『Precious』1月号では、心と体を開放する呼吸のあり方について特集。横隔膜を意識しながら呼吸する現代の新習慣=「呼吸美容」についてご紹介しています。

今回はその中から、日常の習慣にしたい「横隔膜呼吸」にまつわるトピックスについてお届けします。

■1:反射区と組み合わせれば、ますます効果的

前回ご紹介した「横隔膜ほぐし」メソッド基本編をマスターしたら、呼吸のリズムはそのままで、指を置く位置で反射区を意識する応用編を。

9つのポイントを押しながら深くゆっくり腹式呼吸することで、おなか全体の緊張をゆるめます。胃腸のポイントが刺激されるので自然に内臓の働きを整え、免疫力アップ! また、精神状態が安定する効果も期待できます。

女性の腹部のイラスト
Check!

A=胃腸全体のツボ「中脘ちゅうかん」。両手を置いて3秒かけて鼻から息をたっぷり吸い込み、おなかをふくらませる。次に10秒かけておなかをへこませながら口から息を出しきる。

これを3回繰り返したら、小腸を刺激するイメージをしながらおへその周りを手のひらで円を描くように10回さする。以降は、ポイントに両手を置いて、3秒かけて鼻から息を吸っておなかをふくらませ、10秒かけておなかをへこませながら息を出しきる動作を3回ずつ繰り返す。

B=大腸と小腸のつなぎ目にある回盲弁、C=上行結腸(大腸)、D=肝臓、E=みぞおち、F=胃、G=下行結腸(大腸)、H=S状結腸(大腸)、I=直腸(丹田)。

最後に、基本編と同じように、胸の中央にあるリンパ反射区を胸骨の上から順番にさする。多少の痛みは好転反応なので心配せず、4本の指で左右に約1分、さすって刺激する。

■2:ビジネスシーンに効く軍隊式呼吸法とは?

今、ビジネスシーンでも役立つと話題となっているのが、ロシア軍特殊部隊が採用している武術トレーニング「システマ」の呼吸法。

強いストレスを受けてもパニックにならず、直ちに平常心に戻って、冷静な判断をくだせるように考案されたメソッドです。鼻から息を吸って、口をすぼめてフーッと軽く音を立てながらはくことを、胸式呼吸でも腹式呼吸でもなく、全身をリラックスさせて行うのがポイント。

折れない心で仕事に臨むなら、マスターしたい!

■3:質のよい眠りのために実践したい、4・7・8呼吸

4・7・8呼吸は、アメリカの医師アンドルー・ワイル博士が提唱している呼吸法のひとつです。方法はとても簡単で、約4秒で鼻から静かに息を吸い、息を止めて7カウント。

8つ数えながら口からふぅーっと音を立てて細く息を出しきることで、心身の興奮や緊張を和らげ、リラックス状態に導きます。疲れているのに寝付けない…そんな夜に、ぜひお試しを。

■4:やる気スイッチON!朝には朝に効く呼吸を

「横隔膜呼吸」は奥が深く、副交感神経を優位にしてリラックスさせるだけでなく、元気をチャージする朝呼吸として応用することもできます。まずは5秒かけて口から息を出しきることからスタート。

次に5秒かけて鼻から息をたっぷり吸ったら、腹圧をかけて5秒間息を止め、5秒かけて出しきります。血流がよくなって体がぽかぽかし、すばやく行動できるのです。

上を向いた女性
呼吸は、シンプルだけれど生きていくために必要なもの。だからこそ、自分に合ったメソッドを見つけて、健やかな美を養いたい。キャミソールドレス¥30,800(WANOVA<ワランス>)

■5:更年期に取り入れたい逆腹式呼吸とヨガ呼吸

更年期には、人には相談しにくい体の悩みが生まれます。世界の呼吸法をひもとくと、改善のヒントが。太極拳の逆腹式呼吸は、息を出すときにおなかをふくらませ、吸うときにおなかを引っ込める呼吸法。

腹腔内に圧をかけるので下半身の筋トレになり、尿漏れ改善につながります。また、ヨガのシータリー呼吸法は、のぼせに効果的。

舌を丸めて息を吸い、吸いきったら舌を中に入れて息を止め、鼻から温かい空気をゆっくり出すことで体内の「火の要素」を鎮めます。

■6:「息を吐ききる」には風船トレーニングが有効

深く呼吸するために重要なのは、吸う以上に息を出しきること。浅い呼吸が習慣になっていると意外と難しいので、きちんとできるように、風船を使って。風船をふくらませる練習をすれば、腹圧を高めるトレーニングにもなり、ポッコリおなかの改善にも効果あり!

【column】なんでこんなに違うの?動物の寿命と呼吸数の関係

生物によって大きな差がある寿命と、呼吸にはどんな関係が? 呼吸数と関係する心拍数をみると、ウサギの寿命は8~10年で心拍数は約246回/分(以下同)、来年の干支・トラの仲間であるネコは平均15歳前後で約160回、100歳以上のカメはわずか8回。

心拍数が多いと呼吸数も多く、体内で余った酸素が、活性酸素となって老化を加速。生物によって呼吸のしくみは違うけれど、ゆっくりした呼吸は、活性酸素の発生を抑えるポイントになるようです。

※掲載した商品は、税込みです。

問い合わせ先

ILLUSTRATION :
瀧川裕恵
EDIT&WRITING :
岡本治子、五十嵐享子(Precious)
参考文献 :
『〝隠れ酸欠〟から体を守る横隔膜ほぐし』京谷達矢著(青春出版社)、 『逆境に強い心のつくり方 システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド』北川貴英著(PHP文庫)
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