うさぎの中でも「小さくて丸い顔に短い耳」という特徴を持つネザーランドドワーフとは?
オランダを原産国とするネザーランドドワーフは、うさぎの中で最も小さい品種で、耳が短く丸い顔が特徴のうさぎです。またカラーバリエーションが豊富で、色んな毛色があります。
アイペット損害保険株式会社が発表した、2019年に保険契約が開始されたペットを対象にした「人気飼育犬種・猫種ランキング2019」では、小動物についても発表があった中、「うさぎ」部門の第1位は、「ネザーランドドワーフ」でした。
そんな人気のネザーランドドワーフの特徴や魅力、飼育のポイントを、日本全国のうさぎマニアも来店するうさぎ専門店「うさぎのしっぽ」の代表、町田修さんに伺いました。
ネザーランドドワーフの生態と、その魅力を徹底解説!
うさぎについて多くの書籍の執筆や監修を手がけている、うさぎに詳しい町田さん。早速、ネザーランドドワーフの魅力を教えてもらいました。
■1:小さな体に丸い顔と短い耳
「ネザーランドドワーフは、体重が900グラムから1キロ程度の、一番小さな立ち耳の品種です。やわらかく手触りの良い毛並みと、どこから見ても丸く大きな顔に、うさぎらしからぬ短い耳、そしてパッチリとした大きな目がその可愛らしさの理由だと思います。
彼らを抱っこしたときに腕の中にすっぽりとおさまる姿を見ると、本当のぬいぐるみのようです」(町田さん)
■2:チャーミングで活発、感情表現豊か
「基本的に動きが活発です。小さい体で素早く動くことができます。
立ち上がったり、その場で急にパタッと横になったりして驚かされます。小さな耳を前足で挟んでお手入れする姿がとてもチャーミングでずっと見ていても飽きません。
そして、『いつでも自分にかまって欲しい』という欲求があるかのように、飼い主さん以外の家族や他の動物にやきもちも焼きます。
感情豊かな反面、臆病なところがあり突然の環境の変化や飼い主さんの急な動き、大きな音に驚いたりすることがあります」(町田さん)
■3:カラーバリエーションが豊富
「うさぎの品種の中では、特にカラーバリエーションが多く、それぞれ大きく見た目や雰囲気が変わり魅力的です。
現在、基本のカラーは30色以上あり、ブロークン(ぶち模様)を入れるとその倍くらいのバリエーションがあります。
その中で最も人気のカラーは『オレンジ』です。他の品種でも同じオレンジのカラーのうさぎもいますが、ネザーランドドワーフのオレンジは、明るく綺麗なオレンジ色をしているので、特別に可愛く見えると思います。
おそらく、写真集やSNSで人気のネザーランドドワーフの多くは、オレンジ系だと思います」(町田さん)
■4:コンパクトな空間で生活できる
「とても小さなうさぎなので、ケージの広さは小さめでも大丈夫です。
しかし飼いうさぎの祖先である穴うさぎが、巣穴を掘り寝床やトイレなどの生活スペースを分けて生活していたので、今でもケージの中に落ち着けるハウスやトイレなどスペース分けしてあげることが大切です。
ネザーランドドワーフをはじめとしたうさぎは、テリトリー本能を持っているので、飼い主さん主導のもと、お部屋の中で少しずつテリトリーを広げてあげることも必要です。
ネザーランドドワーフは、その活発さと相まって、生活空間の工夫をするのが楽しい品種でもあります」(町田さん)
■5:飼い主さんの生活パターンに合わせることができる
「元来うさぎは、明け方や日の入り前の薄明るい時間に活発に行動する薄命薄暮性の動物で、暗くなってから行動する夜行性ではありません。
また、縄張りの中で仲間と共に生きる社会性のある動物です。ですから人に慣れ、飼い主さんの生活パターンに順応し一緒に暮らすことができます」(町田さん)
ネザーランドドワーフと生活をするときのポイント
一緒に生活するのが楽しそうなネザーランドドワーフ! 生活における具体的なポイントを教えていただきましょう。
■1:ケージとトイレを衛生的にキープ
「綺麗好きなうさぎにとって生活するケージの中は、いつでも衛生的にしておく必要があります。
床は、オシッコや糞が下に落ちる木製すのこや金属網がいいでしょう。金属網の床を使用する場合には、部分的に木製すのこや藁(わら)製のマットなどを敷いて、足裏の負担を軽減してあげてください。
ネザーランドドワーフは、他の品種と比べて小さいので、省スペースで飼育することができます。
ケージの大きさは、幅60×奥行き45×高さ50cm程度の大きさがいいでしょう。うさぎが横になったり、立ち上がったりするのに十分な広さが必要です。
また、うさぎはトイレと生活スペースを使い分けることができる動物ですので、トイレは必ず設置してください。一般的に、入り口から見て奥の左右の角がトイレになることが多いですね」(町田さん)
■2:固定式のフード入れと給水ボトルを用意
「うさぎは鳴かないので、行動で意思表示をします。飼い主さんとの接点で一番影響があるのが、食べ物とそれを入れるフード入れとなります。
飼い主さんへの『ご飯ちょうだい』や『外に出たい』などもフード入れをかじって音を出したり、ひっくり返したりして意思表示します。
このような問題行動に対処するには、フード入れは固定式や重いものがおすすめです。また給水ボトルは、うさぎがいつでも水を飲めるような高さに設置します」(町田さん)
■3:スペースを使い分けるためのハウスを設置
「すべての飼いうさぎの祖先はアナうさぎです。うさぎにとってケージの中は、アナうさぎの巣穴同様に最も安心できる場所でなくてなりません。
ハウスの設置は、アナうさぎの習性に応じることのできるものの一つと考えられます。ですから、ケージの中のハウスはうさぎにとってとても大切な場所になります。
しかしながら、ハウスがうさぎの安心できる場所になる一方、そこに閉じこもってしまう神経質なうさぎにしてしまう可能性もあります。
ですから、個々の性格をみて、環境に慣れてからハウスを付けるなどの配慮も必要かもしれません」(町田さん)
■4:温湿度管理をしっかり行う
「温度管理は、動物と生活するときにはとても大切です。うさぎは暑さに弱い動物で、16℃から25℃程度が適温と言われています。夏の暑さ対策には、エアコンを使うことをおすすめします。
またエアコンで管理するときには、エアコンの温度だけではなく、ケージの置き場所や温湿度計をつけることが必要になります。
飼い主さんには適温でも、うさちゃんには寒すぎる場合などもありますが、あまり神経質になって過保護にするのは問題になる可能性もあります。季節に応じて少しずつ変化をつけてあげるのも大切です」(町田さん)
■5:風通しのいい空間にケージを置く
「適度に風が通る環境は、病気の予防や快適さにつながります。空気がよどまないようにケージの後ろや左右にも空間を空けてあげましょう」(町田さん)
■6:ラビットフードは年齢や体格で調整する
「純血種のネザーランドドワーフは、体重1キロくらいが理想的ですが個体差があります。体を小さくしたいからと成長期にフードの量を減らしては絶対にいけません。
成長期が終わる6ヶ月くらいまでは、専門店やペットショップの使うラビットフードを食べ放題にします。その後の維持期では、牧草を主食にラビットフードを副食にして、体重の管理をしながら1日に与える量をコントロールしなければなりません。
その目安は、普段お世話になっているところに相談するのがいいでしょう」(町田さん)
■7:牧草を主食に用意する
「牧草は、永久に伸び続けるうさぎの歯のケアや胃腸の健康のために必要です。
牧草にはたくさんの種類がありますが基本的には、マメ科とイネ科の2種類があります。成長期には、これらの2種類を与えますが、生後6ヶ月以上の維持期には、繊維質を十分に摂れてカルシウムの少ないイネ科の『チモシー1番刈り』のフードがおすすめです。
うさぎの味覚はとても発達しているので、嗜好性の高い牧草ばかりを与えるとそれしか食べなくなり飼い主さんを困らせることがあります。成長するに従っていろいろな牧草を食べさせてあげてください」(町田さん)
■8:整腸作用のあるサプリメントを
「うさぎは完全な草食動物で特別な消化システムを持っています。そのためお腹の調子を整える必要があります。
整腸作用のある乳酸菌のサプリメントやお腹に毛などが詰まるのを防ぐ毛球症のサプリメントなどを定期的に与えるのも必要です。最近のうさぎは、飼育環境やフードの質が良くなっているので、寿命が伸びています。今は10歳以上のうさぎもとても多くなっています。
このような長寿のうさぎの場合、免疫力を上げるプロポリスやシニア系のサプリを与えると良いでしょう。」(町田さん)
ネザーランドドワーフを飼うときに知っておくべき注意点
ネザーランドドワーフを飼うときには、どんなことに特に注意すればいいでしょうか。町田さんは次の3つを挙げます。
■1:慎重な性格を理解する
「ネザーランドドワーフは慎重で臆病な一面もあります。そのため、大きな音や環境の変化、上からの急な抱き上げなどに気をつける必要があります。
特に、小さなお子さんの不意の手や大きな声には驚くことがあります。ネザーランドドワーフを迎え入れるときには、少しずつ慣れさせていくなど、環境面にも配慮することが必要です。『焦らずゆっくり』の感覚が大切かもしれません」(町田さん)
■2:定期的な健康診断も
「ネザーランドドワーフは、大型種と比べると比較的長生きの子が多いといいます。元気に長生きしてもらうために健康に気をつけた食事や生活を心がけるとともに気になることがあれば動物病院で診てもらいましょう。
また健康なときでも年に1~2回は、動物病医院で健康診断を受けることをおすすめします」(町田さん)
■3:ケージかじりが起きたら慌てず対処
「飼い主さんにアピールするために、ケージやフード入れをかじることがあります。そうした行動をした場合、近寄って声をかけたりしてはいけません。助長しないように無視することが大切です。
かじり木などのおもちゃを与えたり音が鳴らないように、かじる部分に木製品をつけたりするなどの工夫をしましょう。
またケージをかじることで切歯の後天的な不正咬合を生じることもありますので、定期的な歯のチェックも必要です」(町田さん)
ネザーランドドワーフの魅力や生態、そして一緒に生活するときのポイントや注意点などを教えていただきました。
ネザーランドドワーフは、よく人に慣れ、うさぎの中でもカラーバリエーションが多く、小さくて可愛い人気の品種。気になる人は、ぜひ一緒に暮らすことを検討してみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
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うさぎのしっぽ
TEL:045-751-2181 - 店舗/東京、神奈川、横浜に10店舗
- 住所/〒235-0016 横浜市磯子区磯子2-20-51(本店)
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利
- EDIT :
- 安念美和子