なんとなく心がモヤモヤしているときは、思いっきり泣いて心をリラックスさせましょう! 「泣くこと」はネガティブなイメージがありますが、実は心のデトックスに最適な方法なのだそう。近年は、能動的に涙を流すことで心をすっきりキレイにする活動「涙活(るいかつ)」が注目を集めています。
ただし、ただ泣くだけではデトックスには繋がらず、ストレスも解消しきれないといいます。そこで、今回は涙活の発案者であり、涙活プロデューサーの寺井広樹先生に、涙活でストレスを解消するポイントを教えていただきました。
涙を流すと、良質な睡眠と同じくらいのリラックス効果がある!?
泣いた後にスッキリする秘密は、脳の自律神経系にある
泣いた後の話に、「泣いたらスッキリした」「心地良く眠りにつけた」という例がよくありますが、その秘密は、身体の各器官に指令を出す脳の自律神経系にあるといいます。
人間は危険やストレスにさらされると、自律神経系の中にある、活動力を高める交感神経の動きが活発になります。そのため、仕事などでストレスを感じて緊張すると交感神経が活発化し、心臓がドキドキしたり、血圧が上がってしまったりします。
身体を「お休みモード」にする副交感神経は、睡眠同様、泣くことでも活性化される
「交感神経の緊張をほぐすには、副交感神経を活発化させ、身体を“お休みモード”にする必要があります」と寺井先生。副交感神経は身体を落ち着かせ、血圧や心拍数を下げたりする神経。睡眠によって最も活性化されますが、泣くことでも同様に活性化されるといいます。
睡眠をたっぷりとったようなリラックス感が得られる涙活
「涙を流す器官である『涙腺』は副交感神経のコントロール下にあるため、泣くことで副交感神経が活発化します。そのため、起きている状態でも、睡眠をたっぷりとったようなリラックス感が得られるんですよ。まさに究極のストレス緩和作用といえるでしょう」(寺井先生)
ただ泣くだけじゃ意味がない!効く涙活には「ポジティブな涙」が必要
大切なのは、心を動かされたときに流す「情動の涙」
涙活をするといっても、ただ泣くだけ、涙を流すだけでは効果は得られません。涙活の涙は、眼球を乾燥から守る涙や、角膜を保護する涙ではなく、心を動かされたときに流す「情動の涙」であることが大切だといいます。
「情動とは、ある事柄によって感情がふいに動くことを意味します。“情動の涙”にはうれし涙や感動の涙、悲しみの涙、悔し涙などさまざまな涙が含まれていますが、ポジティブな感情で流す涙が最も心身をスッキリさせてくれます」(寺井先生)
ネガティブな感情で流す涙には、自分自身のストレスが含まれてしまう
「例えば、試験の点数が悪かったり、試合にライバルに負けたときなど、ネガティブな感情で流す涙には、『負けた』『うまくいかなかった』といった、自分自身のストレスが含まれています。このような涙は、かえって不快なストレスを思い出すことになり、悲しみや怒りとして蓄積されてしまう可能性もあるんです」(寺井先生)
また、寺井先生は、質の良い「情動の涙」を流すこともおすすめしています。
「私が考える質の良い涙は、相手の体験で流す涙です。怒りなど自分の感情で涙を流すのではなく、相手が置かれている苦しい立場に共感したりして流す涙こそ、ストレス解消に最も良い涙だと思います」(寺井先生)
とりわけストレス解消効果が高いのは、他人の経験に感動したときに流す涙
科学的にも他人の経験に共感して泣くことは、とても良いとされています。また、東邦大学医学部名誉教授の有田秀穂(ありたひでほ)先生は、“情動の涙”のなかでもとりわけストレス解消効果が高いのは、感動したときに流す涙だと述べています。
「ポジティブな感情で流す涙は、最も心身をスッキリさせるデトックスツール。泣ける映画や小説、漫画を見たり読んだりして、質の良い涙をたくさん流しましょう」(寺井先生)
寺井先生おすすめ!ひとり涙活のポイント
「今日から涙活を始めたい!」と思ったものの、「どうやってするのか」「効果的な場所や時間はあるのか」など、わからないことも多数ありますよね。ここでは、寺井先生がおすすめする、ひとり涙活のハウツーをご紹介します!
■1:涙活をするなら、朝よりも夜!
涙はストレスによって引き起こされるため、ストレスの多い方が泣きやすくなります。朝は睡眠によって大幅にストレスが解消された後なので、ほとんどストレスは溜まっていないそう。そのため、涙を流しても大した効果を得られません。
1週間のうちでは、平日のストレスが溜まっている金曜日の夜が一番良い
「涙活は、ストレスがたまっている夜に行いましょう。また、平日よりも週末がおすすめですね。というのは、一般的に平日よりも週末の方が、ストレスがたまっているとされているからです。1週間のうちでは、金曜日の夜が一番良いと思います。ストレスがピークになる週末に泣いて、ストレスを洗い流すのが良いでしょう」(寺井先生)
■2:涙は止めずに、一気に流す!
涙を流すと、「泣いてはいけない」「泣いたら恥ずかしい」と思ってしまいますが、涙活では涙を止めることが逆効果! 一度出た涙は止めずに、一気に流すことがポイントだといいます。
涙の我慢は、交感神経を優位にし、副交感神経が出てこられなくなってしまう
「涙を我慢してしまうと、交感神経が優位になり、身体を“お休みモード”にしてくれる副交感神経が出てこられなくなってしまいます。そのため、なかなか副交感神経に切り替わらないという事態に陥ってしまう恐れも。リラックスもしなければ、ストレス解消もできない状態になってしまうので、泣いたら一気に涙を流してください」(寺井先生)
■3:「泣いた後の片づけが大変」という方は、お風呂の涙活がおすすめ
「思いっきり泣きたいけれど、涙を拭いたティッシュやタオルを片付けるのが大変……」と感じる方もいるのではないでしょうか。確かに丸めたティッシュや汚れたタオルを見ると、「後始末をしなきゃ」と面倒な気持ちになってしまいますよね。
個室空間のお風呂は、泣いているところを見られたくない方にもぴったり
そんな方は、お風呂で涙活をしましょう! お風呂の中なら、涙をたくさん流しても拭う必要がなく、すぐに洗い流すこともできます。また、お風呂は個室空間なので、泣いているところを見られたくないという方にもぴったりです。
「お風呂の照明を落としてアロマキャンドルを焚いたり、リラックス効果のあるアロマオイルをお風呂に入れたりすれば、癒しの効果が一層高まって、デトックス効果がさらにアップしますよ」(寺井先生)
「最近ちょっと心が疲れているかも……」という方は、感動的な作品で涙を流して、気分をスッキリさせましょう! また、寺井先生は、定期的に涙活イベントを開催しています。イベント情報は「涙活 Official website」で確認できるので、ぜひ参加してみてはいかがでしょう。
関連リンク
涙活 Official website
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- ニッタハル (晴レノ日スタヂオ )