156cmのインテリアエディターDが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。今回は、初登場となる「designshop(デザインショップ)」から“フレキシブルな使い方のできる名作家具”を前後編の2回に分けてご紹介。【前編】となる本記事では、室内と戸外との間に緩やかなつながりを持たせる「Nychair X Shikiri(ニーチェアエックス シキリ)」をピックアップします。

ベランダやテラスでくつろげる椅子が欲しいけれど、屋外に置きっぱなしにして雨に濡れたり日光で朽ちたりするようなことはできれば避けたい。あるいは、限りあるスペースを無駄にすることなく、日々の生活にちょっとだけアウトドアの気軽さを取り入れたいけれど、アウトドアブランドのものを室内で使うのは違和感がある…。

そんな方にオススメしたいのが、「シンプルライフ、クオリティライフ」をキーワードに日本の定番インテリアアイテムを世界に発信する「デザインショップ」が扱っている「ニーチェアエックス シキリ」。1970年にデザインされて以来世界中で愛されている日本の名作椅子「ニーチェアエックス」の生誕50周年を記念して、現代のインテリアに合う仕様にアップデートされたモデルです。

家_1,家,stayathome_1,リモートワーク_1
「ニーチェアエックス シキリ」は約6.5キロと軽量で持ちやすい形状なので、女性一人で気軽に移動が可能。
家_2,家,stayathome_2,リモートワーク_2
約一畳分のスペースがあれば、包み込まれるようなくつろぎのスペースを作ることができます。

それでは、「ニーチェアエックス シキリ」の前身となる「ニーチェアエックス」にさかのぼり、その特徴と魅力をご紹介しましょう。

目指したのはカレーライス!誰にでも愛される座り心地と親しみやすさを追求

1970年に誕生した「ニーチェアエックス」は、現在でも国内外で販売され続けている日本を代表する名作椅子。1997年には通産省ロングライフ・デザイン賞を受賞しました。

デザインしたのは新居猛氏。剣道具を製造する家に生まれた同氏は、戦後にGHQによって剣道が禁止されたため家業を継ぐことを断念。木工学校に通い卒業後家具の生産を始めます。

「誰でも買える安価な椅子で、手軽に寛いでもらいたい」と、多くの人から愛されるカレーライスのような椅子づくりを目指し、体に硬い部分が当たることなく全身を受け止める仕組みをもったディレクターズチェアの機能に感銘を受け、試行錯誤ののち生まれたのが「ニーチェアエックス」です。

X型の脚が座った人の荷重で広がり、常にキャンバスシートが引っ張られる構造をしており、その張力がクッションの役割を果たしています。

この「ニーチェアエックス」生誕50周年を記念して、より現代の暮らしに合うようにコンセプトメイクからテキスタイル・カラーリングをアップデートさせ2020年にリリースされたのが、「ニーチェアエックス シキリ」なのです。

家_3,家,stayathome_3,リモートワーク_3
【ブランド】ニーチェア 【商品名】ニーチェアエックス シキリ 【写真の仕様の価格】¥60,500 【サイズ】幅610×奥行765×高860、座面の高さ350(mm) 【材質】構造部材/シート:綿、座・背部芯材:金属(鋼)、肘かけ:天然木(オーク)、脚部:金属(ステンレス鋼、ヘアライン仕上げ) 表面加工/座・背部芯材:アクリル樹脂塗装、肘かけ:ソープフィニッシュ

「日本らしさ」を再解釈、アップデートした「ニーチェアエックス シキリ」

家_4,家,stayathome_4,リモートワーク_4
「ニーチェアエックス シキリ」を取り入れたインテリア。床に接する脚の形状が“線”になっているため、“点”で当たる一般的な4本脚の椅子と比べ、畳や毛足の長い絨毯を痛めづらいデザインです。

日本建築の空間の作り方の特徴として、自然と室内空間を曖昧にしきる几帳や屏風・衝立・簾などのさまざまな可動式の装置があります。まぶしさや外からの視線を遮りながらも、ほのかに光や風・音を伝えることで室内と屋外に緩やかな繋がりをもたせ、人との関係をも制御する役割を担っていました。

「ニーチェアエックス シキリ」はそのような「しきり」をコンセプトに、室内と戸外との間に緩やかなつながりを持たせる道具として、新たに仕様をアップデート。

大きな変更点はシートに使用されている生地です。「ニーチェアエックス」ではデニムで有名な倉敷帆布を使っていましたが、「ニーチェアエックス シキリ」では繊維や織物で有名な滋賀県高島市で作られた生地を採用。丈夫で静電気の発生しにくい綿素材を、糸の先染めと繊細な織り技術によって仕上げています。

その色合いにもコンセプトが反映されていて、ライトグレーは「格子(KOSHI)」、ブルーグレーは「簾(SUDARE)」、ダークグレーは「障子(SHOJI)」と名付けられています。

家_5,家,stayathome_5,リモートワーク_5
左/朝日が格子戸の木枠を縁取る様子を連想させる、ライトグレーと白の淡いコントラストが美しい「格子」シリーズ。右/幅も15cm程度に折りたためて、肘掛け部についている紐を引っ掛けることで自立するので場所をとりません。

肘掛けの木部は素材を活かしたソープフィニッシュと、炭をイメージしたチャコールブラック(ウレタン塗装)の2色。より軽やかな印象となり、昨今広い世代に人気のある明るい色合いの木質家具ともコーディネートしやすくなりました。


以上、「デザインショップ」から「ニーチェアエックス シキリ」をご紹介しました。自宅で過ごす時間が長くなり、くつろぐのも仕事をするのも自宅でとなった昨今、気分を入れ換えられる手段をいくつか持っておくことは心の健康にもつながりますよね。

「ニーチェアエックス シキリ」を広げてくつろげる1畳分のスペースや、畳んで置いておくことのできる15cmの隙間を見つけて、アウトドアで過ごす自由な心地よさをご自宅のテラスやお庭・窓際で味わってみませんか?

※掲載した商品の価格は、税込みです。

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

関連記事

この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM