メーガン妃は一体どれだけ強いのか? 強烈なバッシングの中でも、意志を貫ける、超人的なその強さ

新型コロナ一色になっていたメディアが、少しだけ平静さを取り戻したとき、やっぱり再浮上したのが、ヘンリー&メーガン話。王室離脱後の様子や、暴露本ともされる『完全なるモダン・ロイヤル』の内容まで、話題は尽きないが、改めて思うのは、メーガンという女性の凄さ。良くも悪くも凄い女性であるということ。それを、この段階で総括してみたくなったのだ。

実は、このコラムで「メーガン妃」について書くのは、2度目。2018年1月、といえばまだ婚約中で、むしろ世間がメーガン妃を温かく迎え入れようとしていたときの記事である。お恥ずかしいことに、自分自身も何を書いたかすっかり忘れてしまっていたくらい、このときと今とでは事情がまるで違っている。

しかし当時は当時で、でもなぜ彼女が?という疑問があったのだろう。そのときは「35歳、年上、バツイチ…メーガン・マークル嬢はなぜ選ばれたか?その引力の正体」というテーマで書いている。お時間があれば、ぜひ今回のコラムとあわせて読んでみてほしい。

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2018年5月 聖ジョージ礼拝堂にて式典を挙げたヘンリー王子とメーガン妃

そのときの記事を自ら見返してみても、このメーガンという女性の強さが伝わってくる。当時はまさか王室離脱にまで、事態が発展するなど想像もしていなかったが、この人が王室に入ることへの疑問は多少とも聞こえてきていたから、そうしたネガティブな意見を乗り越える強さは、既にくっきり見えていて、意思を貫く女性として、評価もされていたのだ。

しかしあれから2年、わずか2年で王室離脱。いや王室「脱出」。もともと王室を離れる気などはなく、片足だけ王室から抜け出して、単に楽になろうとしていただけなのに、結局離脱させられた形…。

それでも、まったくひるむことなく、「私たちは最高の決断をした」と誇らしげに語る、この人は一体どれだけ強いのだろう。

もちろん、酷いバッシングがあったのは紛れもない事実。去年の後半には、もう言いがかりにしか思えない、重箱の隅をつつくような悪口が、毎日のように聞こえてくる状態だった。

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コモンウェルス(英連邦)の若いリーダーたちを表彰するクイーンズ・ヤング・ リーダーズの授賞式。メーガン妃の脚の組み方ひとつで物議を醸した

日本にもしっかり聞こえてきたのは、ドレスに大金を使いすぎという批判。でももっと瑣末なバッシングは日々あって、足を組んだり、派手な化粧をしたり、丈が短すぎるドレスを着たりと、何をしても悪く言われ、やがて髪を耳にかければ、ダイアナ妃のものだったイヤリングをみせびらかすためのワザとらしい行為と、それこそこじ付けとしか思えないようなレベルへとエスカレートしていた。

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2019年ウィンブルドン選手権の観戦に訪れたメーガン妃。カジュアルなデニムルックに批判も

さすがに気の毒と思ったものの、でもなぜここまで行ってしまうのか、それはそれで不思議。バッシングの対象として、これほどの大スターはいないが、それにしてもここまで集中放火を浴びてしまうのには、やはりそれ相応の理由があるはずだ。

世界中の嫉妬をかわさなかった、シンデレラの上昇志向

結論から言って、それはこの人の「かわせない性格」によって、世間との均衡が乱れ、関係が激しく崩れてしまった結果、そう考えていい。

そもそもこの人は、人も羨むシンデレラ。

ある記事は、「結婚前にはエコノミーで出かけたリゾートに、1年後にはファーストクラスどころか、プライベートジェットで出かけていた」と綴っていたが、そういう成り上がり的な激変に対しては、老若男女を問わず、「羨ましさ」の感情を超え、「妬ましさ」を持つ人は当然少なくないわけだが、メーガンは世界中から膨大な数の嫉妬の目を向けられているのに、その自覚があまりになさすぎたのだ。

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ヴァレンティノのドレスとバッグでモロッコを訪問

こうしたリアル・シンデレラに限らず、誰が見ても恵まれた人は、四方八方からやってくる嫉妬をかわしながら生きなければならない宿命にある。かわさないと、必ず謂れのない批判を浴びたり、貶められたり。これは人類に等しく課された法則で、いかなる時代が来ようと変わらない。

それも、もともと貴族の家系に生まれればこの法則を免れるが、平民から王室に嫁いだとなれば、誰であってもイラッとされるほどなのに、いきなりキャサリン妃の6倍の衣装代を使ったなどという報道が流れれば、若い女性でなくても、ほぼすべての人が何らかの嫉妬を感じる。それを意図的にかわさないで生きるのは、自殺行為なのだ。

じゃあ嫉妬をかわすとは、何をすることなのか?

覚えているだろうか。キャサリン妃は婚約発表で7万円台という、庶民的な服を着た。ZARAを上手に着こなすこともたびたび話題になってきた。それこそがわかりやすい嫉妬かわし。

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2017年ヨットクラブ訪問。ZARAのホワイトジャケットを着こなすキャサリン妃

実際そこまでの計算はなかったとしても、キャサリン妃は結婚まで10年近くも「ウィリアム王子の恋人」であった訳で、一体どれほど妬まれてきたのか、想像もつかないほどだが、まさにその経験から、無意識にでも嫉妬をかわす反射神経を、知らず知らず育んでいたと言ってもよい。

しかしメーガンは、脇役女優としてともかく一心不乱に上へ上へ、上昇志向を絶対のモチベーションとしてきたはず。ハリウッドで成功したいと目論んできた女優なのだから当然だ。

そのままの勢いで、ありえない幸運に見舞われ、結果とてつもない頂点に上りつめてしまった人には、冷静に周囲を見回し、"自分を小さく見せる"ゆとりなどなかったのだろう。

しかしあと少し、世の中の空気を大きく読み、自分を見る人々の心のうち、その人間のサガに、ほんのわずかでも思いを馳せていたら、ここまでの激しい嫉妬には合わなかったはずなのだ。

少しでも弱さを見せたら避けられた。バッシングさえかわさない、ふてぶてしさ

しかもこの人にはもうひとつ、世論とのバランスを自ら乱してしまうという性分が宿っていた。

いかなるバッシングを受けても、およそめげることなく、次なるバッシングの原因を作り続けられる図太さ、攻撃しても攻撃しても起き上がって平然と歩き出すその強靭さに対し、英国国民はイラついたのかもしれないのだ。

いくらなんでもそれは言いがかりでしょう、というような英国でのバッシングは、ときに英国民を少々意地悪にも見せていたが、とはいえ最初からそうだったわけではないはず。

もちろんアメリカ人であること、トップ女優ではないこと、バツイチであることなど、不満はたくさんあったはずだが、だからと言って英王室に嫁ぐことを認めない、みんなで阻止しようといった空気にはならなかった。そもそもエリザベス女王がそれを認めたわけで、英国民も彼女の魅力をそれぞれに探して、きっと各々自らを納得させていたはずなのだ。

でも逆から言えば、何かあれば猛反発するという一触即発の状態ではあったはず。だから結婚後まもなく、アンチの人々が早速バッシングを始めるが、もしここで少しでも、弱気になって殊勝にしていたら、そんないじめはやめましょうという空気になったはず。

しかし持ち前の気の強さか、全くひるむことなく堂々たるプリンセスぶりを発揮したことで、いよいよ英国民の反感を買い、本来が好感を持っていた人たちまでアンチに回り始めた、という流れがあるのだろう。

人間の心理として、傷んだ人を更に叩くまでの勇気はないのが普通。ふてぶてしく見えたからこそさらに叩くという、一種のモグラたたき状態になったのだろう。ほんの少しでも、打たれ弱さを見せていたら避けられたこと。ここでもまたそういう意味での「かわし方」が、とても下手な人なのだ。

「もちろん私は傷ついている。大丈夫か?って、全然大丈夫ではないわ」そうインタビューに答えたこともあるが、でもその程度で済んでいるのは不思議なくらい、世界規模のバッシングを受けた人なのだ。なんと野太い精神の持ち主なのだろう。

自信満々、恐れを知らない、怒りの人

計算がないと言えば計算がない。丸腰で敵と戦うような率直さを持っている。そういう意味ではちょっと好感が持てるが、でもそれ以上に、自信満々な人なのだろう。度胸もある。恐れを知らない。そして怒りの人なのだ。

前回も語ったメーガン12歳のときの出来事を、振り返ってみてもそう。『すべてのアメリカの女性を楽にする』という食器洗い機のCMを見て、それは女性蔑視だ、『すべての人を楽にする』と言うべきじゃないかと、当時弁護士だったヒラリー・クリントン氏に手紙を書いたというのだから、大層な少女である。

12歳とはいえ、単に無邪気な内容ではない。しっかりした批判であり、意見であった。訴えた先が弁護士だったというのも、全く大人びていて、それがきっかけで広告コピーは書き換えられたという。怒れる正義感を持つ、立派な社会活動家だったのだ。

ここでふと思い出したのが、大人を叱り付ける少女、地球環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリ。彼女ですら活動を始めたのは15歳だとされるから、あまりに早熟。

つまりメーガンは子どもの頃から、考えや意見が違えばちゃんと戦う人格を持っていた。意見を合わせようとか、寄り添っていこうという考えはなく、ピシャリと反対意見を述べる。そうした性分であるのは確かなのだ。相手の身になってものを考えるというのは、あまり得意ではないのかもしれない。

しかし、この人の複雑なところは、子どもの頃から正義感や社会性をちょっと過激なまでにそそり立たせている一方で、学生時代から女優を目指してオーディションを受けまくり、ハリウッドセレブになるのが夢という、何ともわかりやすい野心や成功願望を持っていたこと。

もちろん有名女優が一方で社会的な活動するのは、欧米においては当たり前のこと。ただこの人の場合は、それがどちらも極端な形で現れるタイプであったと言っていい。

共通の友人の紹介だったというヘンリー王子との出会いの日、「明日は何しているの? また会いたい」と誘ったのはメーガンだと言われる。王子は彼女が女優であることも知らなかったと言うが、英国の王子であろうと物怖じせず遠慮もしない、そういう女性に王子だからこそ惹かれたのだろう。

いずれにしてもその出会いは、彼女の相反する欲望を一瞬でかなえてくれる、劇的な夢の実現だったのだ。これこそが私の運命、私はそういう立場を生きるために生まれてきた女、そう思ったに違いない。今のような事態を予測した周囲は、彼女を必死に止めたというが、だからメーガンの気持ちは最初から揺らぐことがなかったのだ。

そして英王室のしきたりも、合理的でないと思えば守らない、自分の考えと違えば従わない、女王であろうと意見を唱える、そもそもそういう女性だったからこそ、王室との軋轢がいきなり表面化した。当然のように、保守的な英王室から浮きまくり、結局離脱となってしまったことも、ある意味、必然だったのかもしれないのだ。

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2018年イギリス空軍創立100周年セレモニーにて

とはいえ、英国王室が「しきたりの山」で、世界一注目度が高い王室である分だけ窮屈な場所だということは、最初からわかっていたはず。そこへなぜわざわざ飛び込んだのか。

好意的に見るならば、王室の改革というものも本気に考えたのかもしれない。そしてここでなら、ちょうどダイアナ妃のように、世界の注目を浴びながら人種差別や人権問題に取り組むミューズになれるかもしれないと思ったのだろう。私なら、それができると。

しかし現実はそんな甘くはなかった。しかもいつかそういう時代が来るのを虎視眈々と狙うほど、この人は冷静ではない。やはり短期で、どこか直情的だからこそ、2年しか持たなかったのだ。

女優復帰はおそらくない。自分はもう女優を超える存在だから?

ただ、離脱を余儀なくされたとはいえ、この人の目的は大方かなえられたといってもよいのだろう。少なくとも今の時点では、女優復帰なども噂されているけれど、多少女優めいたことはしたとしても、本気で女優に取り組む気はないのではないだろうか。

なぜなら、自分はもう女優以上のポジションにあると自負しているに違いないから。女優として気張って気負って、アカデミー賞をとるよりも、更に高みに上がって注目を浴びる自分をイメージしているに違いないのだ。

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2020年の3月6日の国際女性デーに先駆け、ロンドン東部のダゲナムにあるロバート・クラック・アッパー・スクールにてスピーチをするメーガン妃

アメリカNo. 1キャスターにして、慈善家、しかも女優もこなすオプラ・ウィンフリーという人がいるが、おそらくはメーガンの目標もそこ。オプラ・ウィンフリーは、ジャンルを超えて最も影響力のある存在にして、名声も収入も群を抜いているということで、雑誌Forbesが発表する「パワーランキング」の第1位にも輝いているとてつもない人。そしてこの人も、アフリカ系アメリカ人である。

実際この人を「親友」と語っているのもポイントで、そういう意味でのキャリアはまだ何もないのに、既に対等の立場であることを暗に語っていて、自分は彼女の後を継ぐ人間である、というアピールが何か透けて見えてくるのである。

さもなければ、政治家、とりわけ大統領を狙ってしまうのか? そうした立場にあってこそ、自分の複雑で貪欲な夢が果たされる。そう考えているに違いないのだ。

王室を離脱したとはいえ、夫と子どもは王位継承者、それを本人も強調していたように、単なるセレブじゃない、自分たちは格が違うのだということを、何かにつけてほのめかす。

確かに、貴族のいないアメリカでは、彼女に並ぶ貴婦人はいない。今なお公爵夫人なのだ。

単に、自己顕示欲と安っぽい上昇志向だけで王室に入ったのなら、きっとずっと英国にいて、バッシングを受けながらもロイヤルのままで居続けたのだろう。そびえ立つ自信と主張、尽きない野望、そして常に何かしらへの怒りを持つ人だからこそ、メーガンは今ロサンゼルスにいて、その辺のセレブとは違う、トップセレブの座を手にしたという達成感を得ているのだ。やはり、凄い女性である。

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2020年4月 LAで食料配達のボランティア活動をするヘンリー王子とメーガン妃

99%が穏やかな笑顔。だからこの人は成功する?

もちろん、これからも茨の道だろう。例え自分のポジションは安泰でも、大きな役割を持たず、現実にすっかり暇になってしまったときのヘンリー王子がまず心配で、良い関係が続けばよいが……。第一、アメリカ人が諸手を挙げて彼女を応援するとは思えない。当然、アメリカにもアンチや嫉妬はあるわけだから。

しかし一点だけ、彼女が目論見通り成功するかもしれないと思える要因がある。「笑顔」である。

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2020年1月 カナダ・ハウス訪問時のヘンリー王子とメーガン妃

婚約時代から今まで、ニュース映像の99%が美しい笑顔。しかも人間こんなにすべての瞬間、ブレのない立派な笑顔で写真に写れるものだろうかというくらい、いっそ不気味なくらいに笑顔が多い。

アンチなメディアが、一度だけ怖い顔を取り上げて、それ自体が大ニュースになったほど、常に常に優しく穏やかな笑顔。もしこの人がしばしば怖い顔をしていたら、完全にバツ、未来はないだろう。

キャサリン妃も美しい笑顔をたくさん見せてくれるが、それでもいろんな顔に写ってしまうのが人間。メーガンはなぜこれほど常に笑顔をキープできるのか。

学生時代から女優を目指してオーディションを受けまくったという経験、それが、いついかなるときも見事に安定した笑顔でいられる体質を作ったと言えなくもない。

そうした長い下積みも含め、今後成功するにしてもしないにしても、こんなドラマチックな人生はほかに見つからない。彼女はまだ38歳なのである。

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この記事の執筆者
女性誌編集者を経て独立。美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。近著『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)ほか、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。好きなもの:マーラー、東方神起、ベルリンフィル、トレンチコート、60年代、『ココ マドモアゼル』の香り、ケイト・ブランシェット、白と黒、映画
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