いよいよ、「芸術の秋」シーズンの到来! 「今年こそ、クラシックコンサートに行ってみたい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、「初心者には敷居が高そう…」というイメージがある方も多いはず。そこで、Precious.jpでは、コンサートホールや劇場を訪れる際のマナーや基礎知識にフォーカス! オペラやバレエなど、国内最高峰のコンサートが数多く開催されている新国立劇場の広報担当に、鑑賞の際のマナーや基礎知識について伺いました。

新国立劇場の広報担当に聞く!
それぞれのクラシックコンサートの概要と特徴

楽器のみで構成されるピアノやオーケストラ、歌手やダンサーによる歌や舞踊とともに演奏されるオペラやバレエなど、コンサートにもさまざまな種類があります。

ピアノやオーケストラ、バレエからオペラまでさまざまな種類がある

ピアノ

一台のグランド・ピアノがステージ上に置かれ、ピアニストがひとりで演奏するスタイル。一台のピアノをふたりで演奏する「連弾」を披露する場合もあります。また、パンフレットなどでは多くの場合(pf)と表記されます。これは、ピアノの正式名称である「ピアノフォルテ」に由来しています。

オーケストラ

管楽器と弦楽器の2種類の楽器、および打楽器による編成の演奏スタイル。演奏の際には、中央に指揮者が立ちオーケストラ全体を指揮します。交響曲と呼ばれる、多楽章にわたる楽曲が演奏される際には、それぞれの章の合間に休憩がない場合もあるため注意が必要です。

オペラ・バレエ

ステージ上には歌手やダンサーが登場し、音楽に合わせて歌や舞踊を披露します。音楽は、舞台前方下部にある「オーケストラピット」と呼ばれる場所でオーケストラが演奏。オペラの場合は歌声で、バレエの場合は踊りで、物語や登場人物たちを表現し、耳だけでなく目でも楽しむことができます。オペラでは公演時間が3時間以上に及ぶものもあるため、休憩時間が比較的長いことも特徴です。

開演までに予習をしておくと、より一層楽しめる

ピアノやオーケストラは音楽に集中。オペラやバレエの場合は物語の予習がおすすめ

ピアノやオーケストラは純粋に音楽だけでも楽しめますが、オペラやバレエの場合、物語に沿ってステージ上の歌手やダンサーが入れ替わり、舞台演出が進行していきます。作品の予習はマストというわけではありませんが、主な登場人物の名前と人間関係を把握できていないと、物語の内容を理解しきれないまま終わってしまう場合も。

特に、オペラは進行が早く情報量も多いので、物語に取り残されてしまうと、とてももったいないことになってしまいます。事前に予習できなかった場合は、席に着いてからでも遅くはないので、フライヤーやプログラムにできるだけ目を通しましょう。

バレエの場合、ダンサーの身体表現がセリフに代わるものになるので、プログラムに目を通しておくと、より一層舞台に集中して鑑賞することができます。物語にあらすじがない作品では、ダンサー達の身体が描き出す美しい動きを堪能しましょう。バレエは身体表現の芸術のため、自分の中の想像力を膨らませて観ると、幾通りにも楽しむことができますよ。

クラシックコンサートを訪れる際の服装について

女性の場合、結婚式の二次会で着るようなワンピースでも大丈夫

コンサートホールや劇場を訪れるうえで、もっとも気になることは服装についてではないでしょうか? 休憩時間を含め、公演時間が数時間と比較的長い場合が多いので、「周囲から見られる」ことも意識した服装でいたいもの。特に、周りに不快感を与えるような服装や、ガサガサと音をたてるナイロン製のコートや袋などは、自分自身も気になって窮屈な思いをしてしまうため、なるべく持ち込みを避けましょう。

女性の場合、海外の劇場のようにロングドレスを着ている人は日本では少数です。結婚式の二次会で着るような、華やかなワンピースなどでも浮くことはありません。男性は、スーツなどジャケットを着用するスタイルにすると間違いがないでしょう。とはいえ、デニムやざっくりしたニットなどのカジュアルな服装でもまったく問題はないので、周りの人に配慮し「品よく着る」ことを意識して。

また、初日公演は、通常よりも格式が高い公演となるため、自分を高めるつもりで、ワンランク上の服をまとって劇場を訪れてみてはいかがでしょうか。

開演から終演までや、休憩などの時間に関するあれこれ

休憩時間には、ホワイエで優雅にシャンパンなどはいかが?

おおよそのタイムスケジュールについて

ピアノやオーケストラ、バレエの場合、開演から終演までの時間は1〜2時間ほどで、合間に20分ほどの休憩が入ります。しかし、前述のようにオーケストラで交響曲の全楽章が演奏される際には、休憩時間をはさまない場合も。オペラの公演は2幕~3幕仕立てで、全体で3時間程度、作品によっては6時間近くの長丁場になる場合もあります。また、2幕の作品ならば休憩は1回、3幕ならば休憩2回が標準で、休憩時間は1回につき30分前後と長めです。

休憩時間には、お互いに気持ちよく気分転換を

多くのコンサートホールや劇場では、ホワイエ(ロビー)に飲食コーナーが設置されています。休憩時間には、シャンパンや軽食を楽しみながら、周りの人との歓談などで気分転換をするのがおすすめです。休憩後に席に戻る際は、奥の席の人が入ってくる時にはいったん立ち上がり、「どうぞ」と声をかけて前を通ってもらうのがマナー。「一緒に鑑賞している人は、同じ目的で集まった仲間だ」、という意識を持ち、お互いが気持ちよく過ごせるように配慮することが大切なのです。

遅刻してしまった場合には

コンサートホールや劇場には、開演の15分前までには着いていたいところ。30分ほど前に着いて、軽くお茶でも飲みながら開演を待てば、さらに贅沢な心の準備ができるはずです。万が一遅刻してしまった場合、他の方の迷惑になるので開演後は席に着くことができません。慌てずに係員に指示をあおぎ、次の休憩時間などのタイミングまで待機しましょう。なお、休憩時間の設定がない公演の場合、開演後は終演まで席に着くことができないことが多く、特に注意が必要です。

開演・終演時間や、何楽章・何幕仕立てで、どのタイミングで休憩が入るのかなどのスケジュールは、コンサートホールや劇場の入口、ウェブサイトなどに掲載されているので、訪れる際には事前チェックを忘れずに。

アンコールなど拍手のタイミング

演奏開始前や終演後には、聴衆が拍手で応えるというのもコンサートの醍醐味のひとつ。拍手をする際は周りの人に合わせると間違いがないので、あまり難しく考えずにタイミングを待ちましょう。特に、オペラやバレエの場合、1階からではオーケストラピット内が見えにくいため、2階席などの人たちが拍手をし始めたタイミングで加わるのがおすすめです。まれに、「ブラボー!」と叫ぶ人も見受けられますが、こちらはマストではないので特に気にせずとも大丈夫ですよ。

 

以上、ピアノやオーケストラ、バレエからオペラまで、コンサートを訪れる際のマナーや基礎知識についてご紹介しました。敷居が高そうなイメージはありますが、いくつかのポイントさえおくだけで、臆することなく参加することができるのです。「今年こそ!」と考えている方にこそ、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

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この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
難波寛彦