ピザといえば、ホームパーティーなど、肩肘を張らない雰囲気で、気楽に食べるイメージがありますよね。とはいえ、格式のあるイタリアンレストランなど、正式なマナーに則って食べるほうがよい場合もあります。

例えば、お店でピザがナイフとフォークと一緒に提供されたら……手づかみで食べるのは、いささかはしたない気がしますよね。このシチュエーションではどう振る舞うのが正解!?

また、親しき仲にも礼儀あり。おうちで気心の知れた仲間と一緒に食べる際にも、自由奔放というわけにはきません。最低限のマナーをわきまえていないと「この人、下品!」とまわりから不名誉な烙印を押されてしまう恐れが……。

そこで、今回は、マナー講師の瀬尾姫民さんからピザを食べるときのNGマナーについて教えていただきました。

意外と知らないピザを食べるときのNGマナー8選

飲食店でピザを食べるときのNGマナー6選

まずは、本格的なピザをお店で食べる際のNGマナーを見ていきましょう。

■1:提供されてもすぐに食べないのはNG

熱いものは熱いうちに
熱いものは熱いうちに

食事のマナーの基本は、提供された料理をベストな状態でいただくこと。ピザは出来たての熱々がいちばんおいしいので、テーブルに運ばれてきたら冷めないうちにスピーディーに食べましょう。おしゃべりに夢中になって、ピザを放置すると冷める一方でもったいないですし、食材に対してもお店に対しても失礼にあたる恐れがあります。

■2:ナイフとフォークがあるのに手づかみで食べるのはNG

本場ではナイフとフォークを使って食べる
本場ではナイフとフォークを使って食べる

本場イタリアでは、ピザはナイフとフォークを使って食べるもの。お店でピザがナイフとフォークと一緒に提供されたら、手づかみではなく、それらを使っていただきましょう。

放射状にカットしたピザ1切れの食べ方は以下の通り。まず、ナイフとフォークを使って、中心部から耳に向けてクルクルと巻きます。巻き終わったら棒状になったピザを横向きにして、左端からひと口大に切り分けて食べるのが正解です。

この食べ方には、熱々のピザに手で触れずに、先端から耳の部分までひと口で味わうことができるというメリットがあります。ナイフとフォークがあるシチュエーションでは、ぜひこの方法で!

ただし、マナーにおいては正しいか間違っているかよりも、周囲の人に恥をかかせないことのほうが大事。英国ヴィクリア女王が、来賓に合わせてフィンガーボウルの水を飲んだというエピソードは有名ですが、ピザの食べ方でも、もし会食者が手づかみならば、自分も手づかみで食べるほうがマナーにかなっているといえるでしょう。

■3:タバスコを大量にかけるのはNG

かけすぎると味音痴だと思われるかも
かけすぎると味音痴だと思われるかも

刺激的な味には目がなくて、ピザにタバスコは必須という人もいるでしょう。でも、お店でピザにタバスコを大量にかけるのはご法度です。

「特に、まだひと口も食べていないうちから、タバスコをかけるのは控えるべきでしょう。辛いものが好きなかたも、まずは、ひと口食べて素材を味わってから、味の変化を楽しむつもりで少しずつかけるのがよいかと思います」(瀬尾さん)

ちなみに、テーブルにタバスコがない場合に、お店の人に「タバスコください」とリクエストしてもよいのでしょうか?

「その場にないものをリクエストするのは、よほど親しくしているお店でない限り、控えましょう。タバスコがないということは、そのままで食べるのが一番おいしいということですから、料理人の心を尊重するという意味で、追加の調味料をリクエストするのはNGです」(瀬尾さん)

お店のスタイルに従って、テーブルにタバスコがなければタバスコはなしで。また、タバスコの提供がある場合も、かけすぎないようにしましょう。

■4:具だけ食べて生地を残すのはNG

具だけ食べるのは下品
具だけ食べるのは下品

ダイエット中で、炭水化物をなるべく摂取したくない……という人でも、この食べ方だけは絶対にやめましょう! 具だけ食べて生地を残すのは著しいマナー違反です。料理を提供された状態でいただくのが食事マナーの基本のキ。必ず具と生地を一緒に味わいましょう。

■5:食べかけを皿に戻すのはNG

手づかみで食べるときのマナーは?
手づかみで食べるときのマナーは?

カジュアルなお店ではナイフ、フォークではなく手づかみで食べることもありますが、手づかみで食べる場合の注意点として、どのような点があるのでしょうか?

「手づかみで食べる場合は、具を内側にはさみこむように、ピザの縁を軽く折り曲げると、チーズや具がたれずにエレガントにいただくことができます。

あとは、食べかけのピザはお皿に戻さないこと。洋食でも和食でも、食べかけのものを器に戻すのはマナー違反にあたります。手づかみで食べる場合、ピザをひと口で食べきることができませんが、食べかけはお皿に戻さず、手に持ったまま、何口かに分けて食べきるようにしましょう」(瀬尾さん)

カジュアルなお店で手づかみOKでも、がさつにならず、スマートな所作を心がけたいものですね。

■6:残した耳を皿の目立つところに放置するのはNG

どうしても耳を残したいときは?
どうしても耳を残したいときは?

ナイフ、フォークでまるめて食べる場合は、耳までしっかり味わうことができますが、手づかみでは最後に耳を残す人もいます。耳を残すのはマナー違反に当たらないないのでしょうか?

「基本的には、提供された料理は残さずすべていただくのがマナーですので、なるべく耳も残さないほうがよいかと思います。とはいえ、その日の体調などによって完食が難しい場合もあるので、絶対にダメとは言い切れません。もし、耳を食べ残したら、目立たないようにお皿の隅に寄せておきましょう。懐紙をお持ちだったり、お店に紙ナプキンがあったりする場合は、上からかぶせて隠すようにするとよりエレガントです」(瀬尾さん)

生地にこだわったお店で耳を残してしまうのはもったいなくもありますよね。ただ、どうしても食べきれない場合は、上記の方法で失礼のないようにしましょう。

自宅で宅配ピザなどを食べるときのNGマナー2選

自宅で宅配ピザなどを食べる際には、お店ほどマナーを気にする必要はないでしょう。ただ、リラックスと無作法をはきちがえて、周囲の人に不快な思いをさせるような食べ方にならないよう以下の点に注意しましょう。

■7:落ちたトッピングを手でつまんで口に放り込むのはNG

宅配ピザでも最低限のマナーは守りたい
宅配ピザでも最低限のマナーは守りたい

宅配ピザは、全体から1ピースを取り分けようとした際に、トマトやミートなどのトッピングが生地からずり落ちることがありますよね。その際、落ちたトッピングを手でひょいとつまんで、口にぽいと放り込むのはNG!

「おうちで食べる際は、カジュアルに手づかみで食べてもよいのですが、フォークは用意しておいてもよいかと思います。トッピングが生地から落ちた場合は、手で拾ってそのまま食べるよりも、フォークですくってピザ生地に乗せてから食べるようにしましょう」(瀬尾さん)

落ちた具をそのまま口に放り込むのは、つまみ食いのような挙動でみっともないですよね。本来トッピングと生地は一体で味わうべきものですし、落ちた具はちゃんと生地に戻して食べるようにしましょう。

■8:順番を無視して好きなピースを取るのはNG

好き放題とるのはNG
好き放題とるのはNG

宅配ピザでは、ピースごとに具材の偏りがあって、自分の好きな具がたくさん乗っているものを選り好みしたくなることもあるでしょう。では、例えば、上図のような8等分のピザで、他の人が1、2を取ったあとに、3ではなく自分好みの6をとるのはアリなのでしょうか?

「自宅であっても、選り好みによる順番抜かしは望ましくありません。1、2のあとは順番通り3を取るほうがよいでしょう。お店ではちゃんとするから、自宅では自由に食べてよい……という考え方もありますが、いくら外で気をつけても、日ごろの食べ方は自然と出てしまうものです。人前かどうかにかかわらず、自分の食事する姿が人から見られてどうなのか常に意識したほうがよいでしょう」(瀬尾さん)

ピースを選ぶときも周囲への気遣いを忘れないように!

カジュアルなイメージのあるピザですが、正しいマナーを知っておくとよりおいしく味わうことができそうですよね。洗練された食べ方は日ごろの積み重ねで身につくものなので、ぜひお店でも自宅でもワンランク上のマナー美人を目指しましょう。

瀬尾姫民さん
マナー講師
(せお ひさみ)Seo Total Academy代表。一般社団法人日本プロトコール&マナーズ協会認定サロン。1993年イメージコンサルタント資格を取得。2005年Seo Total Academyを設立。カラー、ファッション、ブライダル、プロトコール&マナーの分野において個人及び企業向けコンサルティング、セミナー、研修、育成を行う。ホテルナゴヤキャッスル主催キャッスルアカデミー「トータルビューティーレッスン」や主催するエレガントマナー講座、和の作法&テーブルマナーレッスンも毎回キャンセル待ちと好評。ブライダルやデパートイベントのプロデュース、TV出演、人気女性誌での掲載など多分野で活躍する美のスペシャリスト。『なごやの冠婚葬祭』監修。著書に『お食事から身につける美しい日常』がある。Seo Total Academy

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この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2018.10.23 更新
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美
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