日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。

今回ご紹介いただくのは、明治38(1905)年に創業した東京の朱肉メーカー、モリヤマの6代目社長が徹底的にこだわり抜いて作り上げた新たなフレグランスブランド、「エディット」のディフューザーとキャンドルです。

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「エディット」のディフューザーとキャンドル

なぜ朱肉メーカーがフレグランスブランドを? その理由は、モリヤマが手がける「日光印」伝統の練り朱肉にあるのだそう。

「エディット」が誕生するまでのストーリーも併せて、河井さんを驚かせた「今まで出合ったことのない新しい香り」の魅力を教えていただきます。

河井真奈さん
スタイリスト
(かわい まな)女性誌、CM、ドラマのスタイリング、トークショー、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。2016年、ギフトに特化したWEBサイト「futo」をローンチし、2019年6月には初の実店舗を南青山にオープン。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋)、『服を整理すれば、部屋の8割は片付く』(立東舎)。https://futo.jp/

原点は、“香る朱肉”という伝統の可能性を広げる挑戦

「コロナ禍によって家で過ごす時間が増え、ルームフレグランスやアロマキャンドルの人気がいっそう高まっています。でも、香りの好みは人によって違いが大きいもの。ギフトとしてはなかなか難しいと思っていたので、自分のお店に並べるアイテムをどれにしようか長らく迷っていました。

数あるなかから私が『エディット』を選んだのは、今までに出合ったことのない香りに惹かれたことや、シンプルながらもこだわりが詰まったデザイン性はもちろん、“朱肉”という日本の伝統文化から生まれたという背景のユニークさにもあります。

『エディット』は、東京で100年以上続く老舗の朱肉メーカー、モリヤマの6代目社長を担う葛和建太郎さんが立ち上げたフレグランスブランドなのです。

モリヤマの代表的なプロダクトである『日光印』の練り朱肉。これに用いられている天然素材には、フレグランス関連商品の材料としても使われているものが含まれています。そしてさらに、日本で唯一、独自に配合したアジア由来の香料を配合して香りづけをしているのが特徴です。葛和さんは、この練り朱肉の可能性を広げ、もっと一般的に使ってもらえるものにできないかと開発をスタートしました」

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「日光印」の練り朱肉

「最初は朱肉の蓋を開けておくとルームフレグランスになる商品を企画したものの、液体の調香サンプルを朱肉に混ぜ合わせるための技術的な課題に直面。既に朱肉に用いられている香りのフォーミュラ(レシピ)が含まれている液体サンプルを見て、“朱肉ブランド『日光印』の作品”ではなく、“朱肉ブランド『日光印』が生み出すフレグランスブランド”へと企画を切り替えることに。

そこからさらに試行錯誤を重ね、香りの本場であるヨーロッパのハイブランドにも負けないクオリティを目指し、『エディット』の香りを作り上げていきました」

元音楽ディレクターの感性で組み立てた“東京”の香りがパリで高評価

「実はこのフレグランスを完成させるにあたっては、葛和さんが家業を継ぐ前のキャリアが大きく関係しています。学生時代にDJをやっていたことがあるほど音楽好きだった葛和さんは、大学卒業後にレコード会社に就職。早くも3年目でディレクターとなり、退社までの7年間に大きなプロジェクトも成し遂げました。

そんな彼ならではの感性で、従来のセオリーにとらわれず、音楽を作るようなイメージで“東京らしい香り”を追求。気鋭の日本人調香師とタッグを組み、5つの香りが誕生しました。

すべてに共通しているのは、『日光印』が長年使用してきた伝統的なアジア由来の香料を取り入れていること。これにより、各種が独立した香りを放ちながらも統一感のある仕上がりが実現されています。

満を持して迎えたブランドのデビューは、2018年1月にパリで開催されたメゾン・エ・オブジェ。世界最大級のインテリアとデザイン関連の国際見本市です。まさに、葛和さんが目指した“ヨーロッパのハイブランドに匹敵するクオリティ”が試される場といえます」

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2018年1月開催のメゾン・エ・オブジェで披露された「エディット」のファーストコレクション

「香り自体はもちろん、デザインにおいても高い評価を受けた『エディット』。そして、このフランスをはじめとするヨーロッパでの評判を引っ提げて、日本でのローンチとなりました。

なお、パリでのデビューに際しての意気込みは、『ÉDIT(h)』というブランドロゴにも表れています。“日光印の6代目が歴史を編集する”を意味した【EDIT】と、フランスの国民的歌手エディット・ピアフの名前の綴りである【Édith】を組み合わせたもの。元音楽ディレクターだからこそのフランスへのオマージュが込められているのです」

生活にすっと溶け込み、心地よい存在感を放つ香りとデザイン

「必要なもの以外はそぎ落とし、そのうえで上質なものにするために必要なものだけを加えていく。そんな研ぎ澄まされた贅沢さを宿した『エディット』の香りとデザイン。これは、本当に他に類を見ないものだと思います。

香りの面では、嗅いだ瞬間に“これは何の香り⁉”と想像力をかき立てられる新しさに感動しました。それとともに、今までに出合ったことのないモダンな香りでありながら、どこか懐かしい風景を思い出させてくれるような心地よさもあります。

私のお店では、ディフューザーとアロマキャンドルともに『マーシュランド』『アールグレイ』『ローズモヒート』の3種をセレクトして扱っていますが、いずれも不思議な透明感があり、個性的なのに押しつけがましくないという印象です」

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「エディット」のディフューザー

「一見するとシンプルなデザインにおいても、職人の手作業で繊細なヘアライン仕上げが施された亜鉛製のキャップや、印章文化由来のデザインモチーフがあしらわれるなど、細かいテクスチャーにまでこだわりが行き届き、上質感が醸し出されています。リードスティックも白と黒の2色が付属しているので、置く空間に合わせて選べる気遣いが嬉しい限り。

また、パッケージの桐箱に中身を入れたまま飾ることもできるのも魅力のひとつです。和室にもなじみますし、火を点けたときだけ香ってほしいという方もいるキャンドルの場合は、蓋を閉めておけば香りを封じ込めてくれます」

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「エディット」のアロマキャンドル

「パッケージそのものがインテリアとして機能するから、捨てずに使えるというサステナブルなもの作りのアプローチは、SDGsへの意識が高まっている今の時代背景にもマッチしていますよね。

デビューからわずか3年で、世界6か国で販売されるグローバルブランドへ成長を続ける『エディット』。これからますますファンが増えていきそうです」

3つの香りを厳選!「エディット」のディフューザー&アロマキャンドル

■香りのタイプ

【マーシュランド】この世のどこかに隠された夢の湿原。その地が積み重ねた草花の香りを彷彿させる、幻想的な香りが空間に広がります。
<NOTE>ベルガモット、サンダルウッド、パチュリ他

【アールグレイ】弾けるようなシトラスから徐々に香る紅茶の香り。軽やかさとセクシーさを併せもった香りはジェンダーレスでファッショナブル。東京ストリートカルチャーへのオマージュ。
<NOTE>ベルガモット、アッサムティ、オークモス、ムスク他

【ローズモヒート】ジェンダーレスにまとえるローズ系フレグランス。日常の自分を超えた妖艶さを与えるその香りは、周囲をハッとさせるとっておきのスパイス。
<NOTE>ライム、ペパーミント、ラム、ローズ、アンバー他

■ディフューザー

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ディフューザー(100ml)各¥7,590

エタノール不使用の特殊なエコ溶剤を使用。コンパクトながらリードスティック5本使用で、数か月~半年ほど芳香が持続します。

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左/リードスティックのパッケージもスタイリッシュ。右/桐箱のパッケージ

■アロマキャンドル

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アロマキャンドル(130g)各¥4,950

「日光印」の練り朱肉で用いられる天然素材のハゼ蝋とオイルを、大豆ワックスとオリジナルブレンドしたハンドメイドキャンドル。融点が異なる2種類の蝋を混ぜ合わせることで最適な火加減と芳香が実現し、ソイワックスのみのキャンドルより長い約30時間程度の燃焼時間に。

詳しくはこちらから


今回は、「日光印」の朱肉を手がける老舗メーカーから生まれたフレグランスブランド「エディット」のアイテムをご紹介しました。

間もなくやってくるクリスマスや年末年始のギフトにも、この香りならきっと喜ばれるはず。あるいは、新年に備えてより心地よい部屋にするために、自分への贈りものに選ぶのもおすすめです!

※掲載した商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。

問い合わせ先

Gift Concierge futo

TEL:03-3462-2036

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EDIT&WRITING :
谷 花生