【目次】
- 〇は何個以上? メンタルにつながる自己肯定感【チェック診断12問】
- メンタルコーチが教える【NG習慣4選】
- カウンセラーに聞いた、ストレス耐性がUPする【習慣8選】
- メンタルコーチが教える【トレーニング5選】
〇は何個以上? メンタルにつながる自己肯定感【チェック診断12問】
○×をつけるだけ!「自己肯定感チェックシート」
「このチェックシートでは、12個の質問に答えることで、あなたの自己肯定感の現在の状態が分かります。該当すれば○、該当しなければ×をつけてください」(中島さん)
それではさっそく、下記のチェックシートをやってみてください。印刷して、右側の空白部分に「○×」を書くのもおすすめです。
今、私の自己肯定感は高い?低い?〇の数で判明します!
チェックシートでのチェックが終わったら、早速判定してみましょう。
「○の数は何個でしたか? 数えてみてください。その数によって、今のあなたが『自己肯定感』の高い状態なのか、低い状態なのかが分かります」(中島さん)
○が10個以上…自己肯定感が「低い」状態
○が10個未満…自己肯定感が「高い」状態
○をつけたチェック項目について、どのように自己肯定感が低い状態なのか、そして対策を中島さんに教えていただきました。
【1】朝、鏡を見て自分の嫌なところを探してしまっている。
「自尊感情が低くなっている証です。自分に『○(マル)!』と言えているときは自分の姿が気になりません。自分に『○(マル)!』と鏡に向かって言ってから、行動してみましょう」
【2】SNSを開くたび、人からの「いいね!」を待っている自分がいる。
「自尊感情が低くなっている証です。『これが私! This Is Me!』と言えるときには、人からの『いいね!』ではなく、『この私』が私と言えます。そもそも『いいね!』に意識が向かない状態なのです」
【3】職場や学校、家庭でちょっと注意されると、深く落ち込んでしまう。立ち直るまでに時間がかかってしまう。
「自己受容感が低くなってしまっており、些細なことで一喜一憂しやすいので、『ま、いっか』と思う気持ちをもつこと。自己受容感が高いときはあきらめではなく、いさぎよい受け容(い)れができ、気持ちの切り替えも早くなります」
【4】自分のペースを乱されると、些細なことでもイラッとしてしまうことがある。
「自己受容感が低くなっているので、ありのままを受け容れるしなやかさが足りないと、少しのことで動揺してしまいます。おやつを食べるなど、気分の切り替えを早くできるアクションをもつことが大切です」
【5】ふとしたときに「無理」「忙しい」「疲れた」「どうしよう」「嫌だ」「つらい」といったネガティブな言葉がこぼれている。
「自己効力感が低くなっている証です。自分はできないという感情が強くなればなるほど、ネガティブな言葉が出やすくなってしまいます。『ヤッター!』と両手を挙げ、『自分はできる!』という自己効力感を高めて、少しずつ行動を変えていきましょう」
【6】「ねば」「べき」と考えてしまい、行動を起こせない。
「自己効力感が低くなっている証です。過去のとらわれが強くなっているときは、自分には何かを達成する力がないという感情が強いとき。深呼吸して感情のリセットをしましょう」
【7】上司から言われた何気ないひと言が気になって、こだわってしまう。
「自己信頼感が低くなっている表れです。自分を信じる力がなくなると、ますます周りとその何気ないひと言が気になってしまいます。胸を張って『できる!』と言ってみましょう」
【8】やるぞと決めたけど、まわりの人の目が気になり、躊躇してしまうことがある。
「自己信頼感が低くなっている証です。小さなことが気になり、視野が狭くなりネガティブなことに関心が向いてしまいます。空を眺めたり、部屋の空気を入れ換えたりして、気持ちをリセットできる工夫をしてみてください」
【9】出かける前、1日を過ごす服選びに悩んでしまう。
「自己決定感が低くなっている証です。多数の選択肢があると決められない状態になってきます。何が出るかなとサイコロを振って決めるくらいの心のゆとりをもつことが必要です」
【10】一度決めたことなのに、ほんとうにこれでいいのかなと悩むことがある。
「自己決定感が低い証です。自分で決めたのに自分でコントロールできない状態です。『大丈夫』と自分に伝え、大きな視点に立ち、たくさん寝ると脳が整理されます」
【11】新しいことに挑戦したいなと思っても、「どうせ」「自分ではね」と、勝手に限界を決めてしまっている。
「自己有用感が低い証です。自分は役に立たない存在と感じてしまい限界を決めてしまいます。『やれる!』と自分に肯定的な言葉をかけるともチベーションが高まります」
【12】電車から降りるときやエレベーターに乗るとき、ノロノロしている人にイライラしてしまう。
「自己有用感が低い証です。自分は役に立っていないという感情が強くなると、怒りや不安も増大します。大好きな花一輪を買って部屋に飾る。美しいものを見る。それだけで自分を肯定的に捉えることができるでしょう」
自己肯定感が高い状態・低い状態、それぞれへのメッセージ
そして、中島さんにチェックシートで判明した、自己肯定感の状態、それぞれに対してメッセージをいただきました。
〇10個「以上」低い状態の人へのメッセージ
「自己肯定感が一番高い人は、赤ちゃん。生まれつきみんながもっているものなのです。だから、大丈夫。自己肯定感が低くても、ちょっとしたことで自己肯定感を高めることができます。
ペンとノートを用意して、『自己肯定感ノート』を書く方法によって、自己肯定感が勝手に高まります。そして、最高の人生を見つかり、何歳でも未来に夢をもってイキイキと人生を送ることができます」
〇10個「未満」高い状態の人へのメッセージ
「自己肯定感は生きるエネルギーそのものです。自己肯定感が高い人でも、ちょっとしたことで強くなったり弱くなったりします。
例えば、前日、仕事がうまくいかず夜遅くまで残業し、朝起きたら大雨が降っている。いつものようにヘアーセット。いまいち、ボリューム感が出ない。嫌だなーと思い、ヘアスタイルに気をとられ憂鬱な気分のまま出勤。これが自己肯定感の低い状態です。
一方、前日、仕事もうまくいき、しっかり睡眠もとってスッキリとした目覚めを迎えた朝。ヘアスタイルはいつものモーニングルーティンのような感じでスムーズにいき、気分よく出勤。これが自己肯定感の高い状態です。
いかがですか? この違いが自己肯定感の高低なのです。高低の変化を自分で気づき、一瞬で高める方法を知れば、低くなってもいつでも高めることができます。あなたの人生はさらによくなる可能性があるということなのです」
話題の「自己肯定感」、私は低い?高い?チェックシートで確認!
メンタルコーチが教える【NG習慣4選】
【1】過去の失敗を何度も思い出す
一生懸命、勉強したのに試験に合格できなかった。期待されて任された大事なプレゼンに失敗した。そうした挫折経験は誰しも持ち合わせていることでしょう。ただ、過去の失敗を何度も繰り返し思い出してしまうと、ますます自分に自信が持てず、負け犬メンタルになってしまうと飯山さんは主張します。
「目標や取り組みを実現できるかどうかは、実際にやってみないとわからないこと。やる前や、やっている最中に『どうせ自分にはできない』となるのは、単なる思い込みです。その人が本当にできないわけではありません。
それにもかかわらず、『自分にはできない』と弱腰になってしまうのは、過去の失敗経験を脳が覚え込んでしまっているせいです。
人間の脳というのは、過去の強烈な感情を伴うイメージを記憶するという性質があります。このため、失敗したときに味わった恐怖感や絶望感が強ければ強いほど、そのマイナスの感情を繰り返し思い出してしまうのです。そうしているうちに、『自分にはできない』という思い込みはますます強化されていきます。いわばマイナスのメンタルトレーニングをしているようなものです。
ただ、ご安心ください。脳の記憶は上書き保存が可能です。さきほど申し上げたように、脳は強烈な感情を記憶しますから、プラスの感情を繰り返しイメージするだけでも、『できない』という思い込みを『できる』という自信に変えていくことができます。
そのためには、まずは過去を振り返り、何かに夢中になっていたり、絶好調だったり出来事を思い返すこと。そのときのワクワクしていた感情を思い起こすのは、『自分にはできない』というマイナスの感情を上書きするのに有効です。
それから、自分は将来どうなっていたいのか考えて、その夢や目標を達成したり、楽しいことをやっていたりする自分の姿を想像するのもいいでしょう。ただぼんやり『こうなっていたらいいな』ではなく、うまくいっている自分の笑顔、家族や応援してくれる人たちの笑顔、そして何よりも『やったー』、『うれしい』『よかったー』といった、プラスの感情を強く意識するのがポイントです」(飯山さん)
過去の苦い記憶をつい思い出してしまうのは、仕方がありません。ただ、無意識の習慣を、意識的な行動によって変えていくことはできるはず。過去について思い悩みやすい人は、意識的に自分の過去や現在、未来についてポジティブなイメージを思い描くようにしましょう。
【2】否定的な口癖がある
「どうせ自分にはできない」など否定的なことがらは、思い浮かべるだけでも有害ですが、それ以上に、そうした言葉を口に出してしまうのは、より深刻なダメージをメンタルにもたらすとのこと。
「日本では昔から言霊信仰がありますが、これは単なるスピリチュアルな話ではなく、脳科学の観点でも、言葉には不思議な力があることが実証されています。
というのは、脳には入力(思い・イメージ)よりも出力(言葉・動作)を信用する性質があるのです。つまり、プラスの言葉を口に出せば、その影響を受けて脳はプラス思考になりますし、逆に、マイナスの言葉を口に出せば出すほど、脳はどんどんマイナス思考になります。
とはいえ、否定的な口癖はよくない、と頭ではわかってはいても、ついつい『でも・どうせ・だって』とか『疲れた』とか『もう嫌だ』など、口にしてしまう人もいることでしょう。
そういう人におすすめなのは、否定的な言葉の効果を打ち消す方法です。否定的な言葉を発した後、『今のはなし』と口に出し、手で目の前を払いのける動作をしましょう。
さきほど、脳には入力(思い・イメージ)よりも出力(言葉・動作)を信用する性質があるとお伝えしましたが、もう1つの性質として、脳は後の出力をより強く記憶するようにできています。つまり、脳は“終わりよければすべてよし”です。
否定的な言葉を発したら、あとからそれを打ち消すことによって、マイナスの影響を無効化できます。100回マイナス思考になったら、101回プラス思考にすればいいのです」(飯山さん)
口癖をなくすのはなかなか難しいですが、「また言っちゃった」と自己嫌悪に陥るよりも、「今のなし」で締めくくりましょう。
【3】人のせいにばかりする
営業成績が落ちたり商談に失敗したりなど物事がうまくいかないとき、「上司が無能だから」「あの取引先は頑固だから」「会社に資金力がないから」などと、自分以外の人や環境のせいばかりにしていませんか? こうした他責的な思考パターンがあると、どんどん逆境に弱くなる一方!
「物事がうまくいかないときに、自分以外の人や環境のせいばかりにする人は、いつも不平不満を口にし、否定的な脳になっているためにストレスを感じやすくなります。とりわけ逆境の場面では、とても大きなストレスを感じ、ピンチを乗り越えることができません。
ピンチを乗り越えられず挫折を味わうと、また自分以外に責任を転嫁することで、ますますストレスに弱くなり……という悪循環に陥り、何事にも諦め癖がついてしまい、やがて無気力になります。
こうした負の連鎖を断ち切るには、“わがまま”の精神を“おかげさま”に切り替える必要があるでしょう。
他人のせいにばかりする人というのは、要するに、自分のことしか考えていないわがままなんですね。悪いことがあれば、常に自分が被害者のような気がして、『あいつのせいだ』と責任転嫁して自己防衛をはかろうとする。
そんな状況から脱却するには、自分ばかりに向いた意識を外に向けて、どんな小さなことでも、“おかげさま”と感謝する習慣をもつこと。おかげさまの対象は、人でも出来事で何でもありです。
実は、脳は感謝するとエンドルフィンというプラスのホルモンを分泌し、大きなストレスを感じる逆境の場面でもプラスの感情になれます。一流のアスリートもよく感謝の言葉を口にしますが、彼らの強さの秘密も感謝力の高さにあるのかもしれません」(飯山さん)
一流のアスリートは、敗戦後のインタビューにおいて、決してコーチやチームメイトのせいにはしません。彼らのような強いメンタルを身につけるには、すぐに他人のせいにするのではなく、感謝の習慣をもちましょう。
【4】他人のネガティブな言葉に、いちいち反応してしまう
自分ではポジティブでいようと心がけていても、職場の人や家族など身近な人物から否定的な言葉をかけられて心が折れそうになってしまう人は多いのでは?
しかし、周囲の人の心ない言葉にいちいち反応するのは悪手だと、飯山さんは主張します。
「たとえば、『お前はなんてダメな奴なんだ』とか『どうせ君にはできっこない』などと否定的な言葉に対して、『そうか、私はダメな奴なのか』と深刻に悩んでしまったり、『なんてひどいことを!』などと相手に反論を試みようとしたりするのは、おすすめできません。
というのも、自分の中にためこむにせよ、相手に怒りをぶつけるにせよ、いずれにせよネガティブな感情を増幅させることにしかならないからです。
否定的なことを言われたら、まず真っ先にやるべきなのは、マイナスの感情をプラスに切り替えること。
さきほど申し上げたように、人間の脳はそのとき思ったことよりも、そのあとの行動のほうを強く記憶しますから、敢えて、にっこり笑って『さすが、部長。いいことをいいますね』、『私のためを思って素晴らしいアドバイスをありがとう』などとプラスの言葉を出力しましょう。相手に面と向かって口に出さなくても、自分の心のなかでこっそりつぶやくだけでも十分効果はあります。
とはいえ、その否定的な言葉をかけてきたのが心底嫌いな相手の場合、こうしたポジティブな出力をするのもなかなか難しいかもしれません。
その場合、無理にポジティブに振る舞うのではなく、相手を人間だと思わない、宇宙人や珍獣だと思ってしまうというのも、1つの手です。
たとえば、知らない犬にワンワン激しく吠えられたとして、『嫌われた』『非難された』などと気に病む人はいないのではないでしょうか。否定的な言葉を無効化するのに、相手を人間だと思わないのは有効な手段だといえます」(飯山さん)
ネガティブな人間からは距離をおくに越したことはありませんが、どうしても付き合わざるをえない相手もいますよね。メンタルにダメージを加えられそうになったら、表情や言葉でプラスの出力をする、もしくは、そもそも相手を人間だと思わないという奥義で身を守りましょう。
脳科学で判明!どんどん「メンタルが弱くなるNGな習慣」とは?乗り越える方法4選
カウンセラーに聞いた、ストレス耐性がUPする【習慣8選】
【1】適度にからだを動かす
仕事のできる人は健康への意識が高く、忙しい合間を縫ってスポーツジムに通ったり、ジョギングを習慣化したりしている人が少なくありません。実は、このように適度にからだを動かすことは、ストレスマネジメントにも役立っているとのこと。
「ストレスというのは、例えると風船に圧力がかかっているような状態です。破裂を防ぐには、中の空気を逃がしてやる必要があります。
その方法の1つが、適度にからだを動かしてストレスのエネルギーを外に出すこと。じっとしたままだと、ストレスの圧がかかり続けて、いずれ心身のバランスを崩すことになりかねませんが、からだを動かすことで、一種のガス抜きができるのです」(櫻井さん)
デスクワークの人は、長時間座り続けることで、知らず知らずのうちにストレスを溜めこむおそれもあります。ときどき外に休憩に出たり、職場内を歩き回ったり、それも難しければ、せめて自分の席で伸びをするなど、からだを動かすことを意識的に行いましょう。
【2】嫌なことがあったら人にしゃべる
「ガス抜きの方法として、からだを動かす以外には、人に話すというのもおすすめです。
風船の空気孔をきつく縛っていて、空気の逃げ場がないと、ちょっと圧をかけただけですぐに破裂してしまいますよね。ストレスがかかったときは、なるべくためこまず、人に話してしまいましょう」(櫻井さん)
【3】お笑い番組を見る
何かストレスのかかる出来事があれば、できるだけ自分にとって楽しいことに触れて、気分を紛らわしたいもの。そうした娯楽のなかでも、お笑い番組は、単なる気晴らしになるだけではく、ストレスマネジメントと意外に深い関係があるとのことです。
「笑うという行為は、ストレス発散になるだけでなく、免疫力向上にもつながるといわれています。
笑うための手段は、いろいろありますが、中でもお笑い番組は特におすすめです。というのも、お笑い芸人のかたは、ご自身の失敗や不幸話を自虐ネタとして笑いに昇華させています。そういう姿勢は、ストレスマネジメントにおいて非常に重要なんですね。
自分にとってネガティブな出来事について、くよくよ悩むのではなく、笑いに変えてしまう。そういう思考パターンを見習えるという点でも、お笑い番組はストレス対策として有効でしょう」(櫻井さん)
【4】物事がうまくいかないときは、行為に焦点を当てて原因を考える
どんなに有能な人でも、失敗をゼロにすることはできません。物事がうまくいかないとき、どのように対処するかにも、ストレスマネジメントの秘訣があるようです。
「失敗したり不幸に見舞われたりしたとき、ストレスを溜めやすい人というのは、自分を全否定しがちです。たとえば、恋人に振られたときに、『自分に魅力がないからだ』などと捉えてしまい、ストレスの逃げ場がなくなります。
他方、ストレスに強い人の場合、『今回は、自分の行為の何がいけなかったのだろう?』と考えます。このように、自分全体にダメ出しするのではなく、行為に焦点を当てると、『自分のあの発言が相手を傷つけたのではないか』→『自分の感情を伝えたいときは、こういう言い方をしよう』と改善点が見えてくるので、過度の落ち込みを防ぐことができます」(櫻井さん)
【5】日々、新しいことにチャレンジする
「ストレスの原因の1つとして、変化が挙げられます。たとえば、引っ越しや異動・転職、あるいは、結婚・出産といったおめでたいことであっても、何か新しい事態に直面すると、ストレスを感じてしまうものなのです。
このように、人は変化に反応しやすい生き物ですが、変わり映えのない日常をずっと送り続けていると、ますます変化に対するストレス耐性が弱まります。
ですから、ストレスに強くなるには、1日1個、1週間に1個でもいいので、何か新しいことにチャレンジしましょう。今までやったことのないことに積極的に触れることで、変化に柔軟に対応する力が身につき、ストレス耐性も高まります。
新しいことにチャンレンジ……といっても、難しく考える必要はありません。たとえば、ランチのお店を新規開拓する、普段食べないメニューを注文する、あるいは、会社帰りにいつもとは違う経路を使ってみるなど、ちょっとした変化を楽しみながら、経験することをおすすめします」(櫻井さん)
【6】複数のフィールドをもつ
「家は柱が多いほど倒れにくいですが、人間も同じです。自分を支えるものが多いほど、ぐらぐらせずに精神が安定します。逆に、自分にとって心の拠り所が1つしかない人は、そこに問題が生じた瞬間、一気にストレスで崩れてしまうおそれがあって危険です。
たとえば、会社一筋の人は、仕事がうまくいかないと、それだけで自分の存在意義が脅かされるように感じて、多大なストレスを受けます。また、恋愛するとのめりこんでしまう人は、相手との関係がちょっとぎくしゃくするだけで、この世の終わりのように感じがちです。
自分にはこれしかないと決め打ちするのではなく、仕事でもプライベートでも自分の居場所を複数つくっておきましょう。そうすれば、ある1つの分野でエラーが生じても、他の分野でリカバリーがきくので、ストレスに押しつぶされずに済みます」(櫻井さん)
あなたには、「これが私の生きがい!」といえるものがいくつありますか? 自分の心のよりどころを増やすためにも、前項でご紹介した“日々新しいことにチャレンジする”という習慣は、重要かもしれませんね。
【7】瞑想の習慣をもつ
「学校でも社会においても、思考力を高めることはよいことだとされ、『もっとよく考えなさい』などという指導が行われていますが、実は、現代人は余計なことを考えすぎる傾向があります。
たとえば、『ああなったらどうしよう』と先のことを悩んだり、『あのときこうしておけば』と過去の失敗を悔んだり、頭のなかであれこれ考えてしまうこともストレスを悪化させる原因です。
こうした考えすぎによるストレスを防ぐには、意識的に脳を休める習慣が大事だと思います。1日に1回、数分間でいいので、呼吸に意識を向けて、敢えて頭を空っぽにする時間をとりましょう。いわば、“考えないトレーニング”をするのです。
考えることが習慣化している現代人にとって、これはなかなか難しく、何も考えまいとしても、ついいろいろ雑念は浮かんでしまうと思います。ただ、そこで自己嫌悪せず、何事も始めはうまくできなくて当たり前だととらえて、まずは毎日“何も考えない時間”を設けてみてください」(櫻井さん)
【8】何事にも感謝する
「人は生きている限り、何かとアンラッキーなことは避けられませんが、その出来事をどう捉えるかがストレスに強い人と弱い人の分かれ目です。
たとえば、新しくできたレストランに期待していたのに、いざ訪れてみたら料理がおいしくなかった。こんなとき、『残念』『ついていない』と落ち込むのが通常の反応ですが、ストレスに強い人は、ただネガティブな感情だけで終わらせるのではなく、『でも、健康で外食できることはありがたいことだな』などと、物事のよい面にも目を向けようとします。
これに関連して、私の知っているある料理人さんのエピソードを1つ、ご紹介します。
彼は、厨房で怒号が飛び交うような大変厳しい環境で働いているのですが、一度、『なんで平気なの?』と尋ねたところ、彼は『怒られるのは当たり前だから』と答えたんです。
怒られるのを過度に恐れていたら、ビクビクと上司の顔色をうかがって、精神的にまいってしまいます。そこを、彼のように『怒られるのは当たり前』とフラットにとらえたり、あるいは『怒ってもらえることで成長できる』と前向きにとらえたりすれば、ストレスを最小限に抑えることができるのではないでしょうか」(櫻井さん)
これでストレス耐性アップ!ストレスに強い人が「何気なくやっている習慣」8選
メンタルコーチが教える【トレーニング5選】
【1】寝る前の3分に、成功する自分を繰り返しイメージする
一日の終わり、寝る直前において、あなたはベッドでどんなことを考えていますか? 飯山さんによれば、寝る前3分に成功する自分を繰り返しイメージすることで、どんどん勝負強くなれるとのことです。
「就寝前の3分間は、イメージトレーニングのゴールデンタイムというべき時間。
寝る直前というのは脳がリラックスした状態なので、潜在意識にイメージが記憶されやすいのです。また、脳は1日の最後を強く記憶するので、寝る直前に自分の成功した姿をイメージすると、眠っている間中にも、脳のなかでそれが繰り返し再生され、自己肯定感が高まります。
アスリートは、大事な試合や大会に向けて、こうしたイメージトレーニングを行いますが、ただ本番直前の夜だけやっても、試験前の一夜漬けの勉強のようなもので、あまり効果は期待できません。毎晩、繰り返し行ってこそ、どんどんメンタルが強化されていきます。
逆に言えば、寝る直前にネガティブな考え事をするのは、おすすめできません。寝る直前に自分の失敗などを思い浮かべると、マイナスのイメージトレーニングになってしまいます。
ですから、もし仕事で大きな失敗をするなどショックな出来事があった場合、ベッドの中ではそれについて気に病まないこと。リカバリーのきくミスであれば、挽回した自分の姿を強くイメージするほうがいいですし、取り返しのつかないことであれば、まったく別の楽しいことを考えるべきでしょう」(飯山さん)
【2】最悪を想定して最善をイメージする
勝負強い人は、どんな逆境におかれても「自分はまだやれる」とポジティブ思考で立ち向かうことができますが、ここでいうポジティブ思考とは「自分にとって都合のいいことしか考えない」という意味ではありません。
飯山さんによれば、真の勝負強さは、常に最悪を想定することによって支えられているとのこと。
「スポーツの世界でもビジネスの世界でも、ここ一番の勝負どころでは、アクシデントがつきものです。
スポーツでいえば、試合中にケガをしたり、ビジネスでいえば、順調に進んでいた交渉が相手の都合で突然ひっくり返されたりすることがあります。また、試合や仕事が始まる前にも、会場につくまでに事故にあったり、会場で必要な道具がそろっていなかったり、上司からモチベーションを下げるようなことを言われたりなど、何かとトラブルに見舞われて調子を崩すことは少なくありません。
そうした想定外のケースに直面しても、落ち着いて対処するためには、起こり得るあらゆる事態を想定しておく危機管理が不可欠です。最悪の事態を想定し、それをどう乗り切るのか最善をイメージしておけば、感情にゆすぶられることなく、実力を発揮することができます。
もちろん、どれだけ心の準備をしても、その予測をはるかに超えることが起こってしまうことはあるでしょう。それに備えて、ピンチの自分を落ち着かせるポーズを決めておくのもおすすめです。
たとえば、“目を閉じて胸に手をあてながら深呼吸する”などいかがでしょうか? そのポーズをとって、冷静に対処する自分をイメージしておけば、いかなるアクシデントも恐れるに足りません。
感情をコントロールすることができれば、どんなピンチでも突破口は見えてきます。最悪を想定して最善をイメージする真のポジティブ思考で、あらゆる事態を乗り切りましょう」(飯山さん)
【3】ここぞという勝負どころでの、自分の「ルーティーン」を決めておく
さきほどピンチの自分を落ち着かせるポーズを紹介しましたが、一流のアスリートには、自分の心を整えるルーティーンを決めている人物が少なくありません。たとえば、メジャーリーグのイチロー選手がバッターボックスで行う動作や、フィギュアスケートの羽生結弦選手の演技に入る前の動作などは有名ですよね。
「競技や仕事に集中してベスト・パフォーマンスを出すうえで、自分のルーティーンを決めておくことは大変有効だといえるでしょう。
ただ、ここで1つ注意しておきたいのは、ルーティーンと似て非なるものとして、ゲン担ぎがあることとです。
ゲン担ぎとは、たとえば、“右足から出るとうまくいく”とか“このスーツを着たときにはプレゼンが成功する”など、何かをしたらたまたま良い結果が出たから、それを続けているということですが、もし結果が伴わないと、スランプに陥るおそれがあります。
右足からでダメなら左足から。このスーツでダメなら別のスーツに……と結果にとらわれてゲン担ぎを続けていくと、心が落ち着かず、かえってパフォーマンスが落ちることにもなりかねません。
ルーティーンの目的は、あくまで、自分の心を整えること。ルーティーンとゲン担ぎをきちんと区別して、前者を活用できれば、大事な局面で心を落ち着けることで、勝負強さを発揮しやすくなるでしょう」(飯山さん)
【4】他人を褒めたり、目の前の出来事をプラスにとらえたりする
勝負強い人というのは、「自分には絶対にできる」という自信、自己肯定感をもっています。
では、そうした自信をつけたり、自己肯定感を高めたりするにはどうすればいいのかというと、実はメンタルトレーニングによって可能とのことです。
「あらゆる事象のマイナス面ではなく、プラス面に意識的をフォーカスしましょう。
自信をつける、自己肯定感を高める方法は、自分を褒めたり、自分の長所を探したりすることだけではありません。自分のいいところがなかなか見つからない場合、まずは、他人を褒めたり、目の前の出来事をプラスに捉えようとしたりするトレーニングもおすすめです。
というのも、『どうせ自分にはできない』というネガティブな感情にとらわれている人は、自分にばかり意識が向いて、視野が狭くなっている傾向があります。
その視野を広げるためにも、他者や外の世界に目を向けて、プラスの意味付けをしてみるのです。
たとえば、通勤中に人身事故が起こると『不吉だ』『電車が遅れて迷惑だ』などとネガティブな感情が起こるのはごく自然でしょう。しかし、ただそれだけで終わらせるのではなく、『何に気づけということなのだろう?』『これには一体どういう意味があるのだろう』と問いかけてみると、『命を与えられて、これから仕事に行ける自分は幸せだ』などと思えるわけです。
そのように、何事も肯定的に受け入れる習慣を意識的に取り入れると、自身のこともプラスに捉えやすくなるので、結果として自信をつけたり、自己肯定感を高めたりすることにつながります」(飯山さん)
【5】心がワクワクすることに日々、挑戦する
あなたは最近、心がワクワクする体験をしているでしょうか? 一見すると無関係のようですが、飯山さんによれば、日常生活で小さな感動を味わうことが、勝負強さを培うとのことです。
「脳科学的に、感動して流す涙には、ストレスを軽減する作用がありますので、ストレスに強くなるには情動の涙を流すことがおすすめです。
情動の涙を流すには、読書をしたり映画を見たりするという手段もありますが、より日常的に情動の涙を流すのと同じような感覚を得る方法があります。それは日々、小さなボランティアをすることです。
ボランティアといっても、わざわざ遠くまで出かけて、何か特別な活動をする必要はありません。要は、身近で困っている人をちょっと手助けしたり、普段当たり前のように接している人に『ありがとう』を伝えたりするのも一種のボランティアです。
ボランティアには、ちょっとした恥ずかしさや勇気が伴うので、やってみるだけでワクワク感が味わえますし、それに対して相手から感謝されたり喜ばれたりすれば、なおさら大きな感動が得られます。
もちろん、ボランティアをやってみても、相手から感謝されなかったり、むしろネガティブな反応が返ってきたりすることもありますが、ボランティアでは相手の見返りを期待しないこと。
人から感謝されたいという動機はあってもいいのですが、相手の反応は二の次で、あくまで自分がワクワクするため、というスタンスで取り組むといいでしょう。
ちなみに、私がメンタルコーチとして関わっている星稜高校野球部(2019年・夏の甲子園準優勝校)では、ゴミ拾いのボランティアを実践しています。
ゴミ拾いは照れくさいですし、またゴミを捨てた人から感謝されることもありません。それでも、感動力を高めることにはつながっていますし、さらには、ゴミに気づいて拾うという習慣の積み重ねが、物の見方にも影響して、試合展開を読む力を強化されているようです」(飯山さん)
いずれも、一流アスリートたちが実践しているものとのことですが、我々の普段の生活に取り入れられるものばかりですよね。圧倒的な勝負強さを身につけたい人は、ぜひ今日からメンタルトレーニングを始めてみてはいかがでしょうか?
勝負強い人はやっている!本番で「爆発的な力」が発揮できるメンタルトレーニングのやり方5選
- TEXT :
- Precious.jp編集部