アメリカの仕事ができる人たちのなかには、とてつもなく仕事ができる人たちがいます。海外で仕事をする機会があまりなくても、できるアメリカ人の習慣を学ぶことで、仕事の仕方や人生のとらえ方が変わるかもしれません。彼女たち、彼らの特徴や共通点は……?
アメリカで起業して15年、数多くのできるビジネスマン&ビジネスウーマンたちを見てきた『できるアメリカ人 11の「仕事の習慣」』の著者、MIW Marketing & Consulting Group,Inc.代表の、岩瀬昌美さんにお聞きしました。
■1:自分がしてほしいことを他人にできる
まず、「小さいことでも口に出して褒めることが大事です」と岩瀬さん。自分が言われてうれしいことを同僚に言うようにし続ける、その人にもこの習慣が身につき、職場全体にいいオーラが出てくるとか。
「言わなくてもわかるだろうと思ってしまいますが、やっぱり他人だから、言わないとわからない。最初は言うのが恥ずかしくても、『これ役に立ったよ』『ありがとう』と、口に出して言う習慣をつけると、言いやすくなります」
例えばお店などでも、何かしてもらって当然と思うのではなく、感謝の気持ちをもつ。するとどこにいても幸せな気分になれるといいます。
■2:ビジネス相手と対等に接する
岩瀬さんがかつて勤めたある会社では、仕事を発注する会社のことを「ベンダー(売り手、供給業者)と呼んではいけない。マーケティングパートナーなのだから、一緒に協力する形でやってください」と言われていたとか。
「アメリカでは『今日のベンダーが明日のクライアント』とよく言われます。大きな会社でも突然倒産することがある。ベンダーでもクライアントでも、リスペクトしながらやっていれば、会社が潰れたときも仕事を紹介してもらえたりします。嫌なことばかり言っていたら、いざというときに助けてもらえません。
逆に、『何でも言うことを聞くだろう』という態度のクライアントには、『できないものはできない』ときっちり言う。どんな人とも対等に仕事をしていくのが、できる人だと思います」
■3:ガリ勉をあなどるなかれ
20代から30代のころ、仕事以外の時間に、その仕事をしっかりこなせるようにするための努力をする人としない人では、40歳、50歳になったときに差がつくといいます。
「先日、勉強して弁護士になったという30歳位の女性とお話ししたのですが、自分は20代のころ、友達がコンパに行ったりしているときにも、勉強していたと。当時は周りの目も気になったけど、でも今は、自分は間違いではなかったと言っていました。
私は、女性も長く仕事を続けた方がいいと思っています。キャリアの基礎を固める時期に遊んでいるより、空き時間をできるビジネスウーマンになるために費やした方が、年を重ねたとき、より満足できる人生になると思います」
■4:得意分野をもつ
できる人になるには、「自分の得意なところを探し、伸ばすようにするといい」と岩瀬さん。
「自分ができないことを、がんばって人並みにできるようにする……。それはそれですごいと思いますが、陸上選手が努力して大相撲の力士になろうとしても、やはり限界があります。
得意分野に秀でるようになれば、苦手なことは人に任せられるようなポジションにいけます。自分ができることをどんどん伸ばすことが、キャリアを形成するひとつの秘訣だと思います」
■5:頑強な体をつくる
体が健康でないと、コンスタントにいい仕事はできません。できるアメリカ人はやはり、自分の健康にとても気を遣っているそうです。
「私も土日に仕事、イベントでずっと外に立ちっぱなし、月曜にまた会社、家に帰ったらごはんをつくって、子どもの宿題をみて…といった生活ですが、仕事のない土日には、朝8時にジムに行きます。疲れているときこそ体を動かすと、1日元気になるんです。子どもが小さいころは、子どもを持ち上げてスクワットしたりもしました(笑)。
やっぱり体が健康でないと成功するには難しいので、若いころから体力をつけていく必要があると思います」
■6:挨拶とほほ笑みを忘れない
アメリカなどでは、飛行機に乗った時にも「どこに行くんですか?」「どんな仕事をしてるんですか?」と気軽に話しかけられるそうです。
「知らない人でも話しかけると、そこから新しい人脈ができます。例えば飛行機のビジネスクラスに乗れば、隣の人も相応の仕事をしている人だと思いますし、わざわざお金を払って名刺交換会などの交流会に行かなくても、人脈ってどんどん広がるんですよね。
今日の朝も、たまたまオフィスの前にいた女性と何気なく話し始めて、広告代理店の仕事をしていると言ったら、その方は弁護士の方で、『じゃあマーケティングしたいから手伝って』と。そんな挨拶だけでビジネスにつながることもあるんです」
■7:ボランティアで視野を広げる
また、できるアメリカ人はこぞってボランティアをするそうです。
「こちらでは幼稚園の時から、近所の老人ホームにお遊戯を見せに行ったりします。そうするとお年寄りにすごく喜ばれ、自分がしたことで人が喜んでくれる、ということを小さいときから学びます。
自分と違ういろいろな立場の人と会うことで、視野が広がります。例えば足の悪いおじいさんが歩いていたら助けてあげるとか、忙しくても誰かを手伝ってあげようとか。見返りを求めずに何かをする、という寛大な心がアメリカの人たちにはありますね。
ビジネスにおいても、人のために一生懸命何かをしてあげようと思うと、いい結果が出ます。ボランティアでいろいろなことを経験した人はやはり、違うなと思います」
■8:仕事とプライベートを分けない
日本では「ワークライフ・バランス」という言葉が知られていますよね。でも、岩瀬さんがお奨めするのは、「ワークライフ・インテグレーション(統合)」。
「日本で働く女性に聞くと、『一番の悩みはワークライフ・バランスです』と。でも、ワーク(仕事)もライフ(人生・生活)の一部なんですよね。ワークとライフと分けよう、プライベートを充実させよう、と思うからストレスになるのかなと。
私は、子どもがティーンネイジャーになるまでは、仕事以外の時間は全部子どもと一緒に過ごしてましたし、それが『趣味』だと思っていました。ワークライフ・インテグレーションとは、金太郎あめのように24時間、本当の自分でいられることだと思います。
今はプライベートの自分、今は仕事の自分、と分けようとすると多重人格のようになってしまい、どれが本当の自分かわからなくなる。フラットな自分、いつも自分で生きていける人が、幸せなキャリアを築いていけると思います」
■9:外見をおろそかにしない
年をとるほど見た目に気を遣う必要がある、とも。
「わかりやすい例では、ヒラリー・クリントンさんは、どこから見てもエリートな感じですよね。アメリカは普通の会社でも、エリートの方は本当にあんなふうに、絵に描いたような感じです。仕事ができそうな外見にするだけで、3割くらいは成功する確率が違ってくるのではないかと思います。
例えば初めて会う方がいる会合で、親指のネイルが欠けているのに気づいてしまったら…。ミーティングの間中、それが気になってしまい、本来の力が出せなくなることもあります。完璧と思える外見にしておけば、それが自信につながると思います」
■10:同胞と助け合う
ほかの国出身の人は、アメリカで自分の国出身の人を見つけると気軽に声をかけます。一方、アメリカにいる日本人は、同じ日本人でも知らない人にはあまり声をかけないそうです。でも、同胞で助け合おうとする部分は見習ったほうがいい、と岩瀬さん。
「子どもがいてもいなくても、働く女性同士で助け合うようにしたり、子どもがいる同士助け合ったり、親の世話をしている同士助け合ったり。周りの人や仲間を助けてあげるようにしてみると、プライベートも仕事もうまくいくのではないでしょうか」
■11:目の前の仕事を好きになる
アメリカでは、大学を出てもフルタイムの仕事を見つけるのはとても大変。その点、日本では経験なしでも就職できるので恵まれています。それでも日本の若者が「やりがいのある仕事以外はしたくない」というのを聞くそうで…
「とにかく、目の前の仕事を一生懸命やって、お金をいただく。それでうまくいくようになると、仕事が好きになり、楽しくなってきます。そして、違う部署に行ったときに、違う視点から物事を見られるようになる。その頃の経験が後で生きてくるのです。
目の前の仕事を好きになると、自分のスキルが上がり、血となり肉となります。やりがいを求めず、まずはやってみることが大事だと思います」
できるアメリカ人の多くは、日本人の私たちから見ても人間的に尊敬でき、「一緒に働きたい」と思えるような品性を備えているようです。彼らの習慣、できるところから取り入れてみてはいかがでしょうか。
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公式サイト
『できるアメリカ人 11の「仕事の習慣」』岩瀬昌美・著 日本経済新聞出版社刊
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小野寺るりこ