昨日公開した【前編】に続き、ヴィンテージ家具とアートを日常に取り入れることで、心地よく素敵な暮らしを手に入れるヒントを探る本記事。

今回は、部屋のムードづくりに絶大な効果を発揮する照明をご紹介するとともに、センスあふれるギャラリー「es quart(エス クォート)」のオーナー、鈴木さんに伺った家具選びやスタイリングのコツをご紹介します。

心の切り替えを促す光るアートのような照明の効果

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フランスのアーティストの絵画とヴインテージ家具、そして緑青の風合いが美しい彫刻のような「REDUXR(レデクサー)」の照明を配した窓辺のコーナー。点灯するとぐっと奥行き深い雰囲気をつくり出します。

日が落ちて部屋が暗くなったときに映える、彫刻のような照明を取り入れるのもおすすめの方法。その効果は偉大です。

部屋の奥の壁を照らすと目線が奥までいくので、空間に広がりを感じます。床を照らすと落ち着いた雰囲気になりリラックス感が増します。

同じ空間で働いたりくつろいだりするニューノーマル時代の暮らしには、心のオンオフが必要。消えているときでも佇まいが美しい照明が優しくお手伝いしてくれます。

コントロールしきれない自然素材の魅力が空間に奥行きを作る照明

彫刻のような姿をしていて、さらに点灯すると魅力が際立つ照明を2点ご紹介します。

共通しているのは人間がコントロールしきれない仕上げや素材感がつくる陰影。【前編】で先述した均一的につくられがちな日本の住宅に深みを与えてくれます。

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【アイテム名】ROLLON LAMP(ローロン ランプ)【ブランド】REDUXR(レデクサー)【価格】¥352,000【サイズ】幅125 奥行き125 高さ250mm【材質】ダチョウの卵 ※仕上げが緑青の場合、金額が変動します。

「REDUXR(レデクサー)」は、ロバート・ロドリゲス と、ミーガン・ロドリゲス によるオーストラリアのデザインスタジオ。すべての製品はオーストラリアのバーウォンヘッズにある彼らのスタジオで受注生産されています。

真鍮、銅、青銅、ステンレス鋼、樹脂に加え、再生木材のパレットやダチョウの卵、地面の石などからエレガントなオブジェを制作。本来廃棄されてしまう産業の副産物を利用し、実験しながら永続的な美しさを創り出すことを目指すアップサイクルの取り組みも共感できる、ひとつとして同じものがない光るアートです。

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【アイテム名】Uchiwa Wall Lamp(ウチワ ウォール ランプ)【ブランド】Design M(デザイン エム)【価格】¥385,000【サイズ】幅580 奥行き180 高さ750mm【材質】紙、竹

アーティスティックな作風で有名な照明界の巨匠、ドイツ人デザイナーのインゴ・マウラーデザインが1973年にDesign M(デザイン エム)から発表した「うちわ」のウォールランプ。こちらはデッドストックのヴィンテージ品となり希少なアイテムです。

デザイン エムによって施された重ね貼りの補修跡が点灯した際に陰影として浮かび上がり、唯一無二の存在感を放ちます。

日本の「詫び」を海外から見たときにどう映るのか、その面白みを逆輸入するように楽しんで。日本の住宅に程よく馴染み、和でも洋でもない独特の雰囲気を添えてくれます。

時代や国をミックスさせて自分らしいコーナーを作るという提案

「エス クォート」のオーナー鈴木さんの審美眼でコーディネートされたどこの国でもないような特別な空間には、欧米のものだけでなく60年代の日本人デザイナーによる家具も雰囲気よく展示されていました。

鈴木さんはどのような価値基準でモノを選んでシーン作りをしているのか、そのコツを伺ったところ、「僕自身が好きなものを選んでいます。手跡の残っているものや、素材感のあるものが好きですね。古いものやデザイナーズヴィンテージ家具もあれば、コンテンポラリーなものもあり、時代はミックスしています」とのこと。

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元工場の屋上部に屋根をかけた空間に立つオーナーの鈴木氏。新規に壁や移動式の床を設けるなど、作品の映える箱づくりから手がけたそう。右手に2脚並ぶ子椅子は1960年代の坂倉準三氏の小椅子。

誰もが世界で唯一の自分の好きな空間づくりができるコツは、好きなテイストのものを選び抜きアイテムの色味やトーンを合わせてひとつずつ揃えていくことにあるかもしれません。

例えば、下記の写真の左奥にある鮮やかなオレンジとグリーンの色合いが魅力的なスウェディッシュアンティークキャビネットの色味と手前右の椅子のモーブ色のクッションや、うちわランプの光が灯ったときのオレンジの色合いなどは、洋服の色合わせと通じるものがあります。

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つくられた年代も国も異なる家具が東京に並ぶ面白さ。
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【作品名】「1950sチャンディガール リラックスチェア」【価格】ギャラリーにて要問合せ【サイズ】幅510×奥行き690×高さ690mm【材質】チーク、籐
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【アイテム名】1829sスウェディッシュアンティークキャビネット【価格】¥495,000【サイズ】幅1020×奥行き490×高さ895mm【材質】オーク染色

いかがでしたか? 自分に似合う色を中心に、ヴィンテージ家具とアートを掛け合わせてつくる世界で唯一の自分スタイルのインテリア。

家で過ごす時間が増え、なかなか海外も含め旅行に出かけにくい今こそ、憧れているだけだったインテリアスタイルにチャレンジする好機だと考えるとワクワクしますよね。まずはひとつお気に入りを探しに行ってみるのもおすすめです。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM