【目次】

食べても太らない食べ方【9選】


森 拓郎さん
ボディワーカー
(もり たくろう)大手フィットネスクラブを経て、2009年に自身のスタジオ「rinato(リナート)をオープン。モデルや女優からも大人気で、ピラティス、整体、美容矯正などのボディメイクをはじめ、食事によるダイエットの指導も行う。テレビや雑誌など多くのメディアでも活躍する他、ベストセラーにもなった著書『オトナ女子のためのヤセ方図鑑』(ワニブックス)や、『ダイエット事典(飛鳥新社)』も話題の的。

【1】「ベジタブル・ファースト」よりも「プロテイン・ファースト」を意識

お肉などのたんぱく質は代謝をアップに欠かせない。
お肉などのたんぱく質は代謝をアップに欠かせない。

血糖値の上昇を抑えたり、食べ過ぎ予防にも効果があるとして、野菜を先に食べる食事法“ベジタブル・ファースト”が話題になりました。食べ過ぎが心配な方は、この食べ方はおすすめです。

しかし、代謝を良くすることが目的であれば、“プロテイン・ファースト”を意識する方が良いでしょう。たんぱく質を優先しても、血糖値の急上昇は防げます。ビタミンやミネラル、食物繊維を含む野菜の摂取は大切ですが、肉や魚、卵などのたんぱく質の方が栄養価も高く、ダイエットには効果的です」(森さん)

【2】食べ過ぎた翌日は「絶食」「減食」でなく、食の調整を!

「外食など食べ過ぎた翌日は、前日に食べ過ぎた分を調整することは大切。ですが、絶食したり、量を少なくするのは、栄養不足になりかえって逆効果。意識すべきは、何をどれくらい食べるかということなのです。

たとえば、前日に食べたもので脂質が多かったのであれば、低脂質なものを選び、糖質やタンパク質は最低限の量を摂取すればOK。具体的には、ご飯、味噌汁、白身魚や大豆を使ったお惣菜などを組み合わせた、脂質を控えめにした和定食がおすすめです。自分が食べ過ぎたものをある程度把握しておけば、翌日に何を食べるべきかがよくわかります。サラダにしたからといって、ドレッシングをたっぷりかけていたら、脂質がオーバーになるので気をつけましょう」(森さん)

【3】「噛み応え」のある、自然の素材を使った食事をしよう

食事はしっかりと噛んで食べる習慣を。
食事はしっかりと噛んで食べる習慣を。

麺類、柔らかいパン、スープなど、あまり噛まなくていい食べ物は避け、よく噛んで食べる食材を選ぶようにしましょう。咀嚼は脳を刺激し、摂食中枢にはたらきかけて、食欲を正しく制御します。また、顎の力が弱ると、フェイスラインが崩れる他、首が短くなり、首の横ジワも目立つようになります。美容面においても、しっかり噛んで食べることは重要というわけです」(森さん)

ダイエット指導の達人・森 拓郎さんに聞く! 40代女性が陥りがちな「間違ったダイエット」とは?

【4】1日の糖質摂取量は150g以上を心がける

「脳と赤血球が必要とする糖質の量が120g。これ以外に、基礎代謝や活動代謝にも糖質が使われるため、最低でも1日の糖質量は150g以上が必要になります。

これ以下になると、低血糖を防ぐため、体は糖質の消費を抑えようと代謝を落とし、痩せづらい体になってしまいます」(森さん)

【糖質の量について】

小さなお茶碗120gのご飯で、糖質の量は約45g、一般的なお茶碗150gのご飯で約55gです。糖質は炭水化物以外にも、野菜、豆類、果物、お菓子などにも含まれています。

【主食にするならお米がおすすめ】

糖質を摂取する際は、なるべく糖の吸収がゆるやかな穀物がおすすめです。主食にするなら、小麦主体の麺やパンよりも、日本人の食のスタイルに合わせやすい、お米が最適です。玄米はビタミンやミネラル、食物繊維も豊富で、糖の吸収も白米より優れていますが、特にこだわる必要はありません。好きなお米を食べましょう」(森さん)

【5】糖質と脂質を同時にしっかり摂らない

肥満の元、高糖質×高脂質の食べ物には要注意。
肥満の元、高糖質×高脂質の食べ物には要注意。

三大栄養素である糖質、脂質、たんぱく質のうち、糖質と脂質がエネルギー源になり、使い切れずに余った分は体脂肪として体に蓄積されます。つまり、糖質や脂質を摂りすぎると、体に脂肪がつきやすくなってしまうのです。そのため、糖質を摂るなら脂質を減らす、脂質を摂るなら糖質を減らすことが大切になります」(森さん)

【6】フルーツはジュースより生のままで食べよう

果物はそのまま食べて、ビタミンをしっかり補給。
果物はそのまま食べて、ビタミンをしっかり補給。

「糖といえば、果物に含まれる果糖を気にされる方も多いと思います。果糖は血糖値を上げにくいのですが、中性脂肪として蓄積されやすいといわれています。

しかし、果物に含まれる果糖の量はそれほど多くはなく、ビタミンや食物繊維も豊富なため、果物を食べることは穀物の摂取と同様、ダイエットにはとても有効です。しかし、100%の果物ジュースにしてしまうと、吸収が早くなった果糖を過剰に摂取することにつながってしまうので、避けましょう」(森さん)

糖質を摂取しても痩せられるって本当? ダイエットのプロが教える、正しい「糖質ダイエット」

【7】「サラダだけ」の食事にならないように気を付ける

村上晃平さん
フィットネスコンサルタント
(むらかみ こうへい)運動生理学と心理学の両方のトレーナー資格を有し、一般人から五輪アスリート、大手企業経営者まで、述べ15,000時間以上のパーソナルトレーニング実績を持つフィットネスコンサルタント。世界的ミスコン優勝者や全日空の健康プログラムの開発も手がける。著書に『ビジネススキルがアップする!1分筋トレ法』(発行:アース・スター・エンターテイメント/発売:泰文堂)、『ミスコン優勝者たちも実践する35の新ルール 筋美人ダイエット』(幻冬舎)などがある。
我慢して摂取カロリーを下げようとすると、ストレスによってさらに代謝を下げてしまうことに。
我慢して摂取カロリーを下げようとすると、ストレスによってさらに代謝を下げてしまうことに。

「野菜を多く食べるとカロリーが抑えられ、ダイエットによい」とつい思いがちですが、実はカロリーを下げすぎてしまうと、かえって痩せにくくなってしまいます。

人間が生きるためにはエネルギーが必要であり、そのエネルギーは食品の摂取で確保しなければなりません。そして、生命活動の継続には“ホメオスタシス”と呼ばれる、体の内部環境を常に生存に適した状態に保つ機能が働いています。

「たとえば、食生活をサラダ中心にして、エネルギーを下げすぎると、ホメオスタシスの機能が働き、エネルギーを確保しようと体が反応します。その結果、食欲が増してしまうのです。体重を下げようとすると脳が抵抗するのは、この機能の働きです。さらに、エネルギーをできるだけ使わないようにするため、筋肉量が減って代謝も悪くなります」(村上先生)。

また、お肉を食べずに野菜サラダばかりを食べていると、タンパク質が不足してしまいます。前項の通り、タンパク質が不足すると、代謝が下がってしまいます。そのため、サラダを食べる場合は、タンパク質を含む食材を加えると良いとされています。

サラダに加えるタンパク質は、豆腐や豆など“植物性タンパク質”よりも、蒸し鶏や豚しゃぶ、ツナなど脂質の少ない“動物性タンパク質”が良いそうです。

5つの食事法で体重の増加をリセット!我慢とサラダを手放して、ドーパミンとお肉摂取量をアップ

【8】食事の間隔を4時間は空ける

 
 
ながい かよさん
えいよう未来研究所代表、管理栄養士
武庫川女子大学卒業後、病院勤務・料理講師を経て、ヘルスケア企業にて働く人の栄養指導に従事。現在は乳がんクリニックでの栄養指導の他、全国各地にて講演活動を行う。単なる制限指導をするのではなく、その人の生き方に着目し、日常に生かせる理論と実践方を提案する栄養指導は、「楽しい!」「聞いてよかった!」「前向きになれた」と大好評。著書に『仕事で圧倒的な成果を残すハイパフォーマーが実践する飲食の技術』がある。

「夜中にお腹が空く原因は、そもそも1日の食事のリズムが乱れているせいという可能性があります。食事は3食しっかりとり、また食事の間隔は4時間以上空けることを目安としてみましょう。これは前述したように、食後に血糖値が上昇してから元に戻るまでに約4時間かかるためです」(ながいさん)

また、血糖値が戻る前に食事をすると、インスリンの分泌時間も継続することになります。つまり脂肪を蓄えやすい状態が長時間続くことに。結果として太りやすくなることにつながるため、食事のリズムを整えることは美容の面からも重要です。

【9】ダイエット中でも食事の量は減らしすぎない

つい夜食や間食を食べてしまう方には、3回の食事で食べる量が少ない傾向があるそうです。

ダイエットを意識して炭水化物を抜いているけど、次の食事までの間にお菓子をちょこちょこ食べている。仕事が忙しくて食事がおろそかになり、遅い時間にお腹が空く……そんな方はこれを機に1日の食生活を見直し、ご自身の体をいたわる食事にシフトしてみてはいかがでしょうか。

ダイエットをしていたつもりが、お菓子を食べてカロリーオーバーなんてことも……
ダイエットをしていたつもりが、お菓子を食べてカロリーオーバーなんてことも……

食べても太らない夜食とは?ダイエットに影響しない「正しい夜食の食べ方&メニュー」

どうしても食べたくなった時に!「太りにくい夜食」の選び方【2選】


そもそも、なぜ夜食は太りやすいのでしょうか。実は脂肪の蓄積には、糖質を摂取したときに分泌されるインスリンが関係しています。

「食べものに含まれる炭水化物が糖に分解され、体内の血糖値が高くなると、血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンが分泌されると糖が脂肪細胞に取り込まれ、脂肪として貯えられる仕組みです」(ながいさん)

血糖値は通常、食後2時間でピークになり、その後2時間で元の状態に戻ります。つまり食後4時間はインスリン分泌も高くなっている状態。その間にエネルギー消費が行われないと、食べたものの多くが脂肪として蓄積されてしまうのです。

ごはんやパン、麺類といった炭水化物のほか、お菓子や芋類など糖質を多く含む食物は、血糖値の急上昇を招きやすい
ごはんやパン、麺類といった炭水化物のほか、お菓子や芋類など糖質を多く含む食物は、血糖値の急上昇を招きやすい

インスリン分泌の観点から、「血糖値が上がりにくい夜食」をとることが太りにくくするポイントになります。教えていただいたおすすめの食材や食べ方は以下の通りです。

【1】タンパク質が豊富な食材を選ぶ

豆腐や卵、お刺身などタンパク質が豊富な食べ物がおすすめです。温かいと満腹感が得られやすいため、豆腐なら冷奴よりも湯豆腐を召し上がるといいでしょう。お刺身ならばカツオやマグロが夜食にはぴったり。タンパク質からエネルギーや筋肉・血液を作るために必要な栄養素、ビタミンB6も一緒に摂ることができます。

【2】葉物野菜を選ぶ

「ほうれん草やキャベツなどの葉物野菜も血糖値の上昇を抑えます。特に、栄養価も高いほうれん草は健康にもいいのでおすすめ。簡単につくれるおひたしにしたり、お味噌汁に入れたりしてみては」と、ながいさん。

反対に、糖質の多い和菓子やケーキ、スナック菓子などは夜食としてはNG! 夜食として食べるより、夕食後にデザートとして食べた方が血糖値は上昇しにくくベターです。

冷奴よりも温かい湯豆腐の方がダイエット中の夜食にはおすすめ
冷奴よりも温かい湯豆腐の方がダイエット中の夜食にはおすすめ

糖質を摂取しても痩せられるって本当? ダイエットのプロが教える、正しい「糖質ダイエット」

夜食にもおすすめ!「消化しやすい食べ物」【3選】


「寝る2時間前までには食事を終えるように」とよく耳にしますよね。これは食後、食べ物が胃で消化されるまで2〜3時間かかるため。この間に眠りにつくと、体内の消化活動が睡眠を妨げることになるのです。

「睡眠は体の機能を休める行為ですから、その間は消化活動の働きは弱くなります。しかし胃に食べ物が残った状態で眠りにつくと、消化活動のために休ませるべき体の機能を動かすことになり、睡眠の質が悪くなるのです。消化不良も起こりやすく、翌朝の寝起きが辛いなどの悪影響が出てきます」(ながいさん)

そんな睡眠への悪影響を抑えるコツは「消化されやすい夜食」をとること。心がけたいポイント4つをお教えいただきました。

【1】加熱されていない食材

加熱されている食材は、生の食材よりも消化に時間がかかります。例えば卵なら、ゆで卵よりも生卵や温泉卵などがおすすめ。生卵は納豆に加えるなどして取り入れてみましょう。

【2】食物繊維の少ない食材

食物繊維が多い食材は健康に良いという印象を抱くかもしれません。しかし、消化されにくく胃に負担がかかるので、夜食には不向きなのだそう。例えば、特に不溶性食物繊維が多く消化に時間のかかる玄米ごはん、ゴボウのきんぴらなどは避けるようにしましょう。

【3】発酵食品

納豆やヨーグルトなどの発酵食品は、体内に入る前からすでに酵素や微生物の働きにより消化の下準備が整っています。そのため、消化に費やされるエネルギーの消費が少なく、胃腸の負担が軽くなります。

ヨーグルトは無糖のものを選んで
ヨーグルトは無糖のものを選んで

糖質を摂取しても痩せられるって本当? ダイエットのプロが教える、正しい「糖質ダイエット」

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
TAGS: