ただ漫然と体の前に抱えていればよいわけでもないのですね。荷物から目を離さようにしつつ、常にまわりの状況をよく確認しましょう。
公共の場では譲り合いやマナーが大切ですが、とりわけ大きな荷物を持って移動する際には、いつも以上の気配り・目配りが欠かせません。ちょっと気をつければ防げたはずのトラブルに巻き込まれないためにも、今回ご紹介したマナーはぜひ押さえておきましょう。
ウイズ株式会社
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美